第4話 人間の驚異
「そんな町、知らないわね」
「私も知らないわ」
一体シャロールちゃんはどこから来たんだろう。
「そうですか……」
シャロールちゃん、落ち込んでる。
「人間の町に行ったら、なにかわかるかも……」
「ダメよ、レティリエ」
シャロールちゃんを元気づけるための私の提案はマザーに却下された。
「人間は人狼や人魚といった異種族を捕まえて売り飛ばしてるという噂を聞いたことがあるわ」
「「え……!」」
私とシャロールちゃんはマザーが語った衝撃的なことに驚いた。
「そんなところに女の子を一人で行かせられないわ。シャロールちゃんは見たところ異種族でしょ? 危ないわ」
「人間って怖い……」
「違うよ!」
シャロールちゃんは興奮しながら席を立って、叫んだ。
なにが「違う」の?
「確かに人間には悪い人もいる……」
「……」
「けど!」
けど?
みんなが固唾を飲んで次の言葉を待つ。
「佐藤みたいな人もいるもん!」
それだけ言い残して、シャロールちゃんは部屋から出ていってしまった。
テーブルには食べかけの食事が残されている。
「レティリエ、追いかけるぞ!」
さっきまで黙って話を聞いていたグレイルが突然立ち上がった。
「う、うん」
私は流れで返事をして、彼と一緒に孤児院を出る。
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