第422話あなたと話すことはないわ。

  必死に自分から顔を引いては、倒れてしまいそうな斗奴雷の体勢に、心の奥を踊らされているような気分になり、まったりと両手を彼の太股の隣りに置いては、こっそりと彼を押し倒して行こうと思っていく彼女は、流し目で彼に曖昧な眼差しを送って言う、「ぼくは?」「えっと…」自分を食べようとしているようにやけに近づいて来ては、胸元を再び自分の胸にくっつかせようとしているような楽々花の体勢に、脳内が昇天してしまいそうなぐらいの快楽の園に、導かれてしまいそうな気分を味わっている斗奴雷は、思わず何度も鼻翼に力を込めては、彼女に弱らされては、戦慄している両手を枕の方向に向けて置いていく、「君を大切にするね…」


  「おお…」恥ずかしい思いに酷く刺激されては、思わず自分から目線を逸らしていく斗奴雷のハニカム姿に、心臓を強く跳ねらされているような気分になり、思わずぼんやりと唇を開けていた楽々花は、まるで自分には彼は非常に美味しいんだと自分に教えてくれるようなシャツから現れていた白皙の肌に、包まれていた鎖骨に一瞥しては、まったりと流し目で彼の事を見上げて行きつつ、軽く顎を彼の腹部に近づかせに言う、「走るんだ?嬉しいな~?」


  自分に上手く彼女に返事をしていく余裕も時間もくれないでいるように、言葉を連続的に投げに来る楽々花の猛獣と化しているような酷く際どく感じてしまう姿勢に体全体が心臓となり、激しく鼓動を刻まされているような気持ちにされているような斗奴雷、「ち、違いますって…!」軽く頬を自分の腹部に預けに来ては、無理矢理自分にアヒル座りにしては、上半身を倒しに来た彼女に、両足が酷く麻痺されているような思いを懸命に耐えて行きながら、苦しそうにと喉から声を絞り出していく彼はぽつりと渇いていた唇を開けていき、「ただ…その…その過去を教えてくれた感想って言いますか…」


  ”ちゅっ。”突然、まるで亜麻色の鼠となっていたように猛然と自分の胸元までこみ上げに来ては、有無を言わさずに自分の彼女に向けようとする心の準備が、まだ出来ていない弱い自分の為の弁解の言葉を、柔らかい唇の感覚で奪いに来た目を瞑っては、自分との触れ合いを満喫しているような彼女に見開かされている斗奴雷、「うっ!?」自分が彼にかけにいく恋人になれたおまじないに従ってくれているようにと、体を強張らせにいく斗奴雷の顔に微笑んでは、軽く頬を彼の胸に当てていく彼女、「何も言わないでいいわ、抱えて。」


  やけに優しく感じて来る声色で、妖艶な思いを強いて来る楽々花の口調に、白眼を向けられているような気がしては、恐る恐ると戦慄しているような両手を彼女の温かい体に置いていく斗奴雷は、強く喉から声を絞り出していた、「は、はい…」「えへへ…」大人しく自分を抱えてくれていて、自分を幸せにしてくれる斗奴雷の存在を心の中で感じては、まったりと口角を上げていく彼女は、自分の目線を引いて来るような金色のカーテンの上に零れて来る微かな日差しに目を細められているように感じつつ、軽く口角を上げにいく彼女は声を発していき、「夜が明けちゃうわね。」


  一夜も大好きな彼女と話をしていたと言う事を自分に教えに来る彼女の柔らかい体に、やや困らされているように思いつつ、体を倒されているような気がしている斗奴雷は、漠然と自分の心臓の鼓動を聞いてくれる彼女の存在を感じて行きながら、天井を見上げていく、「うん…」呆然と目を細めては、自分にようこそ彼の胸元へと自分に挨拶を交わしに来るような、胸元の軽く跳ね上がっているような鼓動を感じて行きつつ、まだ弱く感じてしまう日差しに照らされている雪に、目を細められているような気分になりつつ、彼の胸元の存在に体を温められては、胸元の奥にある気分が楽になっているせいで、脳内に登って来ては唇をこじ開けに来るような眠気に、微笑んでいく彼女はぽつりと声を発していた、「雪が綺麗だね。」


