第112話 ゴブリンファイター
雷がゴブリンファイターをうつ。
ホブゴブリンであれば間違いなく一撃で葬る力を持つ雷撃をくらっても消滅しない。
このゴブリンがランクアップしているのは間違い無い。
「これでどうだっ。『風舞』」
すかさず次のスキルを繰り出す。
俺にとっては二番目に強力なスキルだ。うまくいけばDランクであっても一撃でしとめることが出来るはずだ。
集約した風がゴブリンファイターを襲い、その身を刻む。
「カァアアア〜!」
ゴブリンファイターの悲鳴とも雄叫びともいえる声が周辺に響く。
風の刃がゴブリンファイターにダメージを与えるが、この大型のゴブリンは腕で顔を防御しながら『風舞』を耐えきった。
「燃えなさい。『エクスプロージョン』」
葵が爆炎でゴブリンの身を焼く。
『風舞』でダメージを受けたゴブリンは爆炎から逃れる術を持たず直撃した。
「ガァアアアアア」
まだ消滅しない。この耐久性といい、見た目も含めてゴブリンなのにギガントオーガにも匹敵するようなモンスターだ。
「凛くん、もう少しです。このまま二人で押し切りましょう!」
「わかってる」
俺たちのスキル攻撃でゴブリンファイターはもうボロボロだ。今の攻撃を続ければいける。
「これで終わりだ! 『風舞』」
「これで決まってください『ウィンドカッター』」
二つの風のスキルがボロボロのゴブリンファイターを襲い、更にダメージを与え、ゴブリンファイターがその場へと崩れ落ちた。
「しぶといな。だけどこれで終わりだ。『アイスジャベリン』」
崩れ落ちたゴブリンファイターに向けて氷の槍を放ちとどめをさす。
「終わった〜。さすがにちょっと焦ったよ。種族進化ってほとんど反則じゃ無いか? 普通に依頼のランクをオーバーしてるし」
「私も種族進化なんて初めて見ましたが、ゴブリンファイターも耐久力がありましたね」
「ああ、ギガントオーガに比肩するレベルだった。ホブゴブリンがとんでも無いな」
「今回攻撃を受ける前に倒すことが出来ましたが、もしかしたら攻撃力も高かったかもしれませんね。しかもこれは、ランク別に依頼のくるサバイバーのシステムを根底から覆すようなことです」
葵の言う通り適正ランクの2ランク上のモンスターが突然出現する可能性があるなんて、あり得ない。
Cランクといえば、以前目撃したドラゴネットと同等のランクだ。
オリジナルの『ライトニング』では倒せずに神木さんが『ボルテックファイア』でしとめた相手だ。
どう考えても俺の劣化『ボルテックファイア』で倒せる相手では無い。
「まあ、滅多にあることじゃ無いだろうし今回はDランク止まりでよかったよ」
「それは、そうなのですが……」
「葵、どうかしたの?」
「いえ、このところヨーロッパ由来のモンスターが頻出したり、今回の種族進化といいイレギュラーが続いているので、なんとなく心配になってしまっただけです」
「まあ気持ちはわかるけど、俺たちにはわからないことだからな〜」
「そうですね。私が少し神経質になっているだけかもしれません」
こうして終業式の放課後はイレギュラーな事態に遭いながらも、無事に依頼を達成することが出来た。
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