第29話接触の機会

「ねえ、どう考えても私たちの行動全てみぬかれてるよ」



「どうやってさ」



「よくよく考えたんだけど、お父さんを殺すためにこの部屋に入ってるわけでしょ。盗聴器とかしかけられてるのかも」


そうかその可能性もありえる。



「ねぇ、あの刑事さんに相談してみる?」


刑事、安田刑事のことか。



「あっ」



「どうしたの?お兄ちゃん」



「そういえば安田刑事が今回の事件がSNSに拡散されてるって言ってた」



僕たちは慌てて家に帰る。



パソコンをつけて、Twitterにログインする。


ログインするのに時間がかかった。



「お兄ちゃん…遅いよ」



「しかたないだろ、僕はSNSやんないから、それより沙夜の方がアカウントとか持ってんじゃないの?」



「あるけど嫌よ、お兄ちゃんに見られたくない」


何を書き込んでるんだ…



とりあえずこの町の名前を入力してみた。



【首切り事件やばい】【サイコパスが出た】【犯人は町人全員】



「なんだか、どれもくだらないな」


はぁと僕はため息をつく。



「お兄ちゃん、これ」



僕は身をあげる。



【安斉山町の事件について知りたい人はDM下さい】


これは…



「沙夜、DMって何?」



はぁ、沙夜はため息をつく。


「ダイレクトメッセージ、この人に直接連絡できるってことよ」



「なんだって、早速送ろう…えっと内容は」



「かして、お兄ちゃん」



【はじめまして、安西山町の事件を独自に調べているものです、一度お話がしたいので、連絡させていただきました】


沙夜はカチャカチャと文章を打ち込む。



「すごいな、沙夜」



「このくらい普通、お兄ちゃんが疎すぎるの」



ピロン メールの返信だ。



【はじめまして、私は安斉山町のことを調べているフリーのライターです、よければ今度会いませんか?日付などご都合どうでしょうか?】



「なぁ、これって出会い系の罠じゃないのか?」



「だとしても会うしかないでょ、お兄ちゃん今週の日曜日の午後にしよう」


カチャカチャとメールの返信を沙夜はする。



結果、ぼくたちは今週の日曜日午後2時に近所の公園でフリーのライターとやらに会うことになった。



ただの出会い系じゃなきゃいいんだけど…



でもホントにライターなら僕たちよりも情報をもってる可能性は高い。


僕は期待に胸を踊らせている自分がおかしくなった。



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