モノクロの愛嬌に恋して
黒幕横丁
モノクロの愛嬌に恋して
はぁいどうもー! 皆さんの夏水聡ですよー。お久しぶりですね。
え、いきなりハイテンションでどうした? そもそもお前は誰だですって? そういう貴方はぜひ、『もでりんぐ!』をご覧になってくださいね!
あ、僕の勇士を宣伝している場合じゃなかった。僕も三琴君も目まぐるしい日々を送りながらも無事茶山陣学園高等部の最高学年になり、三琴くんにいたってはなんと高等部の生徒会長の座をのっと……じゃなかった、生徒会長の座に君臨し、部活をやりながらも高等部の秩序を守っているわけなのですが、
そんな三琴くんのことについてとんでもないことがスクープされたのです!
「夏水、今日も実況が冴えてるな」
僕の心配なんて露も知らず、生徒会室でのんびり麦茶を飲んでいる三琴くん! 君の事について新聞部がとんでもない記事をすっぽ抜いたんですよ!
「新聞部? 高等部にそんなのあったのか?」
三琴くんの頭には沢山の疑問符が浮かんでいるみたいですが、自分の統括している事柄にちゃんと興味を持ってください。まぁ、新聞部といってもゴシップ記事しか扱ってないから闇新聞部とまで言われている落ちぶれたやつなんですけどね。僕の調べによると。
「闇新聞部。パワーワードすぎるだろ、むしろホラーだな」
まぁ、そのことについてはどうでもいいんですよ! その新聞部がすっぽ抜いた記事がコレなんです!
僕が三琴くんに渡した新聞にはなんとなんともいえない恍惚の笑みで女性誌を本屋で買う私服の三琴くんの写真がでかでかと載っており、『生徒会長。白昼堂々のヒミツのお買い物』と表記されていたのです!
「まじで文言が週刊誌のソレじゃん。それにしても何処で隠し撮りしたんだ? 全然気が付かなかった」
感心している場合じゃないですよ。威厳のある生徒会長という立場なんだからこんな記事出されたらひとたまりもありませんよ? 訴えないと。
「訴えるって言っても、この写真は事実だからなぁー」
三琴くんはポリポリと頭を掻きます。つまり、買った本を合成されたわけではなく、事実だと?
「見るか? 買った雑誌」
そう言って三琴くんがごぞごぞとカバンを漁ると、そこには週刊で出ている有名女性誌が出現しました。三琴くんでもそんな雑誌買うんですね。
「俺がこういう雑誌を買うなんて理由は一つしかないだろ?」
あ、そんな事をいわれたら見せて貰わなくても察しました。パンダですね。
そうです、このポニテ生徒会長! 三度の飯よりパンダが好きなのです!
パンダが滅ぶのは困るからって世界救ったことがある人なので、人間よりパンダが地位が上だと勘違いしています。
「勘違いじゃない、真実だろ? いやぁ、パンダの繁殖に成功している動物園の赤ちゃんパンダ特集が掲載されてて、コレは永久保存版だろ! って茶山陣町にある全本屋で二冊ずつ買ったんだよ。いやぁ、マジパンダ尊い。神だわ」
そう言って蕩けた顔でパンダの写真を見る三琴くん。この顔のほうが学園にばら撒いたら結構の破壊力と思いますが、辞めておきましょう。
「では事実とはいえ、新聞部にちょっと注意は入れないといけないかもなぁ。今後に生徒会としてもモデリング部としても動けなくなったら困るし」
それはそうですね。で、何か策はあるんですか?
「話し合えば分かってもらえるよ……な?」
凄い圧で僕に話しかける三琴くん。嫌な予感しかしませんね?
「ちょっと、新聞部の皆さんを俺の工房に案内してくる」
そう言って、三琴くんは生徒会室を出て行きました。いつもの僕ならついて行くのですが、脳内が『危険だやめておけ』とシグナルを鳴らしているので辞めておきましょう。
後日、闇新聞部は三琴くんのせんの……じゃなかった、説得により、毎週パンダ新聞を発行するまでに更生しましたとさ★
モノクロの愛嬌に恋して 黒幕横丁 @kuromaku125
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