第35話犯人は嘲笑う

「ちょっとお兄ちゃん、北條さんの家知ってるの?」



「そうだった、知らない、メールで聞いてみよう」



しかし、返信は返ってこない。



「くそう!返信が来ないよ」



「こうなったら、明日を待つしかないの?」



「いや、それだと美咲さんが殺される可能性だってある」



「あの刑事は?」



プルルルル、僕の携帯が鳴る



「おう、ワンコールで出るとはびっくりだぜ」



「安田刑事、大変です」



「なんだよ!今度は、妹の同級生が犯人を見つけたって、明日直接会うってメールがさっき来たんですよ」



「なんだって?その子の名前とかわかるか?」



「北條…北條美咲さんです。こないだ殺された北條君の妹です」



「はぁ、何てこった」


電話越しに落胆の声が聞こえるのがわかった。



「もしもし?どうしたんです」



「お前さんが見つけた指。北條美咲さんのもんだよ」



「えっ」


僕は携帯を落としそうになった。



「一応、兄貴が殺されたときに彼女の指紋もとっていたから間違いねぇ」



「そんな、嘘ですよね、じゃあ僕がメールでやり取りしてたのは…」



「犯人だろうなぁ」



「今、俺は北條の家に向かってる、お前らは家に戻れ」



「僕たちもそっちに向かいます」



「ダメだ、ここから先は警察の仕事だ、とりあえず、お前さんとやり取りしてた携帯でも見つかればいいが…帰りにそっちに寄る。メールのやり取りを見せてくれ」



電話は切れた。僕はボーゼンと立ち尽くした。



「お兄ちゃん?」



「僕が見つけた指…美咲さんのものだって」



「えっ」


沙夜は言葉を失う。



「じゃあ、昨日のメールは誰よ」



「犯人だよ、僕たちを嘲笑ってるだ」



「やっぱり犯人は北條兄なんじゃない」



「なんだか、そんな気がしてきたよ」



「とりあえず家に戻ろう」



美咲ちゃんはもう殺されたのだろうか?しかしなぜ指だけ?


どうか生きていて欲しい…



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る