第12話 ライトニング

ようやく『ライトニング』を試す事が出来るので、テンションが上がってしまっているが、何度も脳内シミュレーションは済ませている。

もしもライトニングで倒せなかった時は、いつもの戦法に即時切り替えて一気に叩く。

俺は落ち着いて目の前のゴブリンに向けてスキルを発動する。


『ライトニング』


空き地で練習した時同様、ゴブリンに向けて閃光が走ったと同時にゴブリンは消えて無くなった。


「すごい………」


あのゴブリンが一撃で消え去ってしまった。

どうやら『ライトニング』は他のスキルと比べても桁違いの威力を誇っているようださすがはLV4で使用上限一回のスキルだけはある。

俺の『ライトニング』は、あの神木さんのオリジナルから半分以下に威力は減衰しているはずなのに、それでこの威力。

あの時は、比べるものがなくてよく分からなかったがオリジナルは一体どれ程すごい威力だったんだ?

とにかく事前の心配は杞憂に終わり他のスキルを使用する事無く戦闘は、あっさりと終わってしまった。

その後『ライトニング』を使える様になったお陰でモンスター退治は更に容易になり、依頼をどんどんこなす事が出来るようになっていた。

そこから更に一ヶ月が経過して完全に現在のスキルを使ってモンスターを倒す事にも慣れたのでサバイバーとしての依頼設定をいじる事にした。

端末でモンスターのランク以外は結構細かくいじれるようになっている。

今まではモンスターは単体限定で依頼も1日に1回迄にしていたが、今回モンスター二体迄、そして一日に二回迄依頼を受けられるように変更したが端末をこの設定にしてから依頼は、ほぼ倍増するようになった。


「ピピッ」


おっ、モンスター二体か。

俺は自転車を走らせ、現場へ向かうが、依頼の幅が広がった分、なかなか現場へと着かない事も増えてきた。

結構な時間自転車を走らせ、現場に着いてから即座に臨戦態勢を整える。

進んでいくと前方にゴブリンが二体見えたので、目視出来た瞬間左側のゴブリンに向かって『ライトニング』を放つ。

閃光が走った瞬間に一体が消滅したので、続けざまに『ファイアボール』を連発して残った一体にダメージを与えながら、懐に飛び込んで『ウェイブブレイド』でゴブリンに止めをさす。

ここの所ゴブリンが二体いる場合は完全にこのパターンで終了させる事が出来ていた。


「ふ〜。最近戦ってる時間より移動する時間の方が長くなってるな」


設定を弄ったお陰でモンスターの討伐依頼は明らかに増えたがその分移動範囲も増えており、以前よりかなり移動時間が増えてしまっている。

そのお陰で収入は今までに無いペースで増えており、今週一週間だけで既に七万円を手にしてしまった。

生活の為に始めたサバイバーだが、今は完全に生活できる以上に稼げるようになっている。このままのペースでいけば一ヶ月で三十万円も夢では無い。

今までほとんど出来なかった貯金も出来そうだし仕送りも増やせそうなので、このままの状態をキープしていきたい。

最近になってお金に余裕が出来て来たお陰もあり、少しだけ学校に通う事にも前向きになれる様になって来た気がする。

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