第14話
時間は、夜の九時を回り、その後お家まで送ってくれるのかと思いきや……。
「ここは、どこですか?」
「俺んちだけど?」
……え?
「ちょっと休憩してこ。」
……え?でもスタスタと車を降りて、助手席の私の所まで来て扉を開け、
「ほら。降りないの?」
……これって?どういう事?
困惑しながら車から降り、初カレ様のお家に行きました。
玄関を開けると、リトル・マーメイドのスリッパがありました。
実は、私LINEのアイコンをアリエルにしていたくらい、リトル・マーメイドが大好きだったのです。
あれ?でも、初カレ様にリトル・マーメイドを好きって話した事あったっけ?
ましてや、恋愛対象外ってハッキリ言われてるし。
とゆーか、お家が兎に角広いんです。汗
後日、初カレ様から聞いたのですが、リビングだけでも十八帖ありますし、寝室とキッチンも別。
テレビは畳くらい大きいし、ソファもベッドもキングサイズ。
そうか!この広さ!キングサイズのソファやベッドに男性の部屋に、リトル・マーメイドのスリッパ……。
「彼女と同棲ですね?!」
「いや、彼女はいないけど。」
……?!
まさかの独身貴族?!
「前にお話してたアルバイトの女の子は?!」
「え?あぁ、そんな話したっけ?」
テレビを付けられて、ソファに座る初カレ様。
「座らないの?」
え?隣に?
私はかなり挙動不審の、高校生の時の陰キャに完全にタイムスリップしておりました。
「お……お邪魔します。」
大きなソファだったのでここでもかなりのソーシャルディスタンスで隅っこに座りました。
お互い無言でテレビを観ていると、いきなり初カレ様が立ち上がり、「好きにテレビ観ててよ」と、言い残しリビングから居なくなりました。
すると、シャワーの音が遠くから聞こえました。
……まさかね、まさかだよね?
困惑していると、上半身裸で腰にタオルを巻いて、歯を磨きながら初カレ様が再登場。
イケメンの濡れた髪、というかお風呂上がりショット!
大学時代はかなりの細身のスタイルの良い方だったのですが……なんか引き締まった筋肉質になってる!
むしろ当時よりなんかフェロモンがダダ漏れで凄い事に!
私は心の中で、
『尊すぎて直視出来ないけれども
……色々ご馳走さまです!
そしてどなたか!AEDをお願いします!
ドキドキで心不全になりそうです!』状態でした。
自分の手で初カレ様の姿を見ないように隠してると、
「何してるの?」
と、普通にそのまま隣に座って来たのです!
……ドキドキと、困惑で脳内ゲシュタルト崩壊さしました。
初めての映画デートの後のマクドナルドでのジュースのコップの蓋クラッシュ再来のお知らせです。汗
「何してるの?は、こっちの台詞です。何してるんですか?」
「カラオケ行って、運転したら、疲れたし汗かいたから風呂入って歯を磨いてるだけですけど。」
え?初カレ様、ドラえもんのしずかちゃんですか?
あ、そうか。
恋愛対象外だからこそ、こういう事出来るって事なんだよね。
本当に、恋愛対象外なんだ、とかなり落ち込みました。
その後もしばらくすると何をされるわけでもなく、無言でテレビを観ていると。
「帰ろうか。送るね。」
と、初カレ様は服を着てそのまま送ってくれました。
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