第4話 二つ目のスキルゲージ

俺はホブゴブリンの魔核を拾い上げてから、乗車を断って自転車を漕いで部屋まで戻った。


「ふ〜っ。疲れた〜!」


今までも、サバイバーに成り立ての頃に何度か死にかけた事があったが今日が1番疲れた。

疲れただけでなく、自分の手でモンスターを倒したのは、1年サバイバーを続けてこれが初めての事だった。

しかも倒したのはおそらくFランクのホブゴブリンだ。

今考えても信じられない。


「そ、そうだ」


余りの出来事に完全に忘れていたが、一年間変化の無かった俺のステータスはどうなった?


山沖凛


サバイバーLV2


スキル  『フェイカー』《ウェイブブレイド》《 ー 》


「あああっ!」


ずっと一年以上1のままだった俺のレベルが遂に2になっている。

しかもスキルの所に空欄の表示が一つ増えている。

これってスキルをもう一個使えるって事だよな。

世の中には複数のスキルを持つ者がいるが二つ以上のスキルを持つ者は非常に希だ。俺も数度しか見かけた事はない。世に知られている最多ホルダーは六つだが、世界に数人しかいないそうだ。

恐らく俺は擬似的にではあるがダブルスキルホルダーとなったらしい。

しかも、通常のスキルホルダーと違いスキルを自分で選ぶ事が出来る。

スキル一個では脆弱過ぎて、まともにモンスターと戦う事は出来なかったがスキルが二個あれば組み合わせ次第で何とかなるんじゃ無いだろうか?

実際に『ウェイブブレイド』も極端に短かったが刺されば相手を倒す事ができた。

もう一つのスキルで近づく事ができれば、どうにかいける気がする。

そう考えると、いてもたっていられなくなり、部屋を飛び出し表に出てからすぐにスキルを模倣した。


『ファイアボール』


今俺が新たに模倣できる唯一のスキルだ。

念の為に危険が無い様に上に向かって放ってみる。


『ファイアボール』


スキルの発動と同時に小さな火球が天に向かって放たれた。

威力はかなり減衰しているものの『ファイアボール』も問題無く使える様だ。


山沖凛


サバイバーLV2


スキル  『フェイカー』《ウェイブブレイド1》《ファイアボール3》


ステータスの表示を見ると思っていた通り模倣したスキルが二つ表示されていた。

今まで使用していた『フォッグ』と違い両方共攻撃スキルなので上手く併用すればゴブリンぐらい倒せるかもしれない。

スキルの表示をよくみると『ウェイブブレイド』は一回、『ファイアボール』は三回と使用可能な回数が表示されている。

ホブゴブリン戦で『ウェイブブレイド』は一回、『ファイアボール』も先程一回使用したので『ウェイブブレイド』は二回『ファイアボール』四回使用できるのだと思う。

今まで余り強力なスキルを模倣する事は無かったので、今迄は一律で三回の表示しか出た事がなかったが、どうやらスキルによっても使える回数は違うらしい。

以前試しに『ファイアボール』を模倣した時は、使用上限は三回だったはずなのでレベルが上がって使用可能な上限数も増えたのだと思う。


「これなら……」


明日、倒れた二人の様子を確認してからだが、もし二人が無理なら自分だけでもモンスターに挑んでみたいと思う。

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