第7話 男同士の話し合い
俺は改めて、隣に座っている人間を見る。こいつは、確かに俺達みたいな耳やしっぽはない。それに、匂いも全然違う。人狼じゃないな。
「お前、人間なのか?」
「あ、ああ」
人間はおどおどしながら返事をした。
相当ビビってるみたいだ。
う〜ん。
シャロールは心配だが、ここで黙って待っているのも退屈だ。
せっかくだから、なにか訊いてみるか。
「シャロールとはどういう関係なんだ?」
見た感じ、シャロールとは仲がよさそうだ。でなけりゃ、シャロールはこんなやつをかばったりしないだろうし、こいつも手当てをするなんて言うはずがない。
「えっと……その……」
どうして戸惑ってるんだ?
「早く言え」
「シャロールは……僕の……」
「……」
「恋……人……?」
恋人?
つまり、番になるわけだ。
「お前みたいな弱そうなやつが相手で、シャロールは満足してるのか?」
女は誰だって、強い狼に……。
「どういう意味だよ」
「は?」
「どういう意味だって訊いてんだよ!」
人間は力の限りテーブルを叩き、勢いよく立ち上がった。そして、俺を鋭い目でにらむ。
こいつ、さっきまでと雰囲気が違うな。
少しは強そうだ。
「そんなに言うなら……!」
「見せてやるよ……!」
「何をだ?」
「僕の実力だ!」
人間は俺の腕を引っ張って、孤児院を出る。
なんだか面白いやつかもしれないな、こいつ。
「あんた達、どこ行くの!」
後ろからマザーの声がした気がする。
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