理解力に欠けた僕と想像力に欠ける君

拝啓、僕に捨てられた君へ

『おバカさんで可愛いね』

『マヌケなところが愛おしい』

「…それは、」

「(貴方の願望だろう？)」

そんな覚め方をして行った

頭のいいところが好きだった

堂々としている所がかっこいいと思った

はっきり言える姿勢が僕と同じだと思った

全部今でもその通りだと思う

間違いなくその通りだからこそ

貴方がそれを使いこなせていないことに

包丁を包丁として使うことも出来ない愚か者だということに

気がつくのに、1年近くもかかってしまった

貴方はとても自信過剰だったから

僕もそれなりに…盲目だったから

僕はとても視野が狭い人間だ

だから貴方のその自信には、それなりの根拠や経験や考えがあるのだろうと、勝手に思い込んでいた

ハッキリものをいうことへのリスクも知っていて、その上で責任を承知で発しているものと思っていた

頭のいい貴方は、僕なんかよりよっぽど想像力も理解力も至るはず、足りないわけが無い。って

僕と同じだと思ったから

同じだけの覚悟、葛藤があるものと、思っていたから

貴方が、その才能を

躊躇うことなく人を傷つけるために使い

決して自分を含めた、周りの人間を幸せにするために使わないこと

…と言うより、そういう使い方を心得ていないこと

気づいていたけど、見たくなくて蓋をした

そのツケがここに至ってようやく全部、僕たち二人共に重くのしかかっている気がする

ごめんね

でも貴方は間違いなく素晴らしい人だ

頭が働くこと、並より多くのことを知っていること、なんでも器用にこなせること、恥じることなく堂々と態度と言葉に表せること、気持ち次第では努力も怠らないこと

人が離れていくことを「寂しい、悲しい」と思える感覚に欠けていないこと

間違いなくありふれていない素晴らしい素敵な長所だと思う

僕と違って無能なわけじゃない

すごく有能だからこそ、間違えた時の損害がとても大きかった

でもだからこそ、使い方次第でどれだけでも上手い方向に持って行けるはず

そのポテンシャルの高さ、中々普通じゃないと思うから

もう協力も共感も理解もできなくなってしまったけど、応援だけはしているよ

かっこいい姿を見せることが出来る

人を笑わせることが出来る

僕は貴方のいちばん近くに置いてもらっている間、それを1番多く受け取った自信がある

馬鹿じゃない貴方だからこそ、きっとその人数を増やせるはず

理想があるんだろう？

もうパートナーじゃないんだ、無責任に言い放させてもらう

貴方が望むなら、何だって絶対に実現出来る

僕なんかをちょっと失ったくらいで、落ち込むような事じゃないよ

幸せになるために、願いを叶えるために、もっと先に考えるべきことが…目を向けるべきことが沢山ある

がんばって

何よりも貴方への理解が足りなかった僕より

敬具