第2話
「ところで、お詫びの品って何をお貰えるんですか。」
「ないです。」
「え。」
「だから何もないです。正確にはお断りした、ですけれど。」
「からの。」
「ふりでも、前置きでも、ドッキリでもないです。本気と書いて、マジと呼ぶタイプのやつです。」
そっか。これマジのやつか。無いのか。
普通、こういうのって本人の同意がいると思うのだが、そういうのもないらしい。
転生してスタートダッシュで最強、俺tueeeはできないようだ。
「根本的な相性によるものでもあるのですが、これをもらうと、ないとは思いますが、かの神のつみを軽減する恐れがありますので、干渉を排除しました。」
言葉のニュアンス的には罪? 詰むのだろうか?
ただ、さっきまでいた世界最大の宗教団体し、隠蔽工作の一つや二つできるとは思うのだが。
干渉の排除って言うことは、もしかして、自動的に何かもらえたパターンだろうか。
つまるところ、マイナス部分をプラスに帰る要素として、迷惑をかけた人にチートを送っていた、ということになる、ようだ。
ただ、チートを送って、マイナスがすぐにプラスになるとは思えない。
掛け算じゃるまいし。
「善悪値といえば解りやすいと思います。死者が生前の行いによって罪刑を決めるあれです。」
「こういう場合、お詫びの品、わかりやすく特殊能力、スキルとしましょう。それを貰った相手が、新しい生で、そのスキルをもって、いいことをする。」
「その行いに対して向けられる感謝の気持ちの数パーセントはスキルを通して与えた相手にも流れ込むという、手続きも技術も面倒な仕組みがあるのです。」
「神は信仰の力に依るところもありますから。よそにまいた種がマイナスを帳消しにするほどのプラスの実をつけた、ということですね。」
大変わかりやすい説明、ありがとうございます。
ただ、当事者のはずなのに自分の知らないところで知らないうちに終わっているのだが、これいかに。
本人がかかわらないところで、本人の意思に関係なくすべてが終わった。
つまり、責任はこっちにない。よって、無罪。
「私にとっては限りなく有罪な気分でいるのはさておき、罪だろうが、詰みだろうが、どちらでもあっていますよ。」
「何を思って狂信者の排除または、やりすぎを止めなかったのかわりませんが、スキルによって受ける干渉も排除しましたから、最悪、悪神へと落ちるでしょうね。」
「所謂、邪神になる、というやつです。」
神様の種類人もいろいろあるらしい。
八百万の神がいるって聞くし、いろんなタイプがいるのだろう。
彼ら邪神教徒だったようだ。
魔王を討伐するという軍に強制的に組み入れたのに、まさか、邪神一歩手前の軍に参加していたとは。
それにしても、いま楽しいそうに話したなぁ。
悪落ち、ざまぁ、って聞こえてきそうだ。
「達観してますね。もう少し憤りをぶつけてもいいのですよ。」
スルーされた。
そもそも、誰にどう憤りをぶつけるのかわからないが、感情の起伏が薄いんだよな。
「仕様ですから。」
何が?
「ですから、感情の起伏が薄くなるのが仕様なのです。」
「昔は、寿命以外で死んでそれを近いすると、特に若い人に暴れる人が多いのですよ。他に代表的なのは、泣いてばかり話を聞かない人や、恨み言を言って呪いをばらまく人。最後のは自殺した人に多いですね。」
「その結果、感情の制御が効かないのを防止するのと、マイナス感情がただ漏れするのを防止するため、感情の起伏を極力抑えるようになっているんです。」
0にするんじゃないのか。
そもそも、マイナスになると何かあるのだろうか。あるんだろうな。わざわざ防止するためって言っているのだから。
「所かまわず、呪い振りまかれたか困るからですよ。少し考えればわかるでしょうに。バカなのですか。」
バカにされた。まぁ、バカなのだけれど。
随分と大雑把な仕様のようだ。
「さて、そんなわけでまた行ってきてもらいます。」
「行くんですか。」
「行くのです。」
治療の旅はまだ終わならないらしい。
少年漫画なら、俺たちの戦いは、っとなって、最終回になるような展開なのだが。
「終わらないどころか、よりやり直しに近い状況ですからね。」
やり直しに、より、ってつくんだ。
「すごろくで言うとスタート地点に戻るですね。おまけつきですが。」
お金を稼ぐボードゲームでスタート地点に戻る時に所持金を持っている感じだろうか。おまけがつくってこどだし。
やったことがないから正確なルールしらないけれど。
「ちなみに、セーブポイントは?」
「あるとするならば、ここですね。ただ、オートセーブ、ですが。」
それは、セーブなのだろうか。
いや、死んだらここに来たのが2度目なのだから、ある意味セーブになるのか。
記憶にチートらしきものもある。
強いて言えば、強くてニューゲーム、だろうか。
ただ、世界観が違うので、ただのニューゲーム、のような気もするが。
「何か。」
「いいえ何も。ただ、おまけが楽しみだなあって。」
「おまけ、あ~、ありましたね。」
忘れていたのだろうか。
忘れているんだろうな。
お詫びの品というものがないのなら、せめておまけの品はいい物が欲しい、と思うのは決して悪いことではない、はず。きっと。物欲センサーにも引っ掛からないはず。
それにしても、行単位で前に、おまけつきって言っていたをわすれるぐらいだから、ページ単位で前に、投げ落とされて、足の下に置いたことなど覚えている可能性のなんと低いこと。
多分。きっと、絶対? 意識しているはずがない、と思う。
そういう性癖はないのだけれど。
「お礼言えば、何か目覚めるかもしれませんよ。動画サイトによくあるヤツのように。」
あれは、様式美であって、全員がそういう癖があるとは思えないのだが。
違うよね。ね? ね?
「まぁ、冗談はこのくらいにして。」
声がした同時ぐらいに、お腹にかかる圧力が増した。
わかりやすく、ボンって音がして煙が出ることはなかったが、これまでとの形状が変わったのはわかった。
元々、薄い感覚が、さらに薄くじたばたできなくなった。
「さてさて。」
片手でわしづかみされるぐらい軽くなったようだ。
ボールじゃないのだから。
いや、形状的にはボールのようなもの。実際には、人魂のような感じがする。
もしかしたら、わかりやすい印象を受けるように設定されているのかもしれない。
ん~って、唸りながら見つめられてるのだが、形が形なので、目があってときめく、なんてことはない。
「目、ですか。しかも浄化の。」
「これなら、魔王扱いされて討伐されるのわかりますね。教会関係者が欲したものを敵対勢力か、敵対視している相手が持っているのですから。」
「国によっては宗教イコール権力な世界ですからね。神が実際にいることがはっきりとわかるならなおのこと。こんなの世界の理に組み込まれたただの運でしかないのに。」
何のことを言っているのか、まったくもってわからないのだか、完結したようだ。
こういうのが積み重なって、気づいたら、選択肢に、はい、いいえ、ではなく、はい、yes、の二つしか並ばなくなるのだろうな。
もしも、ノー、を選んでも、エラーが出てやり直し。いやな、世の中だ。
「彼らは欲して、ダメなら潰す。自身に移植するのか、適合者を探すのか。実に
人間が、嫌いなのだろうか。
「嫌いではないですよ。ただ、邪神と指さしてくる相手とか、宗教関係者とか、意味不明な人とか、、、あとは、仕事を増やされる相手とか、、、ですかね。そう思いませんか。」
最後のに当てはまる気もする。限りなく有罪的な扱いだし。
これは当て付けか、何か、と思ったほうがいいものだろうか。
積極的に行動した結果ではないはず、なんだけれどな。
「私も完全無欠の善人ではないですから。かといって悪ではないですよ。ただ、善悪でくくるならば、元が元なので、分類すれば、悪よりになるだけで。」
悪なんだ。
「そもそも、普通の生きている人と同じで怒ることも、腹を立てることもあります。」
もしかしてだけど、邪神や、悪神、と指をさされるのは間違ってないのかもしれない、となる?
「知っていますか。神様って意外と沸点が引く率が高いんですよ。」
ごめんなさい。冗談です。気のせいです。口が滑りました。現状、口がないですけれど。
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