第111話 種族進化
現場に着くとそこにはFランクモンスターであるホブゴブリンが三体暴れていた。
「じゃあ、順番に片付けていこう」
「はい」
以前はあれほどまでに苦戦したホブゴブリンだが、レベル10を超えた今の俺たちなら問題なく倒すことが出来る。
とはいっても相手はモンスターなので気を抜くわけにはいかない。
『風舞』
ホブゴブリンの一体に向けてスキルを放つ。
ホブゴブリンの周りに風が集約してその力を解放する。
集約した風が鋭利な刃と化しホブゴブリンの肉と命を刈り取る。
「わたしも!『ウィンドカッター』」
葵もスキルを発動してホブゴブリンの首を刎ねる。
これで残るはホブゴブリン一体のみ。
「ガアアアアアアアアアアアア〜!」
まだなにもしていないのに突然残ったホブゴブリンが雄叫びをあげ、苦しみ始めた。
なんだ? なにが起きたんだ?
「葵、これは……」
「わかりません。仲間がやられておかしくなったとも思えませんが、とにかく倒してしまいましょう」
確かに葵の言う通りだ。
倒してしまえば特に問題は無い。
攻撃を開始しようとしたその時ホブゴブリンの体が変化を見せ始めた。
リザードマンの時と同じように、筋肉が膨らみ体躯全体が大きくなっていく。
身体だけでなく、顔つきやその立ち姿も変化しているようにも見える。
「葵、これは……」
「私も初めて見るので確証はありませんが、おそらくあれはモンスターの種族進化です」
「種族進化!?」
「はい以前戦ったリザードマンのあれは強化ですが、ホブゴブリンに強化スキルがあるなどと聞いた事がありません。となれば考えられるのは種族進化です」
「そんな事があるのか。じゃあ、あれはホブゴブリンじゃなくなったってことか?」
「種族進化など、本当に稀のはずです。それにあの姿はどう見てもホブゴブリンよりも上位種。さすがにゴブリンロードでは無いと思いますが、ゴブリンファイターでしょうか?」
「葵、ゴブリンファイターのランクは?」
「ゴブリンファイターのランクはDです。私たち二人なら十分に対応可能です」
しかしランクDか。今までも何度か倒すことが出来ているのでどうにかなると思うが、Fランクのモンスターが突然Dランクに進化するとはとんでもないな。
まさかEランクのモンスターが進化したらCランクになるのか?
ゴブリンファイターでDランクということはゴブリンロードはそれ以上という事か。
イレギュラーな出来事に焦ってしまったが、ある意味ラッキーだったかもしれない。
突然戦闘中にCランクのモンスターが出てきたら、俺たちでは勝てると思えない。
ホブゴブリンの雄叫びが終わると共に、種族進化が完了したようで、ひと回り以上大きくなり、頭に瘤のようなものができたホブゴブリンいや今はゴブリンファイターがこちらを見据えて向かって来ようとしている。
確かに先程までのホブゴブリンとは圧力が違う。これが種族進化か。確かにFランクのモンスターではなくなってしまったようだ。
ただ、敵が種族進化したとしても、俺がやる事は決まっている。
「くらえ!『ライトニング』」
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