第2話田舎町とアパートの雰囲気は妙だった
約五時間後僕たちは町に着いた。
【安斉山町】
ここがこの町の名前か。どうやら駅前のようだが、いわゆる某有名レンタル店等は期待できる町並みではなかった。
と、急ブレーキを父さんがかけた。
「あなたどうしたの?」
「いや、今なにかが目の前を通ったんだ」
ちっ、沙夜は舌打ちをする。どうやら今の急ブレーキでやってたゲームが負けたようだ。
「何も見えなかったよ、父さん」
「勘違いか、沙夜すまんな」
「話しかけないで、また一からやりなおしてるんだから」
父さんは苦笑いしながら車を進める。
「あ、あそこだ。あそこが引っ越し先のアパートだよ」
あたりはどんよりと暗い。なんだか嫌だなぁ。
車を止めると、すでに管理人さんがまっていた。
「どうも、こんにちは、お待ちしておりましたよ」
「すいません、おそくなりました、南川です」
「いえいえ、では中にどうぞ」
僕たちは階段で三階まであがる。エレベーターなんてものはもちろんない。
「こちらになります」
管理人のお爺さんが鍵を開ける
部屋はきれいになっていて、思ったよりも広かった。
「こんな広い部屋があんな安い金額で借りていいんですか?」
管理人はにやりと笑い。
「いいんですよ。この辺はみんなあのくらいの金額ですから」
その後、簡単な説明を管理人から両親が受けていた。
僕らは引っ越し業者が荷物を運んでくるのを待つことになった。
「さて、部屋は三つか、瑛人と沙夜が一部屋ずつで、父さんと母さんでこの部屋を使うか」
「私はお兄ちゃんと同じ部屋でもいいけど」
「さすがにそうもいかんだろう」
父さんは即座に否定する。
沙夜は両親にはそっけないが、自分で言うのもなんだが、かなりのブラコンであり、僕には良くなついている。
ちっ、また沙夜の舌打ちが聞こえた。
引っ越し業者が到着したようだ。
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