第146話 報告
翌朝はしっかり寝たおかげでスッキリと目が覚めた。
あれほど重かった身体もずいぶん軽い。
葵が朝ごはんを作ってくれ、美味しくいただいてからすぐに勉強に取りかかった。
俺的には今日はゆっくりしてもいいんじゃないかとは思ったけど、食事の片付が終わったと同時に葵が勉強の用意を整えてしまったのでそのまま勉強をすることになってしまった。
この一貫性と切り替えの速さが葵の強さなのだと改めて実感してしまった。
俺1人なら間違いなくこの時間は違うことをしていたはずだ。
結局午前中はずっと勉強して、お昼ご飯を食べてからサバイバーの協会事務所へと向かうことにした。
「すいません、昨日の依頼で報告したいことがあるんですけど」
「依頼の件ですね。それではあちらの受付へお願いします」
この前来た時とは違う窓口へと誘導されたので、葵と二人で向かう。
「すいません。昨日の依頼で報告したいことがあるんですけど」
「はい、どういった内容でしょうか」
「僕たちEランクなんですけど、昨日受けた依頼で現場へ向かうとゴブリンが三十体以上とゴブリンファイターが二体それにゴブリンロードが一体出たんです」
「え〜っと、それはレイドの話ですよね。何か問題がありましたか?」
「いえ、レイドの依頼ではなく俺たち二人単独の依頼です」
俺がそう答えると、受付の人は明らかに困惑したような表情を浮かべる。
「……すいません。よくわかってないのですがEランクのお二人が依頼を受けて、現場に行ったらゴブリンが三十体以上とDランクのゴブリンファイターとCランクのゴブリンロードがいたということでしょうか?」
「はい、そういうことです」
「え〜っと、それでそのゴブリンたちはどうしたのでしょうか? まだ現場にいるということですか?」
「いえ、もう倒したのでそれは大丈夫です」
「倒した?」
「はい、俺たち二人で倒しました。あっ、でも最後は救援要請を出して助けてもらいましたけど」
「ああ! 高ランカーのサバイバーが救援に駆けつけたということですか!」
「いえ、救援に来てくれたのはFランカーです」
「はい?」
「ですから、救援に来てくれたのはFランカーともう1人は多分Gランカーじゃないかな」
「…………」
俺がそう答えると、受付の人は無言になってしまった。
「あの〜どうかしましたか?」
「あ、はい。失礼ですが、これは悪戯かなにかでしょうか? もしかして面白動画とかにあげるつもりでしょうか? 職務中ですので、迷惑行為は困りますよ」
「え?」
「用がないならお帰りください」
「待ってください。先ほどから聞いていましたが、勘違いも甚だしいようですね。凛くんがそんなバカなことをするはずがないじゃないですか。迷惑行為? しかも帰れとは、きちんと報告しにきた人間に対して少し失礼なのではないですか?」
葵が明らかに怒った口調で受付の人に反論を始めた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます