第31話【新薬の販売許可とランクアップ】
「それでは新薬の販売を許可します。
今回は傷薬のメンタムしか確認出来ませんでしたが、疾病薬の
護衛の方々にも丸薬を出されていましたのでそちらで信用登録とします。
この書類でカイザックでの新薬の販売は許可されましたのでシミリ様若しくは代理店としてゴルド商会での取り扱いが可能になりました。
当ギルドでも新薬の販売告知の張り紙を出させて貰いますので発注があるかもしれないですがその際はよろしくお願いします」
商人ギルドから販売の許可が出たのでゴルド商会と契約して在庫を置いてもらい、ゴルド本人には冒険者ギルドにて事後処理指名依頼の手続きをお願いした。
「ようこそカイザック冒険者ギルドへ!本日はどのようなご用件でしょうか?」
冒険者ギルドの受付は元気の良いショートヘアの若い女だった。
「事後処理になるが指名依頼の申請と完了報告の手続きを頼む。
依頼主は私で依頼人はこっちのふたりでオルト君とシミリ君だ。
依頼内容は怪我の治療薬の調合だ。
報酬は3名分で銀貨30枚になるが処理をよろしく頼む」
「お久しぶりですゴルドさん。
事後処理の指名依頼とは珍しいことをしてますね。
まあ、内容を聞いてると緊急依頼をこなした冒険者にギルドポイントを後付けして欲しいと言われたって所ですかね?
いつもご利用されているゴルドさんの頼みですから手続きは致しますよ。
それでは冒険者の方はギルドカードの提示をお願いしますね」
僕達はFランクのギルドカードを提示して出された書類にサインをしていった。
「Fランクの方だったのですね。
なるほど今回のような依頼はFランクでは通常受けられない案件ですので指名依頼にされたのですね。
お二人のどちらかが医師か薬師でしょうか?
であればプレートの職業欄を提示ください。
「僕が薬師だ。プレートは職業欄だけの提示でいいな?
数値的な所はあまり人には見せたく無いからな」
「もちろん大丈夫ですよ。
ステータスプレートは個人情報になりますから誰にでも見せるものではありませんからね。
はい、職業欄の確認はしましたのでもういいですよ。
今回は指名依頼との事で依頼内容もCランク相当にあたるのでギルドポイント達成でランクアップが出来ますがどうされますか?」
「出来るならばお願いしたい。しかし依頼ひとつでランクアップして大丈夫なのか?」
「それは大丈夫ですよ。
もとよりFランクは薬草採取をこなして上げるのが一般的ですが一回一ポイントを百回こなしたらEランクに上がれますので。
ちなみに今回の指名依頼のポイントは300ポイントになりますのでEランク昇格条件を満たしていますので大丈夫ですよ。
そしてDランクまでは私達受付が書類確認しただけでランクアップさせて大丈夫な規定になっていますので問題ありません」
(思ったよりずいぶん緩い規定だな。
だからDランクまでは下っ端なんだな。
なるほど理解した)
「分かった。お願いするからランクアップしてくれ」
「分かりました。少々お待ちくださいね。
あ、更新料金はお一人様銀貨一枚になりますので用意をお願いします」
「更新料を取るのかしっかりしてるな」
「手続きの手数料と新たなギルドカードの作成費ですよ」
受付の娘はよく聞かれるのだと笑いながら答えてくれ、僕達の前に新しいギルドカードを出してきた。
「こちらがEランクカードになります。
ちなみにDランクになるためには1000ポイント必要ですので後700ポイントですね」
「ありがとう。
ちなみに先程言っていた指名依頼についてもう少し詳しく聞きたいのだが・・・」
「いいですよ。
指名依頼はその名のとおり冒険者を指名してクエストを依頼するものです。
種類は二種類あって個人が特定の冒険者を指名して依頼するものとギルド及び貴族・王族が指名して依頼するものがあり、前者は特にランク指定はありませんが後者は最低Cランク以上、内容によってはAランク以上と指定される事もあります。
信用の問題だけでなく腕も確かな冒険者でなければ普通は指名される事はありません」
「今回みたいな事は珍しいんですか?」
「そうですね。大変珍しいと思います。
ただ、今回の依頼は薬の調薬依頼でしたので冒険者ランクが低くても問題ない特殊な依頼のため成立した依頼だったと思います。
そうだ、今回はゴルドさんの依頼でしたし、緊急性がある内容でしたから通しましたが基本的に指名依頼は先に受付に相談してくださいね。
あと、Cランクになるためには幾つかの条件があるのですがその辺りはDランクに上がった時に説明しますのでご了承下さいね」
「分かった、ありがとう。
とりあえずDランクになるまでちょくちょく依頼ボードの確認に来る事になるから何かあったら聞くことにします。
よし、シミリ行こうか。
ゴルドさん、今日はありがとうございました。
薬の件はよろしくお願いします」
「はい。こちらこそよろしく頼みます。
恐らくすぐに追加注文が入ると思いますよ」
僕達はそんな話をしながら冒険者ギルドを後にした。
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