第3話 朝風呂ハプニングと買い物デート その2
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朝からひどい───ある意味幸せな───目にあった。すっかり冷めた朝食を
「ねぇ勇也君。まずはどこから行きますか? 私としてはまず食器類を見てから家電を見に行きたいんですけど、勇也君はどう思いますか?」
一葉さんが何か言っているが俺はあえて答えない。ここで何事もなかったように、開店時間のことを考えてその案に賛成! と言うのは簡単だが彼女には少し反省してもらわないといけない。
「ねぇ勇也君。どんな食器がいいですか? やっぱり
ダメだ。答えちゃダメだ。カレー専用、パスタ専用の皿に憧れがあるけど食いついたらダメだ。テレビに集中するんだ。
「家電はどうしましょうか? 私達は高校生ですからお弁当のこととかも考えると大きい冷蔵庫にして買いだめして作り置きするのがいいと思うんです。そうなると炊飯器も高級なものにすれば冷めてもご飯は
茹でないといけないパスタがレンジで作れるのはすごく便利だな! それに冷めても美味しいご飯を弁当に持っていけるのもまた
「洗濯機はドラム式一択ですね。洗濯から乾燥まで出来るので勇也君が部活から帰ってきた後で回しても寝る頃には畳めますから」
干さなくていいなら俺でも手伝えるな。しかも洗剤とかを
「これでもメーカーの一人娘ですから。このくらい常識です」
「ははは。すごいね、一葉さん。俺なんか家電のことはさっぱりだよ」
「普通は逆だと思いますけどね。そんなことより、やっと口を
あっ。普通に反応しちゃった。
「安心してください。もうきっと、多分、おそらく、maybeしませんから機嫌を直してください」
無駄に綺麗な発音だったから感心したけどそれ絶対100%また突撃してくる人が言うセリフだよね。どこにも安心できる要素がないし何ならさらに機嫌が悪くなるぞ。
「今度はちゃんと……勇也君のお望み通りベッドの上でしますから。だから、許してください、ニャン」
「…………と、特別に許すけど。こ、今回だけだからな! 次また同じようなことをしたら本当に口きかないからな!? 三時間くらい!」
美少女にニャン、って招き猫のような仕草と笑顔を向けられて屈しない男がいるだろうか、いやいるはずがない。だから俺が屈したのは間違いじゃないんだ!
「フフフッ。勇也君のそういうところ、可愛くて好きですよ。さぁ、朝食も食べたことですし早く支度をしましょう。いくら宮本さんの送迎があると言っても買い物は時間と体力を使いますからね。早く行かないと帰りが遅くなってしまいます」
「あぁ……そうだな。わかった、準備するよ」
よっこらせと椅子から立ち上がる。だけど俺の場合、準備と言ってもそこまで時間はかからない。着替えて髪を軽くセットして待つだけだ。なんで髪を整えるかって? 女神のような超絶可愛い美少女と並び立つのに少しでも
「大丈夫ですよ。今のままでも十分カッコイイですから。それに、私は勇也君の心の在り方が何より好きなので外見は二の次です。誰が何と言おうと関係ありませんから気負わずに、ね?」
はぁとため息をつきながら頭をガシガシ
「
しかし俺の
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一葉さんの準備が整ってすぐに家を出て予定通りまずは食器を買いに向かった。食器はおしゃれなものがたくさんあって選ぶのが大変だった。
それだけでなくお祭りの屋台で見かけるような機材から食品サンプルのお店なども様々あって見るだけでも楽しく、目を輝かせて無邪気にはしゃぐ一葉さんがとても可愛かった。
お昼を食べておやつの時間になったころに家電量販店に移動して、冷蔵庫を含めた家電一式を買い
この店員さん、俺達が高校生であることを気にせず、俺達に何がしたいのか、何が出来たらいいのかをちゃんと
ただ
今日の買い物は一葉さんがメインで俺は付き添いみたいな感じだったが、もちろん俺なりに意見は出したぞ。イエスマンになるのは簡単だが仮にも俺と一葉さんは一緒に暮らすのだから、彼女に任せっぱなしはダメだろう。
そうそう。お支払いは何と驚きのニコニコ一括現金払いだ。分厚い封筒から封のされた札束をポンと出した時は、愉快な店員さんも固まっていた。俺もあんぐり開いた口が塞がらなかった。
「父から軍資金を託されたんです。そのかわり何の家電を買ったかは報告しないといけないんです。その際にあなたの名前を出しますのでお名刺
「は、はい……」
若干震えながら店員さんは名刺を一葉さんに渡した。受け取りながら一葉さんは女神のような微笑を浮かべて、
「ありがとうございました。あなたのおかげで今日はとても楽しい買い物が出来ました。父にもあなたのことはしっかりと伝えておきますね」
その後、この店員さんは出世街道をひた走り、やがて役員クラスまで成り上がるのだがそれはまた別の話だ。
「ふぅ……思ったより時間がかかりましたね。どうしますか、勇也君。家でご飯食べますか?」
「そうだな。疲れたけど家で食べようか。簡単なパスタとかでいいなら俺が作るよ?」
気軽に外食で済ますということは家計的にはよろしくないので可能な限り自炊をするべきだ。自分達の稼ぎがない現状なら
幸いなことに冷蔵庫は明日の朝一で届くから、冬の今の時期なら食材を買って残ったとしても一晩くらいは何とかなるだろう。まだスーパーも開いているだろうし、適当に買って帰って作ってもパスタならさほど時間もかからない。
「勇也君が作ってくれるんですか? 疲れているのにいいんですか!?」
「そりゃもちろん、一葉さんの手料理を食べたい気持ちはあるけどそれは今日じゃなくていい。機会なんてこれからたくさんあるんだろう?」
「はい、もちろんです! 明日は勇也君のために腕を奮っちゃいますから覚悟してくださいね! さぁ、そうと決まれば急いで宮本さんと合流してスーパーに行きましょう! 勇也君の手料理、すごく楽しみです!」
今日一番の笑顔で手を引かれ、俺達は店を後にした。
パスタを作ると言ったのはいいけどどれを作ろうか。一葉さんに気に入ってもらえるだろうか。どんな顔をしてくれるのか楽しみであり不安でもあるが、こういう日が日常になるのかと思うと、気持ちが温かくなった。
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