第5話
「それで理解できましたか。」
?
「理解していませんね。」
「あなた、中途半端以下で物事の推測ができていますので、それをもう少し出来るようになってほしいのです。」
「そうすれば、私の仕事も減りますから。」
そういわれも、出来ないものはできない。
そもそも、ぱっと見だけで理解できる脳力を持っていない。
今世? 文化的には、よく創作の舞台となる中世時代に近い物で、さほど進んだものではなかった。
だから、落第しないそこそこ程度で、周りが優秀だったこともあり、なんとなく何とか誤魔化すことができたわけで。
「残念なことに私は部下ではありませんから。むしろ、上です。」
「それよりも、ここですね。」
掌を片目に付けられ指先でがっちりと掴まれているようにしか見えない、場面で何を感じろと?
「冷静さを欠いていない状態だと、正解を出せなくてもそれに近いことぐらいは言うかと思ったのですが、まだまだですね。」
「ぼーっとしているからですよ。」
「継承魔法の一種です。」
継承魔法って、一家相伝的な、やつ?
「一家ではなく、一子ですね。基本、お家芸や家宝、秘伝魔法とも言えなくはない特殊で稀なものですが、わりと知られた方法では一家でも間違いないとは思います。」
「一番ポピュラーな方法としては刻印で行う場合でしょうか。今風に言うならば、バーコードやQRコード魔法ですね。」
「それをもって次代へ血と共に知識を伝え、いずれ本懐へと至る。」
「何を本懐にするかは、それぞれの家によるところですが、魔道の境地へ目指すのが主流もようですね。」
魔法を使う家は血が大事というのは、こういうところからきているのでhないだろうか。
ただ、そういうことに刻印を使っているところを見たことがないが。
刻印は、肉体強化、バフ的な要素として使われることと、武器に刻むことしか見たことがなく、知識を刻むまで技術が到達していないか、そういう認識がいまだにないか。それとも、よその子にそこまで教える義理はないか。
どの理由か、わからないが、個人的には発想がそういう方に向いていないような気がする。
それにしても、急に手軽になったな。
別にバーコードや、QRコードが、お手軽というわけではない。小さいのに情報が凝縮していてとてもすごい技術だ。
ただ、魔法という神秘的な要素に落としすとどうしても軽く感じてしまう。
「先の世界はそれほど文化水準が高くないですからね。引きずられているのではないですか。それか、その前の前ではすでに当たり前のようにあるから関心はするれけども特別とも思わない、ですね。」
「知識を子に、その子が自身の子に、またその子にと段々と時代と代を重ね、それまでの研究を無駄なく受け継がせるための技術。」
「転生魔法の成れの果て。もしくは、副産物。」
「それを何の術式をなしで素で行えるのだから、この教会認定魔王様、案外本当に魔王へ至ることができたかもしれないですね。」
「そういうわけで、その浄化の目は、あなたが、認定魔王様から拳で語り合い継承したものです。」
「使う使わないを決めるのはあなたですが、使っても損がないようにしておきます。」
拳で語り合った気がまったくもって全然はっきりとしないのだが、一応、認められた展開になったようだ。そして、何かしらの制限がつくらしい。
それにしても、チートはチートなのだが、結果、貰い物だらけだな。
いや、貰い物だからチートなのか。
本物の魔王っているんだと思うと同時に、他称魔王様は所詮、他称名称だった。
自称他称の魔王がいるのなら、自称他称の勇者もきっといるわけで。
「いっぱいますよ。勇者。」
いっぱいいるようだ。
「良い神だろうが、悪い神だろうが関係なく神の加護を受けた事実があるほかには、行動を注目している、要注意な人物を監視している事実があれば勇者になりますから。」
勇者の定義が広すぎる件はこの際、置いておいて、注目はまだいいとして、監視ってどう何だろう。しかも、さらっと語彙を強調したのは当てつけか、何か?
「興味の対象や何をしでか気が気でないと感じるなら、いっそのこと加護を与えてマーキングしておこうということですね。」
手っ取り早く、確実な方法としては最適なのだろう。労力もそれほどではないのかもしれないし。
「監視の方は保護対象とも言い換えることができますね。」
「代表的な例は、よその世界の神が、申請書類と共に送られたて来た転生者を受け入れ書類にもサインし受理した場合ですね。」
「さまよえる魂がたまたま界を渡って戻れなくなったとか、自身の世界へのちょっとした変革が欲しいとか、たまたま除いた世界で死ぬ行く人に同情して自分の世界に引っ張ってきたとか、よその世界に遊びに行った影響で顕現する余波を受けて死んだ場合や事故を起してお詫びもしくは隠蔽工作で連れてきたとか、禁忌事項の勇者召喚を行い攫ってきたのとはわけが違います。」
「ちゃんとした書類を書いて、役所に申請して話を通して、許可が出て派遣先が決まって、下の神が受けとるという、大変面倒な手続きをとってのですよ。」
「もてなせ、とは言わないけれど、生活の保障と生命の保障はセットであるべきな、はずなのです。」
「それなのに、辺境に追い出され、認定魔王の討伐に駆り出され、最後には味方側のだまし討ち。」
「正式な手順を踏んで転生させたという真実をかの神はわかっているのでしょうか。」
「このペナルティは重いですよ。」
どんなペナルティが科せられるのか知らないが、本来ならば、悠々自適なハーレム生活ができたかもしれない、ということでは?
というか役所ってあるんだ。
「ありますよ。正確には役所に似た何かですが。」
「ハーレムできるかどうかは分かりませんが、基本的な衣食住の保障はされます。」
「本来は、最低限でいいらしいのですが、苦情防止のために大多数の一般的な普通よりもいい生活ができるようになっていますね。」
ここで、何故、貴族に転生できたのか理由が判明。苦情とか来るのか。
「受ける方は、等級下がるならまだしも、最悪その苦情で神の座を失う可能性もありますから、手厚く対応します。」
手厚く対応されたわりには、あっさりと辺境送りになったり、寿命前に死んだのだが。
「ほんとそれ。」
「今のご時世、破壊を娯楽とする神や悪魔に魂売った場合は別だけれど、邪神がどうのとか、属性がどうかとか、種族がどうとかで差別するよなことははずなので、言い訳としては国の制度の問題となるのでしょうが、それならこの状況を見過ごすのもおかしい。本当に何を考えているのやら。」
「まぁ、考えても仕方ありませんね。」
「そんなわけで、今度こそ気を付けて下いね。」
腕が真上に上がると、それと同時に体が真上に移動したのがわかった。
投げられる感じ?
野球?
上げられた腕はそのまま後ろに回され、背中の3分の1を回ったところで勢いが増し、押し出されるように、ソフトボールでも投げるかのような恰好なのだが、放すときは砲丸投げ?のような押し出すかのように前に。
嵌まっている球体が後ろから疲れて前に押し出された感じが一番近いかもしれない。
そして、そのまままっすぐにまっすぐに。
光が一瞬光ったからと思うと、また、同じところ。あれ?
「いって、、、、こい」
何か、柔らかい物が巻き付いたかと思うと、声がかかると一周したような気がしたら、さらに加速した。
本当に準備ができていたのか疑問なのだが。なすがまま。
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