第9話闇への手がかり

「沙夜、この事件は闇が深いみたいなんだ、あまり深く関わると危険らしい。思わず一緒につれてきちゃったけど大丈夫?」



「お兄ちゃんと一緒なら大丈夫だよ」


にこりと笑う。



僕が言うのもなんだが沙夜は美人の部類に入る、しかし僕以外の他人にはぶっきらぼうなため、友達はいない。いつもスマホでゲームをしているのが心配だ。



図書館に着いた。



「あの、利用はじめてなんですけど」



司書さんと思わしきお婆さんに声をかけた。


あれこの人…



「おやまぁ、こないだスーパーであった子達じゃないか、そこに名前を書いて好きに本を読みなさい」



「あの、こないだの話、うちにも不幸がおきました」


沙夜がお婆さんに声をかけた。



「そうかい、それは残念だったね」


お婆さんは他人事のように答えた。



ちっと舌打ちをして沙夜はこの町の資料を探し始めた。



ない、どこにもない。



やはりこの町は隠蔽されている。



町の人たちすべてがグルなのか?



「お兄ちゃん、これ」


沙夜が小声で本を差し出す。



【安斉山の歴史】


そのままのタイトルだ。しかしこれを借りたら危険な気がした。


僕はこっそりとバックにしまった。



「お兄ちゃんなにやってんの」



「静かに、これを借りたら危険な気がするだから…」



「わかった、何か適当なものを借りてカモフラージュする」



「推理小説かい。いい趣味だね。お嬢ちゃん」



「昔から好きなんです。悪は許せないので」



「お兄さんは借りなくていいのかな?」


僕はビクッとした。


「はい、今日は妹の付き添いできたので」



「そうかい、そうかい。また興味があったらおいで」



僕たちは足早に図書館をさった。



お婆さんが本棚の方に向かう。



「おやまぁ、これはなかなか」


お婆さんは不敵な笑みをこぼす。


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