第20話疑惑と進展と

家の前について、僕は思い出した。


しまった、買い物に行くから遅くなると伝えたのに、何も買ってこなかった…



ガチャ扉が開く。



「よ、よう沙夜」



「なにやってるの?お兄ちゃん。遅いから心配した。あれ?買い物は」



「いや、それが行くのが遅くなっちゃって何も買うものがなくてさ…今日は冷蔵庫のもので何か作るよ」


僕はとっさに繕う。



「ふーん」


疑惑の目が向いていたが僕はそそくさと家に入った。



「ファーストフード店」


沙夜がいきなり言ってきたので僕はびくりと体が反応した。



「えっ、な、なに」



「学校から少し離れたところにファーストフード店があるみたいよ。今度行ってみようかなって一人言よ」



「そ、そう、じゃあ僕も行ってみようかな」



僕は冷蔵庫を開けて適当な食材を出して料理を作る。



「明日、私が買い物行ってくる。もう食材今日でないでしょう?よく考えれば明日でよかったのよ」



「そうだね、一緒に行こうか」



「お兄ちゃんは予定があるんじゃないの?」



「ないない、僕に予定なんかないよ」



「そう」


沙夜はまたスマホでゲームを始めた。



ピロン、僕の携帯の音がなった。メールだ。美咲ちゃんからに違いない。



【携帯料金のお知らせ】



「なんだよ」



「女の子からのメールでも来たと思ったの?」


ゲームをやりながら沙夜が皮肉った。



「違う違う、迷惑メールだった」


僕は適当に作った料理をテーブルに置いていく。



食事も終わり、お風呂に入った。



「私、今日は一人で寝るわ」



「そ、そう。大丈夫なの?」


沙夜はコクりとうなずく。


「他の女の匂い気持ち悪いもの」


沙夜が小声で何か呟いた気がした。



僕は自分の部屋で美咲ちゃんからのメールを待っていた。


何かしら返事が来てもおかしくないのだが、まさか事件に巻き込まれたのか…



ピロン メールだ。



『遅くなりました、お兄ちゃんの部屋からこの町について自分なりに調べたノートを見つけました。内容はよくわからないので明日渡します』



やっと進展しそうだ。


僕は気分が高まりなかなか寝付けなかった。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る