第105話 成長限界
サバイバーLV11
スキル 『フェイカー』《エクスプロージョン8》《ボルテックファイア2》《ライトニング3》〈《アイスジャベリン5》〉《 風舞3 》
俺のレベルは確かに1つ上がり表示はLV11となっている。
ただ他の表示は全くレベル10の時と変化を見せていない。
スキルホルダーが増えるわけでもなく模倣スキルの使用上限回数が増えているわけでもない。
レベルが上がったにもかかわらずステータスに変化が見られない。
考えられる事は一つしかない。
『成長限界』
サバイバーとしての能力の限界に達してしまった。
レベル10が俺の能力値の限界だったのだろう。
最下層ランクだった俺が今はEランカーとなっているので十分とも言える。
日々の稼ぎも以前と比べて飛躍的に向上しているので例えここで成長が止まったとしても困る事はないだろう。
ただ……
葵とはこれ以上一緒にいる事は難しいかもしれない。
俺は今の強さが限界だとしても葵は違う。
このまま成長を続ければいずれDランクへと上がりCランクに到達する事も可能かもしれない。
だが俺はEランク最下位が限界……
「凛くん、どうでしたか?」
「え?」
「レベルが11に上がったのですよね。なにか変化はありましたか?」
「あ、ああ、まあ、スキルの使用上限が上がったよ」
「そうですか、これでまた凛くんは強くなりますね。凄いです」
咄嗟に嘘をついてしまった。葵に置いていかれる。その恐怖が脳裏をよぎり口を突いて出たのは真実とは異なる言葉。
そこから葵と一緒に家まで帰ってきたが、レベル11になったステータス『成長限界』のことで頭がいっぱいで、なにも手につかない。
「凛くん、体調でも悪いのですか? ボ〜ッとしているようですが」
「あ〜ちょっと疲れたのかな。今日は早めに寝ようかな」
「そうですね。それじゃあ今日はこれで失礼しますね。しっかり休んでください」
葵が自分の部屋へと戻り、部屋に1人となる。
「あ〜ここまでか……しょうがないな。うん、しょうがない………くそっ、なんで今なんだよ。なんで……俺は……」
頭では理解している。
凡人以下の才能のかけらもなかった俺が、レベルアップして奇跡的に葵とパーティを組むことができてここまでこれた。
俺にとっては、ここまでが信じられないような出来事だった。
一生分の運と幸運を使い果たしたと言われればその通りだとも思う。
Eランクまで上がった能力で今後もサバイバーとしてやっていく事は問題ないだろう。
だけど……
なんで今なんだ。
できることなら後二年待って欲しかった。
贅沢な望みだとはわかっているけど高校を卒業するまでは、この幸運を享受していたかった。
せめて高校生の間は葵の横に立っていたかった。
葵を横で支えるのは俺でいたかった。
葵に出会ってからの色々な出来事が頭の中に浮かんでくる。
もう叶わぬ望みとは知りつつも、悔しさにとめどなく涙が出てきて頬を濡らした。
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