第165話 リバウンド
やはり、『瞬光』を使った影響だろう。
全身が重いし、頭が働かないので普段よりも早めに勉強を切り上げて、今日は早めに寝ることにした。
ベッドに横にはなってみるが、時間が早いせいか寝付きが悪い。
「うう〜ん。それにしてもグレムリンが相手にならなかったな。あんなに苦戦してたのに」
今日の戦闘を思い返してみるが、やはり『瞬光』のスキルの効果が際立っていた。
今日は他のスキルと組み合わせて戦ったが、今日の感じだとボウガンや他の武器と組み合わせて戦っても十分いける気がする。
最終的には武器とスキルを組み合わせながら戦いの場を制圧することのできるチートスキル。
それが『瞬光』だが、ネックは一度しか使えず、時間制限があること。そして俺ではスキルの威力が大幅の減衰してしまうことでオリジナルの良さを引き出せないんじゃないかという点だ。
ただこれは俺の問題なのでどうしようもないことだ。
そんなことを考えているうちに意識がなくなって深い眠りへとついた。
「凛くん、凛くん! しっかりしてください! 凛くん! あぁ、意識が戻りません。どうすれば……。凛くん……」
あれ……、もう朝か。葵の声が聞こえてくるが、いつもと感じが違うな。
「凛くん、お願いです。目を覚ましてください。凛くん」
そんな必死に頼まなくても、起きるって。
俺は起きるために目を開けようとするが、まだ目が覚めてないのか瞼が重い。
必死に瞼を開こうと奮闘し、徐々に葵の顔が見えてきたが、なぜか葵が泣いている。
あれ……まだ夢の中か?
「凛くん。意識が……よかった。よかった〜。凛く〜ん」
俺が目を開けると葵が泣きながら俺に抱きついてきた。
う……
なぜか葵に抱きつかれた身体が痛い。
この痛み。夢じゃない!
「う……葵」
「はい、凛くん」
「痛い……」
「え!? どこか痛いんですか? 大丈夫ですか? 大変です」
「いや……葵が」
「わたしがどうかしましたか? ……あっ! すいません、つい嬉しくて」
葵がその場から飛びのいて俺を離してくれる。
おかげで痛みが減ったのでベッドから起きあがろうとするが、全身に激痛が走って起き上がることができない。
「え……なんだこれ」
どうにかか、力を入れて起きあがろうとするがダメだ。
「くっ……は」
「凛くん、もしかして起き上がれないんですか? あぁ、どうすれば……」
「葵、落ち着いて、大丈夫だから」
「いえ、でも……」
痛みで頭ははっきりとしてきた。
葵の態度と今の状況を考えると、葵がいつものように俺を起こそうとしてくれたのだと思うが、俺が起きてこなかったのだろう。
そして今のこの全身の痛み。
こんな痛みは味わったことがないが、思い当たることはひとつしかない。
昨日戦闘で『瞬光』を使ったことによるリバウンド。
弦之助さんが言っていたリバウンドとしか思えない。
最初に使った時は、ほとんどなんともなかったので完全に甘く見ていたが、これは強烈だ。
起き上がれないほどの全身筋肉痛。そもそもこれを筋肉痛と呼んでいいのかもわからないレベルだ。
だけど弦之助さんはスキルの威力が減衰するおかげで、リバウンドも軽く済むかもと言っていたが、これで軽いのか?
弦之助さんが最初にスキルを使用した時にどれほどのリバウンドがきたのかを考えるだけで恐ろしい。
やはり、これほどのアドバンテージを得ることができるスキルを簡単に使いこなすことはできなかったようだ。
いずれにしても、今日これからどうすればいいんだ。
ベッドから起き上がることができない。
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