私の尊さで、推しが死ぬ!

富升針清

第1話

 私には、憧れの小説家がいます。

 それは、M先生! 本を出されている訳じゃないけど、Web小説投稿サイトで、ほぼ毎日素敵な話を書いている凄い先生なの。

 先生の話は大人のほろ苦いロマンチックな話から、びっくりする程怖いホラー迄何でも書いて、何でも面白いし、長い話から短い話まで何でも書けちゃう!

 私も、M先生を見習って小説を書き始めたけど全然上手く書けないし、続けられなくて……。

 それでも、M先生の話を読むと、私も何か書きたくて、書きたくて。新しい話や続きを話を書いたりしてるけど、やっぱり読んでくれる人は全然居ないんだよね。

 でも、そんなのどうでもいい!

 気にしなーい!

 だってM先生も気にしてないからー!

 M先生は作品だけじゃ無くて、その本人も尊いんだよねー。

 本当、尊みしかないもん!

 お洒落なカフェで小説書いてたりとか、お洒落な家具買ったとか、小説の話以外もとても素敵なの。

 読んでる本も海外の本だったり、飲んでるお茶やらカフェオーレも素敵!

 いつか私もそう言うところで小説書きたいなって憧れちゃう。

 でも、私の環境ディスクトップだから持ち運べないけど。

 いつかノートパソコンとか買ったら、絶対するんだ!

 えへへ。密かな私の夢だったり。

 あ、今日もM先生のお話が更新されてる!

 今日は短編と長編の続き2作かぁ。

 SFとラブコメ。

 ラブコメはいいけど、SFってそう好きじゃないんだよね。

 理解できない話多いし。

 作者と同じ知識量を要求してくる作品多いし。

 けど、M先生のSFは別!

 読み易いし、分かりやすいもん!

 何でこうなっちゃったの? って、疑問すら湧いてこないし。

 M先生の話をさ、SNSとかでさ、これはSFじゃないって言ってる人をさ、見かけた事もあるけどさ、私に言わせれば難しい話ばかりするのがSFなわけじゃないと思うんだよね。

 勿論、そう言う話が好きな人も多いと思うよ。でも、それは一部でいいじゃん。SF全部がこうっ! ってのは間違いでしょ? 私ぐらいのにわかだって、雰囲気が好きなSFぐらいあるんだからね。それを死滅させないで欲しくない?

 M先生の話みたいの。

 さーて、まずはSFから読もうかな。

 私はスマホの画面を押した。




 あー。やっぱり、M先生、好き。

 尊すぎる。

 SFは短い話でオチも相変わらずわかりやすい。最高な時間すぎか? どうんな脳でこんな素敵な話書けんの? 神に愛され好きでは?

 全てが尊い。

 尊すぎて、読んだ後、何も出来ない。

 いいねボタンも押せない。

 てか、フォローも未だに出来ない。

 ネットストーカーみたいな事してるけど、全部ゲストアカウント。

 推しが尊すぎて、薄汚い私の姿を一ミリも認識させたく無い。

 だって、尊すぎるでしょ?

 神じゃん。

 ゴッドオブゴッドじゃん。毎日がゴッドラッシュしゃん。

 毎日こんな尊い作品、上げてるんだよ?

 勿論、たまに尊くないのもあるけどさ、それは、それ。それでも圧倒的な尊さで読者を包んで来るんだよねっ!

 もう、本当好き!

 神!

 推しっ!

 生きてて有難う!

 これだけ凄い話書くならさ、絶対小説書くの楽しいよね。

 私、そう考えると全然楽しくないもんなぁ。

 読まれないのは気にしないけど、気にしないだけで読まれたくないわけじゃないし。

 ま、でも私こんなの一生書けないし、出来ないし。

 少し羨ましいけど、仕方がないよね。

 さーて、次はラブコメ行こう! これ、楽しみだったんだよねー!

 今夜も最高!




「え?」


 私は思わず声をあげる。

 いつも読むはずのM先生のアカウントが消えていた。


「えっ!? ええっ!? な、何で!?」


 何で!?

 私は大慌てで他のSNSやらサイトやらをスマホからアクセスするが、何処にもいたはずのM先生のアカウントがない。

 昨日迄はいたのに。

 昨日迄は、普通にお話上げてくれたのに。

 何で?

 え? 何で?

 何でっ!? 何で!? どうして!?

 私、今日からM先生の話、一話も見えないの……?

 何で?


「こんなに好きだったのに、何で……?」

 



 さて、何ででしょーか?




おわり

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