第10話番外編、BWの裏工作
拙者の名前は
拙者は痩せ型で髪は目元まで隠れる程伸ばし切った絵に描いたようなオタクでござる。
自分がインキャのオタクな事に胸を張っている。
そして同じインキャだと思っていた
と、言うのも戰刃夏火殿は2人の美女と仲良くなっている。
その美女の名前は
因みに何故女性にまで殿を付けるのかと言うとその方がキモオタっぽいからだ。
勿論わざわざフルネームを言うのもキモオタっぽいからでござる。
戰刃夏火殿に季節美衣子殿、先守冬子殿…これに加え
普通に考えれば無謀な挑戦だが、拙者はワンチャンあると考えている。
なにせ最強の華である季節美衣子が関わっているのだ!やりようはある!
しかしネオエイターとしての活動は中々難しいだろう。
遠くから監視してる拙者から見ても演技力は低いと思ってしまう。なので、演劇部に協力を頼んだのは正解だ。
今、エフェクターは二手に分かれている。三浦秋斗殿と季節美衣子殿は演劇部に、戰刃夏火殿と先守冬子殿は編集とかの作業の方に。
拙者は一先ず季節美衣子殿に着いて行く事にしたのだが、特に面白い事はなさそうだ。
なので、先守冬子殿の方を監視する事にした。
どうやらパソコンが無くて作業が進まない様だ。今の時代、ネット社会なのでスマホだけじゃなくパソコンも一家に一台の時代だ。
だからパソコンが無いと言うのは、ちょっと珍しい。
そんな事を考えて居たら移動するらしい。勿論拙者は着いていきますゾ!
戰刃夏火殿と先守冬子殿は待ち合わせ場所のファミレスへと入って行く。
ファミレスと言うのは大体デカイ窓のお陰で外からでも中が見えるのだ。よって拙者は外から双眼鏡で中を覗いている。
二人が座った席には一人の美女が座っていた。
彼女は我々より2年先輩で、とても優秀な人だ。
美人なのだが、どこか近寄り難い雰囲気を持っていて【氷姫】なんて呼ばれているでござる。
卒業するまでは、拙者もマークしていたが、勘が鋭いのか尾行に気付かれたりして結局これと言った情報は得られなかった。
「腹減ったなー」
聞き覚えのある声がした。
拙者ともあろう者が、監視に夢中になり過ぎて周りを見てなかった。
声の主は三浦秋斗殿でござる。
…、と言う事は当然季節殿も居る。
そうか!夏火殿が、二人を呼んだでござるな??
…と、思っていたのが、何やら季節殿の様子がおかしい。
一体何が…??拙者は季節殿を追いかける事にした。
追いかけながら頭の整理をする。
季節殿は何かを見て様子が変わった…その何かは、夏火殿??…いや、思い出せ…夏火殿と氷姫の2人を見て…??
ん?2人…??そう言えば先守冬子殿が居なかった様な気がする。
「はぁ…はぁ…」
拙者は見ての通り運動は苦手でござる。
季節殿は足が速い訳じゃないが、拙者は既に息を切らしてきてる。
き、キツいでござる…キツいでござるよ〜〜〜
「はぁ、はぁ、はぁ」
そ、そうか!季節殿は……
「ぐ、ぐおぉぉ!!」
気合を入れて走る為に声を出してみるもキツさは和らがない。
季節殿はっ!、、きっと夏火殿と氷姫が2人で居ると……
「はぁ、はぁ」
勘違いしたんでござるな??
つまり季節殿は!!夏火殿の事を―――
必死に季節殿を追いかけると公園に着いた。
もう辺りも暗くなってきた時間帯なので、公園には誰も居ず、季節殿は一つのブランコに座る。
拙者は、その位置が見える茂みの中に隠れる。
「はぁ…はぁ…」
あまり声を漏らさない程度に息を整える。
頭の中から全ての酸素が失われる所だったのか、頭が{ぼ〜}とし始めた所だった。
チラッと季節殿を見ると季節殿の目からは一筋の涙が流れていた。
拙者は、おんにゃの子が好きでござる。
別におんにゃの子をどうこうしたいとかは無く、ただ、可愛い子を眺めたりしていたいだけでござる。
拙者は、女性を大事に思ってる。
それはブスとか熟年とか、そんなの関係なしに全ての女性を大事にしている。
何故なら女性は神秘だからでござる。
女性が居なければ人間は、ここまで繁栄していない。それは、とても慈しむ事なのでござる。
女性には常に笑っていてほしい。
女性には、笑顔が似合う。
だから拙者は、女性の涙が1番嫌いだ。
何となく季節殿が泣いてる理由は分かってる。
きっと季節殿は、氷姫の事を夏火殿の彼女と勘違いしたんだ。だから、、泣いてる。
それはつまり季節殿の好きな人は―――
「にゃ〜」
むむ!?