  まるで自分の目線を引いて来るようなハスキーな声色に見開かされては、目線を導かれているようにと軽く顎を引いては、窓の向こう側にある小さな白い粒に軽く眉毛を上げられているような気分になり、左手で自分を信頼してくれる彼女の肩に添えては、丁寧に頷いていく斗奴雷、「うん。」ぼんやりと自分の隣りにいる斗奴雷の温かい体の温度を感じて行きつつ、目を細めては、自分たちの向こう側にあるサイドテーブルの上にある、使い古された青色の蝶々の飾り物に一瞥していく楽々花は、つい脳内を過っていく白い髪の毛をしていた少女に目を細められているように思えては、利佳は今は一体何処にいるのであろうかと、内心で思っていく彼女は軽く唇を噤んでは、傷心に耽っているようにと金色のシーツに目線を向けにいき、「ちょっと…」


  悔やんでいるようにと歯を噛んでは、もう斗奴雷にこれ以上危険な目に遭わせたくはないけれども、自分にっとの恩人のような利佳を、人生が訳の分からない自称神のシルエットに終わらされるかもしれないでいる今だと、やはり悔恨の思いを残したままで、死にたくはないんだと強く思ってしまう楽々花は、何度も鼻翼に力を込めては、ゆっくりと目線を斗奴雷に向けに言う、「行きたい場所があるんだけれど…」自分に何かしらの少しばかり無茶なことをしようと考えているような楽々花の態度に、弱らされているように感じつつ、外に出たいと語ってくるのであろうと内心で思って行きつつ、外にいる人は大分減っているはずなんだと、外に出るのは危険なことなんだと言うのを知りつつも、つい彼女の願望を叶えたいと思ってしまう自分が、彼女に無茶なことを許して仕舞いそうな内心にある思いに、悩まされているような気がしてならないでいる斗奴雷は、まったりと左手を上げては彼女の亜麻色の髪の毛に向けていき、「いいんですよ、」ぽつりと自分の唇から飛び出ていた一言に繊細な眉毛を跳ねらされているような彼女の顔に、微笑んでみたくなりつつ、まったりと背筋を伸ばして行きながら、彼女の柔らかな髪の毛からゆっくりと左手を彼女の頬に添えに行く彼は言う、「どんなところでもお供します、」


  蕩けているようにと微かにピンク色の唇を開けに来る彼女の瞳を見つめて行きつつ、照れくさい思いを強いられているような気がしている彼は、軽く右手の人差し指で痒くなっている頬を掻いていき、「僕なんかでよろしければ。」斗奴雷の弱っては、自分の頬から左手を引こうとする様に、心をくすぐられているように感じつつ、まったりと両手を上げては、彼の左手を包んでいく楽々花、「なんかじゃないわ、」


  ごくりと固唾を飲み込んでは、何度も鼻翼に力を込めにいく楽々花は、強く彼の手の甲に残されていた自分を助ける為の傷跡に一瞥しては、心を酷く叱られている感じつつも、やはり利佳のことが心配になり、もう大分遅れているように感じては、上手く連絡を付けなくなっている彼女に自分は如何にか生き残れた、そして両親を亡くしていた彼女の今の安否を確認しては、自分はずっと彼女の事を思っているんだと、酷く我が儘でしかないでいるような思いに、斗奴雷に命をかけて貰う自分はダメだなと内心で思いつつ、尽くして来るような深い紫色の瞳がやけに綺麗に感じてしまう楽々花は、軽く歯を噛んでは、もし斗奴雷が強く、もう亡くなっていた可能性が非常に高い利佳を探すなと自分に言ってくるのなら、自分は素直に観念して行こうと内心で思って行きながら、彼に向けて声を発していた、「付き合ってくれるのかえ…?」


  自分に拒んで欲しがっているようにと軽く顎を引いて来る彼女の可憐な態度に、目を細められているように感じつつ、外の状況を詳しく知れないけれども、強化者たちはかなり分散しているはずなんだと思って行きつつ、如何にか日が完全に明けるような時間帯から行動の時間を逸らして行けたら、そこまでの危険はないはずだと考えていく斗奴雷は、自分に潤んでいる金色の瞳を向けに来ては、どんな無理難題でも彼女のために貫いて行きたいと思わせに来る彼女に微笑んでいく、「はい、喜んで。」


