第147話 報告2

「そう言われてもこちらも忙しいんです。EランカーがCランクのレイド案件を単独パーティで処理したと言われても話になりませんね」

「それでは証拠を見せればいいんですね。さすがにそこまで言われてはこちらもひきさがるわけにはいきません」

「証拠? 動画でもあるんですか? 動画は加工できますからね」

「凛くん、昨日の魔核をこの方に見せてあげましょう」

「ああ、わかった」


俺は急いで昨日手に入れた魔核をカウンターの上へと取り出した。


「こ、これは……」

「どうですか? これでも嘘だと言われるんですか? この大きな魔核がEランクのものだとでも言いますか? それともこれも加工したとでも?」


葵が完全に怒っている。

俺が葵の怒っている姿を見るのはこれまでに何度かあったが、いずれも俺がバカにされた時に怒っている気がする。


「この大きさはCランクの魔核……まさか本当に」

「だから最初からそう言ってるでしょう」

「そ、それは失礼しました。すぐに上司を呼んできますので、そちらの部屋でお待ちください」

「わかってもらえればいいです」


受付の人もようやく信じてくれたようで、俺たちは応接室のようなところへと案内される。

ソファに腰掛けて待っているとすぐに受付の人ともう1人別の人が入ってきた。


「初めまして。協会事務所係長の太田です。よろしくお願いします」

「はい、俺が山沖でこっちが若葉です。どっちもEランクです」

「早速本題にはいりますが、内容は大体聞きました。Eランクの依頼にゴブリンが三十体、ゴブリンファイターが二体、そしてゴブリンロードまで出たということで間違いないですか?」

「はい、それで間違いありません」

「それと既にその一団は山沖さん達が倒したという認識でよかったですか?」

「はい、そうです」

「魔核があるようなので、間違いないのでしょうがEランク二人でCランクのゴブリンロードを倒すとは信じがたいですね。ただ山沖さん達が倒してくれたおかげで被害が広がらずに済みました。本当にありがとうございます」

「いえ、倒せたのはたまたまです。それに倒す以外に選択肢が無かったので」

「Cランクはたまたまで倒せるような相手ではないのですが」


そう言われても本当にたまたま倒せたのだから他に言いようはない。


「いずれにしてもサバイバーの依頼は、ご承知の通り、衛星から来た映像をAIが判断して各サバイバーへ依頼されます。ですのでEランクの依頼にCランクの案件が紛れ込むということは本来ならあり得ません」

「あ〜たぶん、山が近かったので山の中に潜んでいたんだと思います」

「そうだとしても一度にそれだけのモンスターが湧くということ自体が異常なんです」

「まあ、確かにそれはそうですよね。三十体以上いましたから」

「ただ……」

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