第18話 レベル6

サバイバーLV6


スキル  『フェイカー』《ウェイブブレイド5》《ファイアボール6》《ライトニング2》《アイスジャベリン4》


レベル6になりスキルの欄が増える事は無かったが、最大の変化は『ライトニング』の使用回数が2に増えた。

俺にとってこれは、劇的変化と言っても過言ではない。

『ライトニング』が二回使えると言う事はそれだけでFランクのモンスターを二体倒せる事を意味する。

つまり端末の通知設定をFランクモンスター二体までに拡張できると言う事だ。

これで、さらに依頼の数が増えて、レベルも収入もアップするはずだ。

俺はその日から早速端末の通知設定を変更しておいた。

今月は一ヶ月で三十二万円程の収入があったので、母親に仕送りをしてから、再び組合の売店を訪れ一五万円で腹部の防具パーツを追加した。

これで上半身は腕と頭以外はカバーできたので、少しは安全性が増したと思う。

高い買い物をしたので明日からまた頑張ろうと思う。

通知設定を変更したお陰で、次の日から頻繁に依頼の通知が入る様になった。

ほぼ毎日の様に依頼が入る様になり、俺も張り切って依頼をこなす日々が続いていたが、そんな日常のある日突然それは起こった。

いつもの様に通知を受けたので、俺は装備を固めて家を出てロードサイクルを走らせた。

今日はいつもよりも現場まで少し距離があり、ロードサイクルを走らせ約五十分程かけて目的地に到着した。

自転車をその場に止めて慎重に現場に向かうがすぐに


「きゃああああ〜、来るな! どうしてここにも……誰か、誰か助けて!」


と言う女の人の悲鳴が聞こえて来た。

誰かが襲われているのか? 声の感じからして若い女の人だろうと思うが何で避難していないんだ?

俺は現場へと全速力で駆けた。

間に合え!

現場に着くと、なんとそこには五体のモンスターが居た。

どう言う事だ? 何でここに五体ものモンスターがいるんだ? 二体より多い場合は俺以外のサバイバーに通知がいくはずだろ。

どうする?

どうすれば良い?

とにかく襲われている女の人を救出するのが最優先だ。

俺は五体のモンスターに追われている女の人を見て事情を理解した。なんと襲われていたのは俺と同じ学園の若葉葵だった。

あの艶のある淡い栗色の長い髪に吸い込まれてしまいそうな澄んだ大きな瞳とぬけるような白い肌。クラスが違う俺でも顔を知っている。

俺の通う高校の中でも有数の美少女であり成績優秀者としても認識されている女の子だが俺と同じ学園の生徒である彼女は当然サバイバーだ。

つまり彼女も別の依頼を受けていたのだろう。

それがたまたま俺の依頼の近くで、運悪く俺が到着する前にモンスター同士が合流してしまったのだろう。

モンスターの種類を見る限り彼女のランクはF以上だと思うが、才女として有名な彼女であっても一人で五体のモンスターを相手にする事は難しいだろう。

もしかしたら彼女の事なので何体かは既に倒したのかもしれないが、いずれにしても一人で相手どるには数が多すぎる。


「お前らこっちだ! こっちに来い! 俺が相手だ!」


目の前でモンスターに追われている女の子を助ける為に咄嗟に声を張り上げたが、自分でも驚く程大きな声が出て五体のモンスターが一斉に反応を見せこちらを向いた。

それと同時に若葉葵も俺の事を認識して驚き共に泣いてしまいそうな表情を浮かべてこちらに顔を向けた。


「若葉さん! 俺が引き受けるから逃げろ!」 


冷静に判断して彼女と共闘するのが一番いいとは思うが、俺は彼女の能力も余力も把握していないので、最初からあてにしない方が良い。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る