第103話 グレムリン
「キャキャキャキャキャキャ」
グレムリンが猿に似た声をあげる。
ミルオコレオは消滅したがまだグレムリンが二体残っているので、気を緩めている場合ではない。
「グレムリンって何か特殊能力とかあるの?」
「詳しくは知らないのですがEランクなので弱いという事はないはずです」
「あの小ささでEランクなのか」
グレムリンの大きさは小型犬から中型犬の間ぐらいの大きさなのでモンスターとしてはかなり小さい。
この大きさでEランクということは大きさ以外に何か力があるということなのだろう。
グレムリンの一体が唸り声を上げながら、こちらに向けて駆けてくるが、剣を構えて待ち構えていると、グレムリンが突然加速した。
「『ライトニング』なっ、速い」
身の危険を感じてグレムリンと俺たちの間に雷を落とすが、グレムリンの加速がおかしい。
まるで二段ロケットのように一気に加速して一瞬身体がぶれて分身したようにも見えた。
「葵!」
「わかっています『ウィンドカッター』 『ウィンドカッター』」
葵が続いてスキルを発動して弾幕を張る。
こいつはスピード特化型のモンスター。
スピードが速いモンスターといえばジャガーマンがいるが、サイズが小さいせいで的も小さく攻撃が当たりにくい上におそらくジャガーマンよりも速い。
「当たれ!『アイスジャベリン』 『アイスジャベリン』 『アイスジャベリン』」
俺もスキルで弾幕を張り、グレムリンはその場からは近づいては来ないが、高速で回避して一発も当たってはいない。
以前ジャガーマンでも苦戦したが、このタイプのモンスターが俺たち二人は得意ではない。
もう一体のグレムリンが俺たちが弾幕を張っている正面から外れて側面へと回り込んできた。
「やらせるか!『エクスプロージョン』」
正面は葵に任せて、向かってきたグレムリンに向けて爆炎を放つが、俺の放つ小規模の爆炎をあっさりとかい潜りグレムリンが迫ってくる。
『ライトニング』
咄嗟に雷を放つが、グレムリンが更に加速して突破してきた。
やばい!
俺は手に持つ強化セラミックの剣をグレムリンのいる前方へとはらう。
『ゴンッ』
鈍い手応えと強烈な反動が剣を持つ手に伝わってきて、俺の剣がグレムリンを捉えたことはすぐに理解できたが、同時にグレムリンに致命傷を与える事が出来なかった事もわかった。
グレムリンは勢いを緩めずにそのまま剣越しに俺に襲いかかってくる。
牙を剥き襲いかかってくるその様は、小型であるにもかかわらず死を予感させるに十分な圧力を与えてくる。
俺は必死に剣でグレムリンを押さえ込み攻撃を防ごうとする。
「ぐぅうううう!」
さすがはモンスター。この小さな体躯のどこにこれほどの馬力を秘めているのかはわからないが、長時間は持たない。一瞬で俺の腕と全身の筋肉が乳酸を蓄えて悲鳴をあげる。
徐々に押されてグレムリンと俺の距離がゼロへと近づいてくる。
「凛くん!」
「ぐううああああ!『ボルテックファイア』」
俺はグレムリンの攻撃を耐えながら極至近距離から炎雷を発動した。
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