第30話チャンスは消える
その日は訪れた。
「お兄ちゃん、起きてよ」
はっと目が覚める
「ごめん、今何時?」
「13時半、もうすぐ出掛けなきゃだよ」
「ごめん、最近よく寝ちゃって」
「疲れてるのよ、お兄ちゃん。無理しないで」
ぎゅっと沙夜が抱きついてくる。
僕は一瞬身を固める。
「あ、ああ、心配ありがとう」
「なにか、パンでも食べてそのまま出掛けようかな」
「じゃあ、私はあのノートとボイスレコーダー持ってく」
いつのまにそんなものを沙夜のほうがよっぽどしっかりしてるな。
「そういえばさ、そのライター?顔写真とか何か目印とかあるの?」
「えっと、顔写真はないけど、黄色のパーカーをきて紫のズボンを履いて待ってるって、分かりやすいようにって」
「なんかますます怪しいな」
「そう言っても仕方ないでしょ。なにか手がかりになるかも知れないんだから」
気づいたら10分前だ。
沙夜と僕は急いで公園に向かう。
しかし…公園は警察によって立ち入り禁止になっていた。
僕はその中に安田刑事をみつけた。
安田刑事もきづいたようで、こっちによってくる。
「よう、またお前さんたちか」
「何かあったんですか?」
「まただよ、首なし死体」
血の気が引いたのがわかった。
「今度はどんな人ですか?」
「おう、お嬢ちゃん元気になったんだな、なんだか、黄色と紫の悪趣味なファッションをした男の死体だよ」
「お前らなんか知ってるのか?」
「…僕たち今日その人とこの連続殺人事件の事でこれから会う予定だったんです、こないだ安田さんが言ってたSNS上でたまたま連絡が取れて」
「なんて、こった。悪いけどまた警察署に来てくれるか?」
「いつもすいません」
「もうなれたよ」
「何か荷物とか見つかりましたか?」
「何も持ってなかったよ、身一つで死んでたよ」
資料は持ち出されたか…くそ
また離れていく…
僕たちは警察署に行き、今日行うはずの行動を伝えた。
「わかった、今日はもう帰っていいぞ、今日は悪いけど送ってやれねぇぞ」
「大丈夫です、気遣いありがとうございます」
「また、チャンスがなくなったね」
「ああ、何でこうもうまく行かないんだ」
やっぱり家に盗聴機でもあるのか?
家に帰ったら念のため探してみよう。
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