第148話 ビッグイベントは突然に

「ただ、ここ最近モンスターの出現傾向の異常が報告されるケースが増えてきているんです」

「異常ですか?」

「はい、さすがに今回の様なケースは稀ですが、モンスターが戦闘中に進化したケースや、戦闘時にモンスターの数や種類が増えたりといったケースの報告がこの二ヶ月ほどで急に増えてきているんです」

「あ、俺たちも種族進化は以前見ましたよ。ゴブリンがゴブリンファイターに進化しました」

「お二人もですか。やはりなにかが起きているのかもしれません」

「なにかって、なにが起こってるんですか?」

「それはわかりません。残念ながらモンスターのこと自体が未だにほとんど解明されていませんから。ただ良くない報告が増えているのは確かなので、今後、サバイバーの方たちには集団で戦っていただくことも増えるかもしれません」


たしかに今回は運良く乗り切れたが、次同じ事が起きればどうなるかわからない。

今後他のパーティと連携する必要もあるかもしれない。

一応今回のことは遠薙さんや相谷さんには伝えておいた方がいいだろう。


「今後、協会からもなんらかの注意喚起が出る可能性もあるけど、これまで以上に慎重にかかってください」

「わかりました。それじゃあ僕たちはこれで失礼します」


俺たちは協会での報告を終え、部屋を出る。


「他にも似た様なケースが起きてるって言ってたね。やっぱりなにか起きてるのかな」

「そうですね。今のこの状態が既に何か起こっているということなのか、それともこれから起こる前兆なのかも気になりますね」

「前兆……なんか怖いな」

「いえ、あくまでもそうかもしれないというだけなので」


ゴブリンが30体出ただけでも、俺にとっては大変な出来事なのにこれ以上の出来事が起こったら、どう対処していいのかわからない。


「そういえば、昨日の件があって凛くんに伝え忘れていました」

「え? なにを?」

「私の両親なんですけど、昨日連絡があって、あさって日本に帰ってくるそうです」

「あさって! もうすぐじゃないか。もしかして家に来たりする? するよね。はやく帰って準備しないと!」


ついに来てしまった。

あまりに突然にそしてさらっと葵から告げられてしまった。

葵のパパとママとの対面。

俺の脈拍が速くなっているのを感じる。

急いで帰って迎える準備をしないといけない。

でも迎える準備ってなんだ? 今までに部屋に入れたのは葵だけなので迎える準備といってもなにも思いつかない。

やばい。

完全に自分がテンパって舞い上がっているのはわかるが、どうしていいかわからない。

とにかく早く帰ろう。


「葵、早く帰ろう!」

「でも、凛くん他にも用事があったんじゃ」

「そんなのはどうでもいいから、とにかく帰ろう。まずは掃除だな」

「凛くん、掃除は毎日していますよ」


そうだけど、それ以外に今は思いつかないんだ!

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