  どうしようもないくらいに我が儘な自分を受け入れてくれるような斗奴雷の態度に、胸元の奥を強く引かれているように感じては思わず瞼を閉ざしては、両手を彼の背中向けて伸ばしていく彼女。丁寧に自分にくっついて来る柔らかい感覚と、自分の唇に触れに来る少しばかり湿っているような感覚に目を細められているように感じつつ、漠然と激しく鼓動を刻んでいる心臓の存在を感じて行きながら、恐る恐ると俯いては、自分と顔を合わせようとしないでいる彼女の存在に笑っていく斗奴雷は、何度も鼻翼に力を込めては、強く温かい空気を吸い込んで行きつつ、内心にあるプレッシャーを如何にか塞いで行こうと思い、無言で静かに感じてしまうくらいの雪を見つめていく。


  ゆらりとひんやりとした微風に乗っかっては、自分の項を照らしてくれているような光に、照らされては艶を貰っていく自分をからかいに来るようにと、皮膚に小さな冷たい針に刺されていたような気分を与えに来る雪の感覚に、口角が斜め下の方向に向けられているような気分になり、思わず苦しそうにと強く歯を噛んでしまう美空は、呆然と傷心に脅かされているような左手で軽く腹部を擦っては、悲しみに侵されているような虚しい眼を自分の右側にあるガードレールに向けては、まるで自分の存在価値を証明してくれているような車を潤んでは血走っているような琥珀色の瞳で映し出して行きつつ、軽く鼻を啜っては、右手にある携帯画面に目線を向けていく。


  「もしもし。」自分の人生を潰しに来ていたのにも拘らず、やけに冷静に伝わってくる声色で、自分の鼓膜を殴って来ていたような無機質な電話の音の代わりになってくる男性の声に、悲憤を覚えては思わず強く歯を噛んでみたくなっている美空は、自分のやけに重たくなっているような錯覚を与えに来ては、自分に呪いをかけに来たとしか思えないでいる腹部を、抹茶のような色をしていたコート越しで強く握っては、悔しそうにと強く歯を噛んでいき。


  「どうかな、男の子なのか?」やけに興奮気味になれているような声色で自分に質問を向けに来ていた多々羅の、自分の腹の中に男の子の種が育っているのを願っているような言葉に、口角が斜め下の方向に向けられているような気がしてならないでいる美空は、強く鼻翼に力を込めては、怒りに震わされているような空気を吸い込んでいく。「それとも女なのかな。」まるで無言と言う返事を彼に向けていた自分に、高ぶっていた思いに沈められているような多々羅の声色に、目を細められているように思えては、漠然と白皙の顎を上げては、自分の存在を奪おうとしているようにも見えて来る星々に、埋め尽くされているような夜空を見上げていく彼女は、まったりと自分の琥珀色の瞳を過っていく流れ星を気にすることなく、ぽつりと声を発していた、「女の子だってさ。」


  「そう…」一瞬にして自分の高ぶっていた思いに水を差して来ていたような返答に、心を軽く震わされているような気がしては、ぼんやりと背中を回転椅子に付けては、机の上に置かれていた酷く古ぼけたピンクの腕時計に一瞥していく多々羅は、軽く鼻翼に力を込めては、ぼんやりと背中を回転椅子に預けては、天井を見上げて言う、「どうかな、まだあの小僧が好きなのかな。」多々羅が自分に向けに来る当たり前のようにも感じてしまう質問に、目を細められているような気がしては、思わず軽く歯を噛んでは、人間の脚が自分の腹を蹴れないでいる作りを恨んでしまいそうな気分になっている美空は、悔しそうにと喉から声を絞り出していた、「好きよ…あなたに体を買われたとしても、」ぼんやりと悲しみに濁らされているような視野の中で、自分の顔を見下ろしに来るような淡い光を放っている街灯を見上げていく彼女は、苦しそうにと鼻を啜っては、何度目なのかも分からなくなってしまうぐらいに、自分の人生を恨んでいる彼女はぽつりと悲しみに震わされているような唇を開けていき、「一瞬も彼を忘れることはないぐらいに。」


  宛ら自分は上手く彼女を自分色に染め上げる事が出来なかったと、自分に知らせに来るような美空が自分に返して来ていた迷わないでいた口調に、眉毛を軽く上げられているような気分になり、愛でるようにと軽く左手を伸ばしては、机にあるピンクの腕時計に触れにいく多々羅、「これは参ったよ。」可笑しそうにと軽く鼻で笑っていく彼は、自嘲気味に肩を跳ねらせては、人は結局のところ何なのだろうかと漠然とした思いを抱え始めている彼は、呆然と目を細めてはぽつりと声を発していく、「もうお前は自由だ。」


