第14話 再会 その4


弟月はじめらが居酒屋で、如月かんならが喫茶店でそれぞれ再会を果たしていた頃。


青りんごは幼馴染の新居にお邪魔し、運ばれてきた荷物を整理していた。


「いやー手伝って貰っちゃって悪いねえ」

「今さら何言ってんの。みどりの我儘に振り回されるのは慣れっこだよ」


漫画を本棚に並べる作業を淡々とこなしながら、義理の姉となったみどりと言葉を交わす青りんご。


「この漫画懐かしいなあ。中学の時にかんなに勧められたんだよね」

「りんごハマってたよね。うんうん。あれは確かに面白かったなー」


漫画の内容はもちろん、あの時の如月かんなの動きを思い出し、懐かしむように笑う青みどり。


「あっ、そういえば・・・」


話の流れから、あることを思い出したみどりが声をあげる。


「どうしたの?」

「この間、花ちゃんから連絡があってさ。なんでも『昔のことを謝りたい相手がいるんですけど、10年越しの謝罪なんて迷惑でしょうか?』だってさ」

「10年越しの謝罪かあ。確かに内容によっては相手も忘れてるかもね」


漫画を並べ終えたりんごがキッチンへと向かい、「コーヒー飲む?」と、みどりに問いかける。

配線作業をしていたみどりは、「うん。牛乳多めで」と返した。


「それでどう答えたの?」


コーヒーを淹れながら、りんごが話の続きを尋ねる。


「勿論、謝罪するようにアドバイスしたよ」


「これでよし」と、配線作業を終えたみどりが立ち上がる。

汗を拭い、一旦休憩しようと椅子に座ると、淹れたてのコーヒーが運ばれてきた。


「だいたい終わったね」

「りんごさまさまだね」


一口啜り、「うん。おいしい」と感想を告げるみどりに、「そりゃよかった」と言葉を返し、りんごも対面の椅子に腰掛ける。


「アドバイスって聞くと耳触りは良いけど、どうせいつものアレなんでしょ」

「失敬だな。私だって大人になったんだよ。ただ・・・」

「ただ?」

「行動を起こした方と起こさなかった方。未来が面白くなるとすれば、起こした方だよね」

「呆れた」


目を輝かせながら語るみどりを眺めて。

言葉とは裏腹に、青りんごは嬉しそうな笑みを浮かべた。

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