第17話 4つ目のスキル

「新庄君たちはゴブリン討伐だったんだね。見させてもらったけどスムーズな戦いだったよね」

「あ〜そうだろう。俺たちはもう少しでFランクに上がるからな。見てもお前なんかの参考にはならないだろうけど、まあお前も頑張れよ。ッハハハ〜」

「ああ、それじゃあ、俺はこれで」

「じゃあな〜」

やっぱり思っていた通り、新城は嫌な奴だった。

イケメンは性格が悪い。

いや性格の悪いこいつがイケメンだっただけか?

いずれにしてもこの性格でもクラスの女の子には人気があるのだから信じられない。群がっている女子はこいつの表面しか見てないんだろうな。

去り際に後方からは

「今日も楽勝だったな。明日学園で女の子達に自慢しなきゃな〜。あのボッチに会った事も言わなきゃな。胸当てつけて肉壁やってるってな。ハハハッ!」

本当に性格最悪だな。

だが、よく考えるとあいつらは三人でゴブリンを倒していた。しかももうすぐですFランクだと言っていたので今は最下層のGランクと言う事なのだろう。

俺は既に一人でゴブリンを何体も倒しているし既にFランクだ。普通に考えて俺の方が強いんじゃないだろうか?

しかも今回俺はさっき見た新城のスキルを模倣した。

『アイスジャベリン』

ムカつく新城のスキルを模倣する事に多少の葛藤はあったが、四つ目のスキルを早く使えるようになりたかったので他に選択肢は無かった。

スキル発動の瞬間少し小ぶりの氷の槍が出現して前方へと飛んでいった。


サバイバーLV5


スキル  『フェイカー』《ウェイブブレイド4》《ファイアボール4》《ライトニング0》《アイスジャベリン3》


ステータスを確認すると四つ目の欄に《アイスジャベリン3》と表示されている。先程試しで一回発動したので『アイスジャベリン』を四回使用できると言う事だ。

これは『ウェイブブレイド』と同じ回数で『ファイアボール』よりは一回少ないので、『ファイアボール』よりは強力なスキルという事だろう。

いずれにしても『ファイアボール』の発動回数に不安を覚えていたので、遠距離系の攻撃が4回増えた事はかなり戦力アップしたと言えるだろう。

明日からの討伐が更に楽しみになって来た。

翌朝学校に登校すると、新城が女の子三人相手に自慢しているのが聞こえて来た。

「昨日も俺ゴブリン瞬殺したんだよね〜。もうゴブリンは相手にならないって感じだね。そろそろFランクに上がれそうだから当然だけど」

「え〜やっぱり新城君凄くない?今の時期にFランクってかなり早い方じゃない?」

「やっぱりそう思う? まあ当然だけどハハハッ。そういえば昨日ゴブリン倒した後に偶然ボッチ君に会った」

「え〜ボッチ君って誰の事?」

「あいつだよ、あいつ」

新城が俺の方を向いて指さしたのが見えたが、面倒なので気づかない振りをしておいた。

「あ〜山沖君の事? 彼何してたの?」

「それが肉壁だよ」

「え? 肉壁って何の事?」

「それがさ〜、たまたまあいつも狩りだったみたいでさ〜。あいつ攻撃能力ないだろ。だから胸当て装備して壁役してたっぽいんだよ。悲惨だろ」

「あ〜それで肉壁ね。まあでも攻撃できなきゃ、それもしょうがないかもね」

こいつら人の事本当に好き勝手に言ってくれるな。新城にも腹が立つが、相槌を入れている女子にも腹が立つ。

肉壁がしょうがないって、モンスター相手に肉壁なんかになれるわけがないだろ。胸当てなんかつけてても普通に死ぬだろ。

お前達もサバイバーなんだからちょっと考えればわかる事だろ。

モンスター相手に肉壁なんか出来るのはもっと高レベルの要塞マッチョな人しか無理だよ。俺じゃあ一撃も持たない。

新城のくだらないお喋りのせいで、ボッチ君、無能者に続く3つ目のあだ名肉壁が追加されてしまった。

ボッチと呼ぶならそれでいいから静かに放っておいて欲しい。

どれだけバカにされたとしても学園を辞める事はあり得ないが、来る事が億劫になってしまうので本当にやめて欲しい。

周りからの評価をスルーして、その後も俺はサバイバーとしてモンスターの討伐を続けたが、今度は一月経たずにレベル6となった。

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