第96話 新しい模倣スキル

「葵ちゃんもかわいいわね〜。そういう意味じゃないから安心してよ。青春っていいわね」

「からかわないでください」

「からかってるわけじゃないのよ。凛くんに興味があるのは本当だし。クインタプルなんて初めて見たし、レベル10のEランクでリザードマン二体倒すなんて聞いた事ないもの。特別なのは間違いなさそうけど、まだなにか秘密がありそうだし〜」

「凛くんが特別なのは間違いありませんが、それでは失礼しますね」

「ゆっくりしていけばいいのに。それじゃあ二人ともまたね〜」


葵が強引に話を打ち切って、ようやくその場を去ることになった。

遠薙さんか……不思議な感じの人だったな。

自分でお姉さんとは言っていたが、小柄だしそこまで歳が離れているようには見えなかったけど。


「凛くん、お疲れ様でした」

「リザードマン強かったな。一人で相手にしてたら結構やばかったかも。やっぱりDランクは簡単じゃ無い」

「いえ、遠薙さんも言っていましたが、Dランクを相手にできている凛くんが特別です。普通は無理ですからね」


確かにEランクになりたての俺がDランクのモンスターを相手取る事が普通では無いが、前回のレイドでちょっと感覚がおかしくなってるな。


「それにしても葵はサバイバーに詳しいね。遠薙さんの事も知ってたんでしょ」

「凛くんが知らなさすぎです。遠薙さんもこの辺りでは有名ですからね」

「遠薙さんってDランカーでは無いよね」

「はいBランカーです」

「神木さんと同じ……」

「雷帝はAランクに近いと言われていますから比較するのは難しいかも知れませんが風姫もこのエリアでは上位に位置するサバイバーです」

「風姫って凄い二つ名だね」

「風使いですから。彼女も複数のスキルが使えるはずです」

「そうなんだ」


やはり上位ランカーは複数のスキルを使える人が多いのか? それにあのスキルの威力ならBランクも納得だ。


「それよりも凛くん、風姫のスキルを見ましたよね」

「ああ、見たよ『風舞』だろ?」

「じゃあ凛くんもあれを使えるって事ですよね」

「やってみないとわからないけど多分ね」


遠野さんのスキル『風舞』俺たちが苦戦したリザードマンを一発でしとめたところを見るとかなり威力の高いスキルなのは間違い無いが、俺が使うとすれば同じ系統のスキル『ウィンドカッター』と入れ替えか。

ロードサイクルに乗りながらの発動は危ないので家に着くのを待ってから


「試しにやってみるよ『風舞』」


上空に向かってスキルを発動する。

風なので見えるわけでは無いが、上空に向かってスキルが発動したのは感じる事が出来た。


「凛くん、やっぱり模倣できたんですね。雷帝のスキルだけじゃなく風姫のスキルまで。凛くんに限界は無いのかも知れませんね。すごいです」


俺は無事に遠薙さんがさっきの戦いで使用していた『風舞』を模倣することに成功したようだが、葵が必要以上に褒めてくれるので、新しいスキルを身につけた事以上にその事が嬉しいと感じてしまった。

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