第168話 回復
ポーションを飲み干すとス〜ッと身体が軽くなるような感覚がする。
身体を動かしてみるが、普通に動く。
足に若干の違和感は残っているが、動かしても先ほどまでの激痛は全くなくなっている。
「すごい……」
「そうだろう? 僕も最初使った時はびっくりしたんだよ。値段もそこまで高いわけじゃないし」
「すいませんお支払いします」
「ああ、大丈夫。今回はプレゼントだから。だけど常用すると、頼りすぎるし効果も少しずつ落ちてくるからどうしてもの時だけにしといた方がいい」
「ありがとうございます。そうなんですね」
常用するとと言われても、入手方法もよくわかってないのでその心配はないが、これだけ効くなら常用したくなる気持ちもわかる。
「『瞬光』だけど、制限いっぱいまで使うんじゃなくて、最初は短時間にしておいた方がいい。そのうち身体が慣れて普通に使えるようになるから」
「これ、身体が慣れるレベルを超えてないですか?」
「それが人体の神秘だよね〜。僕も最初はもう無理って思ったけど、いつの間にかリバウンドなしで使えるようになってたから」
「そんなものですか」
正直さっきまでの全身筋肉痛を考えると、そう簡単に慣れることができるとは思えないけど、調整しながら上手くやっていくしかない。
「念の為に渡しておくよ」
そう言って弦之助さんは、先ほど飲み干したのと同じ瓶を渡してきた。
「いや、悪いですよ」
「僕がいつも来れるわけじゃないからね。それに凛くんには葵の面倒も見てもらってるし」
「パパ!」
「ポーションだけどAランカー以上だと案内が来るんだよね。だからしばらくは二人じゃ買えないんだ。だから念の為渡しておくよ。それとある程度の傷も治るけど重度の骨折や部位欠損とかには効果が薄いから」
そう言うと、弦之助さんは用があるらしく帰って行った。
「凛くん、よかったです。起きられなくなった時はどうしていいかわからなくて」
「葵がいてくれてよかったよ。葵がいなきゃ一人でベッドから起きることができなかった」
「これからは無理にスキルを使うのは控えてくださいね」
「ああ、気をつけるよ」
弦之助さんからポーションをもらったとはいえ、あの状態になるのは避けたいので、慣れるまでの間『瞬光』は限定的な使用を繰り返すしかない。
「それと今日は、依頼を受けるのは無しにしましょう」
「ポーションのおかげでもう動けるけど」
「凛くん! ダメに決まってるじゃないですか。さっきまでの状態を忘れたんですか?」
「いや、もちろん忘れてないよ」
「だから、今日はダメですよ」
「わかったよ」
少しでも早く使いこなせるように、今日も依頼を受けたいところだけど葵が心配してくれているのもわかるし、それが本当にありがたいので、おとなしく葵の言う通り今日は依頼を受けずにゆっくり過ごそう。
最近、毎日のようにモンスターを狩っていたので、たまにはこんな日があってもいいよな。
「それじゃあ、朝ごはんを食べたら勉強しましょうか」
「え……」
どうやら葵の中で、今日勉強するのは別にいいらしい。
確かに全身筋肉痛だったことと勉強はあまり関係はないかもしれない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます