第13話 レベル5

それから俺は『ライトニング』を身につけてから一カ月間取り憑かれた様にほぼ毎日ゴブリンとコボルトを倒し続けた。

そのお陰で念願だったレベルが5へと上がり、サバイバーとしてのランクがFランクへと上がった。

Fランクになって気がついたが、あの神木さんはやはりFランクどころでは無かった様だ。

Fランクとなった今の俺と比較しても全く相手になりそうに無い。


サバイバーLV5


スキル  『フェイカー』《ウェイブブレイド4》《ファイアボール5》《ライトニング1》《 ー 》


残念ながらレベルが5に上がっても『ライトニング』の使用回数が増える事は無かったが代わりに使えるスキルの欄が一つ増えていた。

レベル4になった時に模倣出来るスキル欄が増えなかったので三つが上限なのかと思っていたがそうでは無かったらしい。レベル5になると同時に俺の模倣出来るスキルは四つになり所謂劣化版のクワッドスキルホルダーとなった。

ただし相変わらずソロでの活動を繰り返しているせいで他のサバイバーとは全く会う機会が無いので、残念な事に四つ目のスキルは空欄のままとなっている。

また仕送り分を差し引いて貯金額が七十万円に達したので俺は一大決心をした。

今後の事を考えて自転車を買い換える。そして装備を揃える。

俺の今乗っている自転車はボロボロの所謂ママチャリだ。

どれほど必死にペダルを漕いでも速度がなかなか上がらないので、移動距離を稼ぐのに苦労している感はごまかしようが無い。

そして装備だが今まではお金が無かったので普段着で戦闘に臨んでいたが、Fランクに上がった事で以前戦ったホブゴブリンや神木さんが倒したオークと戦う事になる。

以前の仮メンバー達が一撃で骨折してしまった事を考えるとこのままの格好で臨むのはかなり危険だと思う。

まず自転車はスピードアップを目的としているので、時々道を走っているのに遭遇するロードサイクルが良いと思う。

ネットで探すと高いものは数十万円とかしているが、安いものだと二万円ぐらいからあるので、早速最安値の2万円のロードサイクルを注文する。

後はロードサイクルにはヘルメットみたいなのが必要だろうから四千円のヘルメットを一緒に注文しておいた。

合計で二万四千円だが、これは自分史上最大の買い物になった。

しかも配達は明日なので今から楽しみで仕方がない。

そしてサバイバー用の装備だが、勿論普通に売っているはずも無く、組合事務所にある売店まで向かう事にする。

今の所武器はそれ程重要では無いが防具は必須だろう

電車を乗り継いで組合事務所までたどり着き、早速売店に向かう。


「すいませ〜ん。初心者でも使える、Fランクサバイバー用の防具が欲しいんですけど」

「Fランクだと初心者じゃないじゃないですか。対ホブゴブリンとかオーク用ですよね」

「はい、そうです」

「お兄さんの移動手段は自転車とかですか?」

「はい、そうです。自転車です」

「それじゃあ、余り重装備は無理なので服の上から身につける部分的なプロテクターか、服の中に着込むアーマードインナーがお勧めね」

「アーマードインナーって何ですか?」

「特殊素材を編み込んで作られた全身タイツ見たいなものだけど、薄くても衝撃をある程度吸収するし、刃物とかは通さないの」

「へ〜っ。そんなに高性能なものがあるんですか?」

「そうねお兄さんの体型だとMサイズでいけそうだけど、Mサイズだと価格は五十万円ですね」

「ご、五十万円ですか!?」

「まあそれなりに金額は張るけど、命を預けることを考えると思うほど高くないと思うわよ」

「そうです……よね」


五十万円か……想像以上に高いな。

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