季節殿に夢中で、拙者の背後に現れた子猫に気付かなかった。
「こ、こら!静かにするでござる!」
右人差し指を鼻の前につけ説得するも「にゃ〜」と猫は自分の存在を主張する。
流石にこのままじゃヤバい!
拙者は、子猫を掴みブランコに座る季節殿の方へ静かに投げる。
「にゃ〜」
子猫は季節殿を見つけるとすぐに駆け寄った。
「あら、あなたも1人なの…??」
自分の足元に駆け寄る子猫を抱っこしながら季節殿は独り言を言う。
「私ね…好きな人居たの…。ずっとずっと好きだったの。……でも手遅れだったみたい」
「にゃ〜」
季節殿に抱っこされてる子猫は、季節殿の目から流れるものを舐める
「きゃっ、くすぐったいわよ」
そんな光景を見て、拙者はエモいと思った。
そしてその笑顔を護りたいと思った。
なら拙者が出来る事は―――
ここ数日、夏火殿と季節殿について調べてみた。
どうやら二人は幼馴染と言う関係らしい。しかし、ある時から疎遠になってる。
「ふむ…なるほど」
誰に聞かすわけもなくポツリと独り言を呟く。
つまり季節殿が夏火殿にホの字になる理由はあるって事でござる。あとはそれの背中を押してあげるだけ…
しかし話した事もない拙者が、二人の仲をどうこうするのは難しい話だ。
「さて、どうするでござるか…」
そんな時だった。
朝、学校に行くとたまたま凄い話を耳にした。
「俺は今日季節にコクる!」
「じゃあ私も三浦君に告白する!」
どうやら松岡殿と笹塚殿が話をしているみたいだ。
この二人がどう言う関係なのかは分からないが、エフェクターの活動で急接近した想い人に対して気持ちが急いだみたいでござるな。
だが残念でござったな!
三浦殿は分からぬが季節殿には好きな人がいる…松岡殿はフラれるでござるな。
と言うか季節殿は今そんな気分では無いでござろう……呼び出しにも応じない可能性も高い。
なんとか夏火殿に季節殿の気持ちを伝えられたらなぁ……
ん?……待てよ……
!!!!!!!!!
そうか!拙者思い付いたでござる!!
松岡殿が季節殿に告白すると言う話を裏掲示板に書き込む……すると瞬く間にその話は広がっていき…やがて夏火殿の耳に入るでござろう。
そしたら何かが動き出すのでは??
何度も言うが拙者は季節殿はおろか、三浦殿も先守殿も接点はない。夏火殿とは以前少しだけ話をしてた時期もあったが、特別仲良い訳じゃない。
だったら何故ここまで関わっていくのか?と思われるでござろうが、拙者は女性には笑顔が似合うと思ってるでござる。
その笑顔を護りたいだけで動く変態でござるよ。
こうして拙者の思惑通りに松岡殿の告白が広まっていった。
昼休みになると夏火殿が動き出した。
多分季節殿の所に行くんだろう…と、思っていたが、フラフラと学校内を彷徨っている。
「まさか場所が分からない?」
つい小声を出してしまった。
だが、間違いない!夏火殿は季節殿がどこに呼び出されたのか分からないのだ!
これは参った!と思うもクラスメートの男子を二人見つける!
「すまんが頼まれてくれないか?」
「ん?どうしたんだ?
頼み事は、この先の廊下で松岡殿が季節殿を体育館に続く渡り廊下に呼び出したと言う会話をしてもらう事。
これで夏火殿に場所が知れ渡るでござろう。
任務を終えた二人が話しかけて来る。
「あんなんで良かったのか?」
「ばっちりでござるよ!」
「良く分からないけど報酬サンキューな!」
報酬と言うのは2千円でござる。
お金を使って人を動かすのは好きではないが、時間も無かったから禁じ手を使わせてもらったのでござる。
あとは、夏火殿が季節殿の告白の場に行けば……何かが起こるでござろう。
拙者は見守るだけでござる。
それはそうと、春野ノノ…彼女がエフェクターの周りをウロチョロしてるのが気になるでござるな。
春野ノノ殿と言えば両親共に俳優をしていて兄の方も最近ドラマで良く観る。そんな純粋な俳優一家の末っ子が、ドラマで売れようとしてるエフェクターに接近している。
これは――
――面白くなりそうでござる。
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