第6話
「今度は大丈夫なのでしょうね。」
急に声をかけられた。
銀色の光沢がついているかのような黒い髪。整った顔立ち。出るところは出て、引っ込むところは引っ込む体系。
芸術家が作った理想の女神像というのがそのまま当てまわる、真実女神なのだが、といっても過言ではない、だろう。
彼女も存在自体は感知していた。というよりは感知しざるえなかったという方が正しい。さっきまで、この領域の支配者は彼女自身。異物が混じればすぐに気が付く。
そうでなければ、現に会話の途中で注意が飛んできたのを防ぐことができないうえに、入る苦情を返すことができない。
特別驚くことはないのだが、あえて問題があげるとすれば、言い訳を1文字も考えていなかったことぐらいだろう。
「大丈夫なんじゃない。」
「はぁ。」
「だって、仕方ないじゃん。誰も生き返って瞬殺されるとは思わないって。」
わざとらしい強いため息に対して、自分に非がないことを主張する。
態度はともかくとしても、自身よりも上位の存在である
送られた本人は、投げられ、実は準備が整っていなかったから戻ってきたという感覚でいるが、実際は、転生直後に死んでいる。
ことが、秒で終わったために本人だけが準備ができていたないと勘違いしただけだった。
意識が浮上するのは3,4年たった後。遅くても6,7年後。
転生直後に意識がないのは、合法的に胸を触る機会よりも、しもの世話をさせられる方が精神的にきついのでは、異世界転生特有の幼少期の魔力操作だけならいいが、必要以上に魔力に暴発や、気持ち悪がられて幼少期に捨てられ死亡するのを防止する方がいいだろう、というところからきている。
ただ、それまでの疑似人格といえるものは、大変おとなしく、泣くことも少ないので、別の方向で気持ち悪がられるか、大人を心配させているが、最終的には簡単に死なれるよりまいい、という結論に行きついたという。
「強めの加護を与えたからではないのですか。」
「何かあるかもしれないから、目印を強めただけですー。加護じゃないですー。」
「語尾を伸ばさない。」
「はーい。」
「はぁ。」
「それやめてくれません。」
「どうして、あんなところに送ったんですか。」
「だって、強めに闇もしくは夜の加護があれば聖人クラスでもてなされるんですよ。」
「これほど安全性を考えた結果はないと思ったんですけどねぇ。」
「それが、まさか、開始直後に殺されるとは。」
彼女は、彼を時折、様子見をするため、発見しやすく方法の一つとして目印になるように自身が属する加護を与えているが、その実、彼女自身がいう様に少しだけ強い加護があれば、ちやほやされて安全を確保できる。
特別に、闇もしくは、夜の属性が大事、重要視されているというわけではない。
その世界、過去何度も、光もしくは、太陽の属性を崇め讃え、それに反する属性を著しく貶めて、司る神を邪神もしくは、悪神と称した。
神の力は信仰の力によって支えられている、というわけではない。
神本人の力に上乗せさせるバフ、もしくはブーストのようなもの。
困ったときの神頼みではないが、願ったことが叶うかどうかは別にして、どんな願望程度でも多少なりは信仰の力がたまる。
つまりは、願いに性悪の区別はない。怨みごとでも十分。
結果、マイナスの力が十二分にたまり、光もしくは、太陽の属性を持つ神を邪神へいざない悪神に落とした。
強すぎる黒い光は、その世界から夜を取り払い、人を狂わせ、最悪、星に、世界に穴を開ける。
その世界の神々の範囲で穴の修復ができない場合は、よその世界から神かその従者もしくは、両方が修復の応援に派遣され、最悪の場合、元凶の討伐を行う。
元凶。人でもあり、人の増長を止めることをしなかった神である。
世界の理の外からやってきた圧倒的な戦力に対して、到底太刀打ちすることができず、神と大多数の人が神により討伐され、同じことを繰り返さないよう今度も書き止め、広く知らせた。
今度も。つまるところ、それが初めてではない。
