第140話 スキルの覚醒
慌ててステータスを確認すると、明らかにおかしい。
スキル 『フェイカー』《ウィンドブレイク0》《ボルテックファイア0》《ライトニング0》〈《アイスブラスト6》〉《 風舞0 》
「なんだ? このスキル」
スキルゲージに見覚えのないスキルがある。
『アイスブラスト』
『アイスジャベリン』でもなく『エクスプロージョン』でもなく『アイスブラスト』?
エラーか?
『エクスプロージョン』発動しない理由はこれか。
それならこのスキルなら使えるのか?
色々と気になる点はあるが今はそれどころではない。とにかく葵を助けなければ。
俺は、使えるのかどうかもわからないスキルを唱える。
「発動してくれ、頼む。『アイスブラスト』」
得体の知れないスキルをゴブリンロードに放つと、ゴブリンロードの周囲に冷気が集中し、そして弾けた。
弾けたというよりも破裂したといえばいいのだろうか?
おそらく凍った大気が爆発したのか?
「グウアウアアア〜」
ゴブリンロードを冷気の爆発が襲い、ダメージを与える。
効いている。
『アイスジャベリン』を歯牙にも掛けなかったゴブリンロードに大きなダメージを与える事ができた。
今までの『アイスジャベリン』とは比較にならないほどの威力だ。
なぜこんなスキルが俺に使えるのかは全くわからないがチャンスだ。
『アイスブラスト』
冷気が爆ぜて剣を持つゴブリンロードの右腕を破壊する。
「グウゥウウゥウウ」
いける。あれほど硬かったゴブリンロードの防御を完全に凌駕している。
「いける。『アイスブラスト』」
「グウウアァ」
三発目の発動でゴブリンロードは俺から見てもわかるほどボロボロになっている。
「もう一発だ。『アイスブラスト』」
「ガァ……」
もう虫の息だ。これで決める。
「これで終わってくれ! 『アイスブラスト』」
五発目の『アイスブラスト』を放つと同時にゴブリンロードは地面へと崩れ落ちそのまま消滅した。
「終わった……」
俺も疲労感からその場へと座り込んでしまった。
何が起こったのか自分でもよくわからない。なぜ見たこともないスキルが使えたのかもわからない。
しかも威力がおかしい。タイプは違うがおそらく『ボルテックファイア』と同等かそれ以上かもしれない。
俺の減衰する模倣スキルではまずあり得ないような威力。
『アイスジャベリン』では全く効果がなかったので『エクスプロージョン』に換装した。
それがなぜか『エクスプロージョン』が使えることはなく『アイスブラスト』という見たことのないスキルへと変わってしまっていた。
やはり考えてみても答えは出ないが、今は後回しだ。
「葵……」
気力を振り絞って立ち上がり、意識を失っている葵の下へと急ぐ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます