第33話協力者

一台の車がもうスピードでやって来て止まる。



「遅いですよ、安田さん」



「飯食ってたんだよ。これでも食うのやめてすっとんできたんだ」




「一人ですか?」



「あ、ああ。いつもの部下をつれてこうとしたんだけど、あいつ腹壊してトイレに籠ってやがって、しかたねぇから一人で来たんだよ。で、どれだよ」


僕は川の方を指差す



「また、変なもんを見つけたな。お前さん学校も行かねぇで探偵ごっこをまだやってたのか」



「どうしても、犯人を捕まえたくて…」



「まぁ、いい。今応援呼ぶから待ってろ」


安田刑事は携帯で連絡を取っている。



DNA鑑定などが行われるのかな



「あのこの指が誰のものかどうやって調べるんですか?」



「ああ、鑑識にまわして調べてもらうしかねぇな」



沈黙が流れる



「仕方ねぇ、結果がわかったら連絡してやるよ、ただし誰にも言うなよ」



「ありがとうございます」



「あと、もし犯人をみつけたとしても一人でどうにかしようと思うな。必ず俺を呼べ」



「はい、そうします。そうなることを期待します」



しばらくして、鑑識の人と、安田刑事の部下がきた。



「いつまでトイレにいるんだ、おめぇは」



「す、すいませんでした。あれ、また君か」



「その辺はもうおれが話したからいいんだよ」



これ以上僕を詮索させないようにする、鮮やかな対応だ。


第一印象とはすっかり変わり頼りになる大人に印象は変わった。



この指が誰の物なのか、これが事件を大きく動かすのは間違いない。



僕は安田刑事と別れ、連絡を待つことにした。



沙夜が帰ってきたら、謝って今日のことも報告しよう。



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