第4話 グレゴーラの暗躍、Gクラスへの攻撃
〜グレゴーラ視点〜
「さすがはグレゴーラ先生ですな」
「ええ、ありがとうございます。校長」
私はラクロア魔法学園初等部の校長ムシューと、校長室で会話していた。
「Gクラスを実験的に導入して4年経つが、Gクラス以外の子どもたちの、学力と学習意欲の向上が著しいとの結果が出た。君の言うとおりだ」
「子どもがおとなしく言うことを聞かないのは、ただ物を知らないだけ。だからこそ、ゴミのお手本を用意して上げるだけであら不思議。あれにはなりたくない、と考えて自らお利口になっていくのですわぁ」
それが私の教育スタンス。
私の理想の世界が、正しいと認められる。
これ以上の幸せはない……!
「10年前は君に一度失望したが、取り消すよ。来年度、君には教頭を任せる予定だ」
「はい。ありがたき幸せ」
「無論、来年度から君指導の元、新たな教育体制が始まる手はずも整っている。全学年でのGクラス導入、Gクラス専用の教室、寮――そして、Gクラス専属の教師。……実際のところ、今働いてるツクモ先生の様子はどうだね?」
私はすでに使い魔を放ち、Gクラスの様子を観察していた。
そのとき、私はあまりのおバカさに大笑いした。
「さすがは落ちこぼれのゴミ集団。初級魔法なんて未就学児のおもちゃ魔法で大はしゃぎ。私達の期待通り、彼は人生の最後までGクラスの子供達と、お互いを慰め合いながら過ごすに違いありません」
「ハッハッハ! ならばよし」
私と校長はお互いに笑い声をあげた。
はっきり言って、私の勝利は揺るぎない。
けど無論、月末の魔法対抗戦のあいだまでGクラスを放置することなんてしないわ。
徹底的に痛めつけて、どっちが上で、下なのかはっきりさせようじゃありませんか?
ツクモくん、それと可愛らしいゴミども。
***
〜ツクモ視点〜
「おい、ゴミクラスぅ!」
「む……」
突然の生徒への罵声に一瞬だけ怒りを覚える。
相手は上級生の悪ガキが3人だ。
「授業の邪魔だが」
「は??? 授業??? こんなのが??? お遊戯会かよ!!! ぎゃははははは!!!」
悪ガキ共は相手を馬鹿にしたように笑っていた。
その態度に、これまで練習していたアドリーたちに怯えが見えた。
「くそっ、あいつら……」
ビアンカだけは小声でそういったが、それでも強く出ることをためらっていた。
理由は簡単だ。
抵抗すれば、その場にいる3人が仲間を呼び、クラス全員から魔法で滅多打ちにされるからだ。
無論、直接魔法を当てれば、相手は死ぬため、その直前にはマジックアイテム、魔障壁付与のスクロールが使われる。
この魔障壁の効果は、【上級以下の魔法攻撃を防ぐ】というものだが、【受けた魔法によって、外傷を負わないだけで、痛覚が感じる『痛み』は防がない】という性質があった。
主な使い道は実戦を想定した演習――魔法対抗戦専用の防具として使用される。
しかし、それ以外の使い方ももちろん存在する。
それはリンチや拷問、という使い道だ。
俺は10年前、うさぎのココアが殺された時、俺は殺した奴らに怒り、殴った。
しかし、クラスメイトの誰かが、魔障壁のスクロールを俺に使い、叫んだ。
全員の魔法でボコボコにしてやれ、と。
30人以上の人数から、魔力が切れるまで、何度も何度も魔法を打ち込まれた。
その時の恐怖と痛みを今でも覚えてる。
しかし、今ならば、そんなのは怖くもなんとも無い。
「指導者は俺だ。なにか文句があるなら実力で示せ」
「あああん?!」
先頭の不良はブチ切れる。
「てめぇ、俺様を誰だと思っている! 優秀揃いのグレゴーラクラスと呼ばれる6年1組! その中でも俺は上位2位の成績を誇る、ビリー様だぞ!」
「なんだ。1番じゃないのか」
「……殺す」
悪ガキ共は手をこちらに向け、構えた。
「死にやがれ! 中級魔法ファイアーボール!」
「中級魔法サイクロンウインド!」
「中級魔法ビッグストーン」
大人が相手だからなのか、魔障壁も張らないまま、魔法を直接当てようとしている。
大人が相手であろうが、やっていいことも悪いことも分別がつかないようだ。
とりあえず俺は、8メートルある距離を一瞬で詰めて、魔法が放たれる直前の悪ガキ共の手(3人分)を束ねた。
「は――?」
一瞬すぎて反応できない3人の悪ガキ。
そして、魔法が撃てないように、握った相手の手から魔力をコントロールし、魔力切れになるまで魔法を空撃ちさせた。
「どうした? 出せないのか? 魔法が?」
「ぐっ! 離せ! ファイアーボール! ファイアーボール!」
ビリーは俺を引き離し、魔法を使おうとするも、魔力切れで魔法が使えない。
「これが優秀なグレゴーラクラスの成績2位か。たかが知れるな」
「ああああああ!! ふざけんなカスがぁ!!! 覚えてろぉ!!!」
悪ガキ共は汚い言葉を吐きながらその場を去った。
「ここまで屈辱を与えておけば、今すぐには仲間を呼べないだろう」
「ありがとう! 先生」
「すごいよ先生!」
「スカッとしましたわ!」
「……安心した」
彼女たちは俺に感謝した。
「まあ、奴らならまた、ちょっかいを出してくるだろうから手を打つ……君たちは安心して魔法の練習を続けよう」
「「「「はい!」」」」
そうして、俺は準備を始めた。
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