第4話
「天使ちゃんと
俺のことは話題に上がるけどそれは全て
当の天使と一緒にクラス委員になった俺は自分の席でだんまりを決め込んでいる。
誰も俺に声を掛けようとしない。むしろ、このクラス委員事件を口実にみんなが
「本当に
一緒に何かできたらいいなって思っただけ」
うん。確かに一緒に何かするね。高3の時に最高の彼氏に看取ってもらうために恋愛の練習台になってますね! まだちゃんとOKの返事はしてないけど。
「……俺だって隣なのに」
目に涙を浮かべて一人つぶやいたのは確か木村というやつだ。
「たまたまだよ。この教室で最初に話したのが
正確には『たまたま声を掛けた相手が恋人の練習相手にちょうど良かったから』だろ! と心の中でツッコミを入れる。
「やっぱり天使ちゃんって優しいね。ぼっちの人がクラスに溶け込めるように一緒にクラス委員をするなんて」
そんな女子の声が耳に入ってきた。髪の色は暗いけど染めたような感じで正直それだけでビビっている。髪もくるんとしてるし、誰かどう見ても俺と相容れない陽の者だ。
「ぼっちの人なんて可哀想だよ。同じ中学の人がいないって言ってたから」
「それにしたってさー」
どうもこの女子は俺と
「ちょっと。ウチに何か用?」
思考が態度に現れて睨みつけてしまっていたのか向こうから話し掛けられてしまった。
「いや……なんでも……」
「クラス委員って文化祭とか体育祭とか盛り上げるんでしょ? 本当にコイツで大丈夫?」
その点に関しては俺も同意です。
「
すかさず
「私のことは
苗字が好きじゃないと語る小山内さんの表情はちょっと曇っていた。この見た目で『おさない』だもんな。そりゃ嫌にもなるよ。
「ねえ
「い、いえ。なにも」
ギャルという程でもないがクラス内カーストの上位に居そうなその雰囲気に気圧されてしまう。体は全然俺より小さいのにすおぎ迫力だ。やっぱり女子は恐い。
「まあまあ
「んー。天使ちゃんに言われるとそんな気もしてくる」
俺が何を言っても聞き入れてもらえそうにない小山内さんが
「……もし
ガルルルルとまるで獲物を狙うオオカミのような表情で俺を睨みつける。小熊やイノシシは人間より体が小さいのに簡単に人間を殺せる。
体の大きさなんて関係ない。殺意のオーラを剥き出しにされれば俺みたいな弱い人間は怯えることしかできないのだ。
「こらこら。そんな顔しないの。せっかく可愛いのが台無しだよ?」
そう言って
「えへへー。天使ちゃんに撫でられちゃった~」
子供扱いされると怒るタイプのかと思いきや、あるいは相手が
オオカミから一転、まるで子犬のような愛くるしさすら感じる。
「俺、このクラスになって良かった」
「守りたいこの笑顔」
「抜け駆けはなしだぞ」
そんな男子達の声が聞こえた。すでに
これから先のことを考えると脂汗が止まらなかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。