第4話
Sくんへ告白出来なかった後悔から「チャンスの神様は前髪しかない、とは本当だ。」と言う事。
N先輩とM先輩の事で「狩られる前に狩らなければならない。」と言う事を学びました。
そして大学へ進学し、そこで初カレ様との運命の出会いが訪れます。
失恋の痛手と誰にぶつけるわけでもない反骨精神から大学デビューしたかった私は、ダンスが好きだった事もあり、チアリーディング部に入りました。
そして、『兎に角イケメンの彼氏が欲しい!』と思い、同じゼミで一番イケメンだった初カレ様に「チアの練習があるから授業のノートうつさせて!」と、謎の理由をこじつけにメールアドレスを聞き出しました。
すると二日後に、初カレ様から「ゼミの後、予定開いてる?」と、連絡が来たのです!
「アルバイトも部活もないよ。」と、お返事したらなんと……「一緒にふたりで帰らない?」と、お返事が……。
ときめきMAXで「いいよ。」と、手が震えながら送信ポタンを押したのを今でも忘れません。
そして、ゼミが終わるとなんと、初カレ様から私の席まで走って来てくれて「帰ろ?」と、声を掛けられました。
イケメンが、走ってくるのって……本当になんかキラキラしたものをバラまきながらスローモーションに見えるのですね……。
白目をむいて口から心臓が出るんじゃないかってくらい、ときめいてドキドキしたのを覚えています。
「最寄り駅どこ?」と、言われたので「○○駅」と、伝えると、「ちょっと待ってね。」と、携帯で何かを検索しだしました。
「あ、Aさんの最寄り駅に映画館あるじゃん!観たい映画あったから付き合ってくれない?」と、言われました。
……これって、デート?
突然過ぎる展開に思考回路はショート寸前!を通り越して、セーラームーンもビックリの急展開でした。
映画館へ行き、初カレ様がペアポップコーンを買ってくれました。
生まれて初めての男の人とのデート。
失敗したくないものの、心の準備も知識もなかった私でしたが、あまりの緊張から逆にお腹が空いてしまい、映画の最中にお腹が鳴るというハプニング。
堪らえようとしてもお腹の音は鳴るし、むしろお腹はどんどん空く一方。
絶えられず、恥じる心とは裏腹に、尋常じゃないスピードで初カレ様の持ってくれてたポップコーンバケツに手を伸ばし、三分の二のポップコーンを食してしまった恥ずかしさは今でも忘れません。
映画が終わった後に「マクドナルドでご飯食べてかない?」と、言われました。
お腹の音とポップコーンの事で、入れる穴があるから入りたい心境だった私は、初カレ様の目も見れずに「そうだね」と、着いていきました。
初カレ様と正面に座り、相変わらず爽やかに映画の感想を爽やかに話しながらハンバーガーとポテトを食べています。
ハンバーガーのケチャップが口の横に付けたまま食べてても……本当に何をやってもイケメンって絵になるんです。
私は、ときめきと緊張から、
「映画の時、お腹の音、聞こえてたよね?ポップコーンたくさん食べてごめんね。」と、言うと
「お腹の音?聞こえなかったよ?むしろたくさん食べる子の方が俺は良いと思うよ。」と、パーフェクトで百点満点で模範解答の様な返事をされました。
見た目だけじゃなくて、デートの誘い方も発言もイケメン過ぎて、私の脳内は完全にクラッシュしました。
あの、陰キャで失恋続きの私は今、魔法にかけられているか、夢でも見ているのでしょうか?
しかし初カレ様はたくさんお話してくれるのに私は緊張で完全に思考回路がゲシュタルト崩壊しだし、ジュースのストローをぐるくると回しすぎて、コップの蓋をボロボロにしてました。
すると初カレ様が、「ストロー回し過ぎじゃない?」と、声を掛けてくれ、我に返った私は思わず……。
「実は……〇〇くんの事、好きなんです!ノートなんて全然とってもらわなくてよくて、それを口実にメールアドレス聞き出してました!」と、隣の席のおばさんたちや、近くの親子が振り返る声量で謎の告白をしました。
もう死にたい……。
「じゃあ。付き合おっか。」
……え?
「いや、本当はもっと何回もデートとかしてからって考えてたんだけど、告白されちゃったからさ。よろしくね。」
初カレ様をチラッと見ると、本当に漫画などの様に頬を少し赤らめて目をそらしながら、初カレ様は照れ笑いをしていたのです。
「嘘でしょ?!夢じゃないよね?!いや……でも夢でも嘘でも嫌です!宜しくお願いします!」
「うん。じゃあ帰ろうか。」
私は泣きそうになっていました。
さりげなく隣の席のおばさんたちは小さく拍手をして下さり、近くの親子のお母さんは微笑みながら頷いていたのを鮮明に覚えております。
しかも駅まで送ってくれたのですが、初カレ様なんと全くの逆方向が最寄り駅だったのです!
「あれ?〇〇くんの最寄り駅、真逆じゃない?」
「でもAさんの最寄り駅はここでしょ?」
イケメンかっ!!!!!
しかも……。
「付き合う事になったから、下の名前で呼んでいい?」
「はい!」
「A。……あー、緊張した。今日一緒に帰れたらって思って、恥ずかしいけど俺、無難に映画デートがいいのかなって、昨日の夜から今の話題作とか調べてたんだよ。」
と、照れながら言われました。
もう死んでもいい。
いや、私は天に召された。
成仏できる。
ご臨終です。
昇天とは正にこの事です。
ホームの改札に入る前に初カレ様が振り返り、「あ、嘘は付きたくないから本当の事言っておくね。」
「……?」
「映画の最中。お腹の音、凄い聞こえてたよ。そしたら、すげぇ勢いでポップコーン食べだしたから“あ、凄いお腹空いてたんだな”と、思った。じゃあまた大学で!」
爽やかに笑って手を振りながら、初カレ様は駅の階段を降りていきました。
ときめきと恥ずかしさと……心強さと……。
夢なら覚めないで。
魔法ならとけないで。
でも映画と、告白するときのコップの蓋崩壊は……無かったことにして下さい!涙
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます