第114話 春休み初日
昨日の夜は、葵がハンバーグを作ってくれた。
ファミレスのハンバーグとは違う感じだけど、とにかくおいしかった。
どっちもおいしいけど、葵の作ってくれたハンバーグは格別においしかった。
俺としてはせっかく春休みになったので依頼以外の時間は家でのんびり過ごすつもりだったが、残念ながら俺は今勉強している。
今日の勉強内容は一年生の復習だ。
「二年生からはもっと難しくなりますから、今からやっておけば安心です」
「春休みぐらいはゆっくり……」
「凛くん、何事もメリハリが大事です。春休みをずっと遊んで過ごすとダメ人間になっちゃいますよ」
「初日の今日ぐらいはいいんじゃ」
「明後日動物園に行くじゃないですか。ですので今日はお勉強です」
「はい……」
長期休暇の初日から勉強するのは俺の十六年の人生の中で初めてだと思う。
きっと葵にとっては当たり前の事なんだと思うけど、外はいい天気だ。
まあどうせ、いい天気でも外に出る気はあまりなかったので天気はそれほど問題ではないけど。
復習とはいっても教科も多い上に一年分となると膨大な量になるが、やるしかない。
「凛くん、復習が終わったら二年生の予習を一緒にしましょう」
俺を待ち構えている山は一つではない。
止まっている時間はない。
この調子で勉強を続けていけば本当に十番以内も見えてくる可能性がある。完全に俺の脳には今までにない圧がかかっている事だろう。
当たり前だが、勉強をしすぎても脳が溶けたりすることはないので、覚悟を決めて真面目に勉強する。
今日からは一日に二度の依頼を受ける予定にしているのに、なぜかまだ依頼の連絡音が鳴らない。
時刻は既に十四時だ。
普段は、ほぼ毎日のように放課後依頼が来ているのに、こんな日に限って依頼が来ない。
この調子なら今日は依頼は受けれても一度のみかもしれない。
依頼がないのでご飯とトイレの時間以外は勉強するしかなくなっている。
俺は既に前回のテストで限界突破している。
ここからは限界突破の更にその先だ。
限界突破のその先。言葉を聞くとカッコ良く感じるが、一般人にすぎない俺にそんなものが存在するのかは全くわからない。
「凛くん、少し休憩しましょうか。紅茶でいいですか?」
「うん、お願いします」
ようやく、休憩だ。
疲れた〜。脳が働きすぎて糖分が足りなくなっている気がする。
『ピピッ』
あ……依頼だ。
待ちに待った依頼なので嬉しい。嬉しいけど休憩に入ろうとした瞬間の依頼なので少し複雑だ。
どうせならもう少し早いか、遅く依頼が入っていれば、休憩もしっかり取れたはずだ。
依頼のせいで休憩時間がなくなってしまった。
きっと葵は依頼が完了した後に休憩とかは取ってくれないんだろうな。
「凛くん、準備していきましょう」
「わかった」
十五時三十分に春休み最初の依頼を受けることになったが、移動もあるので恐らく今日はこの依頼で終わりだろう。
しっかりがんばってモンスターを討伐してリフレッシュしたい。
勉強のしすぎで肩と目が疲れた……
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます