第6話
かなりハードな体育会系ではありますが、チアリーディング部とは華やかなイメージがありますし、“チアリーディング部”と、いうだけで喜ぶ男性もいます。
社会人になった今でも、「学生の時はチアリーディング部でした。」と、言うだけで明らかに態度が変わる男性もいます。
当時、野球部との合コン等にも呼ばれました。男性陣は、「Aちゃん、ほっけ食べやすくしてあげるよ。」と、骨を取ってくれたり、かなりチヤホヤされました。
しかし、その都度、私は「彼氏います!」と、公言し、携帯の待受も初カレ様とのプリクラにしてました。
“私には、Tくんがいる。私には、Tくんだけだもん!”と、かなり一途でした。
しかしある日、アルバイトの帰りに見ず知らずの男性ふたりに、「これからカラオケ行くんだけど一緒にいかない?」と、声をかけられたのです。
最初は、無視をしていたのですが、
「実は今日でコイツ仕事退職でさ。明日から地元に帰っちゃうから最後に女の子と遊んでから田舎に帰りたいらしいんだよ!お願い!一時間だけ!都会のキレイなカラオケで、都会の思い出作りに協力してください!」と、言われ当時無知だった私は、
『一時間だけならカラオケにはカメラも付いてるし……。』と、ついて行ってしまいました。
すると、カラオケの部屋に入った瞬間、一人が「じゃあ、後は若いおふたりで!」と、電話をしながら出ていってしまいました。
私が動揺していると、残された男性が手を繋いできて「怖い事しないから。俺、彼女に振られてさ、本当に明日田舎に帰るんだけど、思い出作りに協力してよ。」と、キスをしてきました。
あまりの事に、硬直してしまった私は抵抗する事も出来ませんでした。
その男性に身体を触られ、下着を脱がされ、男性もズボンを降ろし「大丈夫。ゴムないけど外出しするから。」と、挿入される瞬間に、私は我に返り、泣きながら彼を突き飛ばしカラオケの部屋を出ました。
すると、廊下でもう一人の帰ったはずの男性が電話をしていたのです。目の合った男性は、「やばっ!ごめん!かけ直すわ!」と、言いました。
「待って!」と、彼に追いかけられましたが、私は走りました。
人がたくさん歩いている駅前まで辿り着き、足の震えが止まらず、フラフラと歩きながら、乱れた服を直しました。
家に帰り、自分の部屋に入って泣きながら初カレ様に電話し、その事を話しました。
すると、初カレ様は私を慰めるのではなく、
「馬鹿か!男なんてロクな奴いないの当たり前だろ!しかもそんなの自分から“どうぞ、レイプして下さい”って、ほいほい着いて行っているのと変わらないだろ!」と、声を荒げて叱ってくれました。
しかし当時の私は、“慰めるどころか怒るだなんて。酷い。私はあんなに怖い思いしたのに。私にはTくんだけなのに。”と、思ってしまいました。
次の日、お昼休みに初カレ様に呼び出され、会った瞬間に「A!馬鹿だよ!本当になにもなくて良かった。」と、また叱られました。
大人になった今なら、初カレ様が本当に心配して、私の事を愛してくれていたからこそ、次の日にまで優しい言葉ではなく、また本気で叱ってくれていたのだ、とわかります。
しかし当時の私は、「Tくん……。確かに馬鹿で無知だったけど。私、本当に怖かったんだよ?!」と、言いました。
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