第10話

 私は相変わらず『女性として枯れないように程よくチヤホヤされて、ワンチャンでセックスしとくか』と、言う感覚でフラフラしてました。

 

 そんな時にSNSで、見ず知らずの男性から連絡が来たのです。

 その男性とはDMでのやり取りで話が盛り上がり、そのうち電話で話す様になりました。

 

 『話も合うし、なんかいいかも』と、思った時です。相手からLINEで「Aちゃんの事、好きだわ。今度、会わない?」と、言われたのです。

 

 それで「いずれ会うから、その時に顔わからないと困るだろうから写真送って」、と言われたので写真を送りました。


 ある日、突然彼の声が聴きたくなり、電話をしました。

 すると、彼は電話に出てくれたのですが、コソコソと話すのです。

 そして、その時に後ろから赤ちゃんの泣き声が聴こえました。


「ごめん!」と、一方的に電話を切られ、数分後にまた電話が掛かってきました。


「お子さん、いたんですか?」

「うん。でも妻にはAちゃんの事、バレてないから。」


……ん?妻?


「正直さ、妻も子供も大切だけど。俺、すっげえAちゃんの事が好きになっちゃったんだ。」

「まだ会ってもいないじゃないですか。」

「でも今どき無加工の写真送ってきたり、そういう所も可愛いなぁ、と思って。俺、一人でする時も、妻とする時もAちゃんの写真見てからとか、見ながらシてるんだよ?本当に今すぐAちゃんの所行って、本物のAちゃんを抱きしめたいよ!」と、言われました。


 ……彼に無加工写真を送ったのは、当時、写真の加工アプリの存在すら知らなかっただけです。汗


 これって……不倫だよね?


 でも、私も彼の事が好き。


 会いたい……かも。


 だって、好きかもしれないんだもん。


 そう思っていた時に、また電話の後ろで赤ちゃんの泣き声が聴こえました。

 

「あ、大丈夫。妻には『仕事の電話してくる』って、言ってあるから。」


 その時、私は母に昔言われた言葉を思い出しました。

「浮気とか不倫できる人って優しい人が多いんだよ。 

 それはね、『誰かに愛されてる』って自信や、“帰られる場所がある”から、人に優しく出来るんだよ。

 恋愛ほど面倒くさくて、愚かな物ないって言うし、私もいちいち恋愛で一喜一憂しちゃう事もある。

 女友達でも旦那さんがいるのに、セフレ作る人もいる。

 でも女性として生まれた限り、女性だけじゃなくて、きっと男性も『愛されたい』って皆思ってしまうのは本能だもの。仕方ない。

 でも本当に皆がしあわせになれればいいのにね。」


 私も結婚してた時、主人が職場の飲み会で、終電を逃して帰れないってLINEが来る度、写真とか送られてきても心配で一睡も出来なかった。

 

 それで寝たフリをしていても、主人は帰宅すると真っ先に寝室に来て「本当は起きてるんでしょ?わかってるよ。寝ないで待ってたんでしょ?ごめんね。ただいま。お前のそういう所が本当に好きなんだよ。」と、頭を撫でられました。

 そして、その度に泣いてたなぁ、と思い返しました。

  

 ……パット見、いいエピソードですが、それをこうして主人はその後、メンヘラ過ぎてモラハラとか暴力に発展して行ったんですけどね。汗


 同じ不安な思いや、ましてや他の人のしあわせを奪ってはいけない。


 そして、彼には帰る場所がある。


 でも、もし彼を失ったら……私は?


 ひとり……だよね?


 てゆーか、ひとりでも、ましてや奥様とする時も……私……オカズにされてたって事?


 正しく“虫酸が走る”とはこの事ですね!


 本当にごめんなさい!気持ち悪い!


「いや、無理です。生理的に無理です。奥様とお子様を大切にして下さい。とゆーか、本当にもうこんな事、他の人にもしないで下さい。」と、電話をガチャ切りブロックしました。


【浮気の処方箋】


母の言葉と自分の経験

 

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