何度も何度も繰り返し行われている。
迎え撃つ方は毎回変わるが、行く方は大きな変化がない。
しかも、途中から面倒になったのか、討伐の参加を広く呼びかけ、物量で短期決戦で行われる世になり、物量の中には新人の神の従者が数多く存在し、ベテランをして、合同演習のようだ、と言わしめる程だった。
その物量の中に、まだ神の座にも至っていない、神がうっすらと緑が入っている金色で背中の羽が真っ白だったころの回復、結界による防御担当で彼女も参加していた。しかも複数回。
神の時間が遅すぎるのか、人の時間がその世界だけ異様に早いく記録が過去のものとして、残っていること自体忘れられたのか、ただ、人の学習能力が皆無まのか、理由はわからない。
討伐後、次の討伐の間は、光もしくは、太陽の神の反対属性、闇もしくは、夜の属性が、他の属性があるのにも関わらず、相対的に持ち上げられる。
それを討伐に参加し知っていたからこそ、彼をその世界に送ったのだが、瞬殺されたことを思うと、持ち上げられる期間が終わり、光もしくは太陽の信仰が大きくなった頃かもしれない。
「それいつの情報ですか。」
「あぁ。」
「威嚇するの止めてくれない。そんな子に育たつもりないんだけれど。」
「育てられたつもりもない。」
「いや、あるでしょ。身内なうえに元上司件先生だったんだし。」
次にやってきたのは、光沢のある金の長髪、鎧を着ているので暫定でしかないが、ぱっと見、すらっとした体系、片翼三枚、計六枚の純白に輝く羽をはやした、天使という言葉を体すべてで体現した女性と、呆れたように声を彼女にかけてきた金の長髪にすらっとした体系、片翼二枚、計四枚の白い羽をはやしたこれまたイメージ道理の天使。
最後の言葉通り、彼女から見れば等身はだいぶ離れているが同じ血が通っている。
そして、幼少期だったころの学校の先生であり、卒業後は配属先の上司としてその下で、彼女と専門分野が違うのに、一時、過ごした。
「(・д・)チッ」
「何それ。」
「優等生が何の用よ。」
彼女は、髪、白い四枚の羽根を一目見た後、放すことはない、といっているように背中を向け、魔力で顔文字を作り出した。
不機嫌と言いたいのだろうが、技術の無駄遣いでしかない。
「この度はご協力感謝いたします。」
「いえいえ、お構いなく。好きに使ってください。」
「現上司?!」
彼女本人が何かは知らないところで話が進んでいたようだ。
「あなたもまるっきり無関係ではないのですよ。」
「他所の人がいるからって、一気に仕事モードを前面に出してこないでください。」
「原因となる地が、先ほどの地だからですよ。」
「はやいんだけれど。」
彼が瞬殺されたことから、討伐の可能性があることは、なんとなく、わかっていた。
けれど、自身が思っているよりも時間がなかったようだ。
末期症状の地に彼をしかも病原菌ともいえる属性をつけて送り出したのだから、瞬殺されたことに文句を言えない。
逆に避難されて当然の状況にある。
だから、神であっても、戦力として駆り出されるのに文句は言えない。
間に挟まれ連行される彼女に現上司はいう。
「遊びじゃないのですから、その格好で行くのはやめてくださいね。」
「わかりました。」
彼女自身、彼を相手に、時間を延ばすことはしても、遊んでいたのではない。
彼女が、ふぅ、と息を吹くと周りについていた魔力がはがれ、黒に近い緑色の長髪。可愛いよりは美人という形容詞が似合う容姿。少し丸みを感じられるが、出るところと引っ込むところがはっきりとしている体。
本来の彼女の姿。
けだるそうにしている表情は少しばかり淫靡な印象をうける。
「見ない間に太ったんじゃない。流石、怠惰の神。」
「いいですよね。肉体労働が基本の人は。トレーニングも仕事のうちだし。事務仕事なんてしないんでしょうね。」
「なによ。」
「なんでも。」
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