第2話 甘い夢を魅せて 2
*
クリスマスイブの夜。依頼者は制服を着ていた。
珍しい客だ。相手をする客は大体自分より年上、20代半ばくらいから30代後半くらいの女性ばかりだから。
そしてそれは私にとって、重大な
「年齢は18ってことですけど、うそだよね」
「……」
プロフィールの
「名前とかは全然偽名で構わないけど、年齢嘘つくのは良くないね」
「……」
「見たところ高校生……中学生? 少なくとも、18ではないよね」
18というのは、私が設定している年齢制限だ。法律的に、ではない。だってそんなものとっくに
私があえてそれを
「まだこっち側に来るのは早いよ、しかもこんな日に……。悪いこと言わない。もう帰りな」
「……」
「黙ってないでさ」
「……帰るところなんてないです」
少女はポツリ、壊れたガラス
意味を判じかねてどうしようかと思っていると、少女は
「それ……」
その布の先端が、赤く濡れている。
染みているという方が正しいだろうか。
赤い、いや、赤黒い? ワインレッドの、染み。
「殺すつもりは、なかったんです。つい、かっとして」
「……」
私が絶句する一方、彼女は上着を脱いだ。そこに、現れる、同じ色の染み。違うのは範囲。
「ど、どうしようも、なくて、その……。こんなはずじゃ、なかったんです。いつもの、喧嘩だったんです。でも、なぜか、変に、腹が立って……」
「誰を、刺したの」
バクバクと、鼓動のうるさい心臓を抑えながら私は聞いた。思えば、初めてだった。依頼人の詳細を尋ねたのは。
「母親です」
「お母さんを……」
「私、もう、どうすればいいのか……」
「……」
血に染まった少女は泣いていた。
その
「ごめんなさい……。帰ります。私……」
涙を頬に浮かべながら、それを
その手首を、握る。
「えっと、ヒナちゃん、だったよね」
偽物だらけのプロフィールを頭に浮かべて、私は言った。
「はい」
「いいよ。特別に」
「えっ」
「お金はあるんでしょ。だったら、いいよ。クリスマスサービスで」
「ミナトさん……」
上着を着ようとしてた手を制止する。そして、涙が
彼女の頬に赤みがさしてゆく。私はそんな彼女の首筋に舌を当てて、ゆっくり、ベッドに押し倒した。
ルール違反ではあるし、倫理的にも正しいとは思えない。けれど、いいだろう今日くらい。
どんなことでも正当化できるのが聖夜ではなかったか。そうだ。そういうことにしておこう。だから、犯罪者と、妹と同じくらいの年齢の子と体を重ねたって、いいじゃないか。
きっとすべてが初めての体験だったのだろう。少女はずっと目を閉じて、声を我慢していた。その
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