  ”ドクンー”刹那、携帯電話越しで伝わって来る自分には、毎日のように思って来ていた多々羅の口から紡いで貰いたい言葉に、心臓を軽く殴られているような気分になり、眉毛を跳ねらせているような気がしてならないでいる美空は、思わずびくっと弱っていた肩を跳ねらせていき、「えっ…?」「その子供を産もうが落とそうが、」自分が彼女に向けていた彼女にとってはきっと酷く衝撃的に感じてしまうのであろう話に、絶句されているような美空が上げてくれていた間の抜けたような声に、口角を上げられていたような気分になりつつ、ちゃんと数え切れないぐらいに愛していた彼女が自分から離れると、急にこの世からいなくなってしまうのは悲しく感じている彼は、ぼんやりと美空を上手く生かしていけるような将来に繋げていけるような物質を添えて行こうと、内心で思って行きつつ、声を発していた、「お前の勝手さ。」

  

  「お前…」多々羅が自分の腹を膨らませるとポイっと自分のことを捨てようと、語って来ていたことに見開かされているように感じつつ、元々義威瀬以外の人に、それこそ自分も含めて全くもってと言っていい程に期待していなかった自分が、こんなにも冷え切ってしまうような態度を平然とした声で自分に突き付けに来ていた多々羅に、更なる絶望を強いられているような気がしては、思わず悔しそうにと強く歯を噛んでは、腹部を殴ってみたくなっている彼女は、歯ぎしりして行きながら、恨んでいるようにと強く眉毛を顰めては、猛然と血走っている琥珀色の瞳を携帯画面に向けに言う、「こんなことをしといて…」


  悲しそうんと強く両手を握っては、義威瀬とは普通に付き合っていけるのをとっくに観念しては、せめて彼の下僕のように彼の傍の身の回りの世話をしていこうと思っていた自分に、また一つ多く自分の身体に嫌悪感を覚えさせに来ては、いよいよ自分を死に追い詰めに来ていたようにも思える多々羅が自分に紡いだ話に悲憤を覚えては、苦しそうにと強く鼻翼に力を込めにいく彼女は霞んでいた視野の中で、自分が履いていた深いコーヒー色のブーツを探して行きつつ、喉から震えているような声を発していた、「自由なんざ…あるわけねぇだろうが…!」


  「そんなことないだろう?」酷く苦渋な思いを抱えているような美空が自分に投げに来る恨んでいるような話に、口角を軽く上げられているような気分になり、まったりと左手にある煙草に目線を向けにいく多々羅、「お前に綺麗な別荘を送ってやるよ?」ぼんやりとまったりと天井に向けて散って行くような煙を見つめていく多々羅は軽く口角を上げては、美空にあまり悲観的にならないで貰いたいと思ってきながら、声を発していた、「口座にもこれから子供を育っていく為の金も払ってやる、」


  突然、自分が受けて来た屈辱としか思えないで来た思いを、金で慰めて行こうと語ってくる多々羅の態度に苛立ちを覚えては、思わず強く眉間に皺寄せてしまう美空。「子供を産まなくなくともだ、勝手に使ってろ。」ぼんやりと悪魔としか聞こえなくなっているような多々羅が紡いで来た話を耳にして行きつつ、強くひんやりと感じてしまう息を吸い込んでいく彼女は、自分にいっぱい金さえ貰っていければ、汚れ切っては、汚れの塊としか思えないでいる腹を連れて人生を終わらせ、義威瀬にちゃんとお金を渡して、彼に自分よりずっと彼が好きになっていけるような人との出会いのきっかけにすることが出来てしまうんだと、内心で自分に言い聞かせて行きつつ、取り敢えず多々羅から出来る限り多くのものをかっさらっていこうと思っていく彼女は、潤んでいた琥珀色の瞳をガードレールの向こう側にある車に向けていた。


  「得するもんなんだぜ?」ニヤリと口角を上げては美空に少しばかり冗談でも言っては、彼女に気持ちを落ち着かせようと思っていく多々羅は、軽く左手で煙草を挟んだままで、左手を外側に向けに言う、「俺の下で働くのって。」軽く鼻翼に力を込めては、ゆっくりと微かに燃えているような煙草から漂っていく灰色の煙を見ていく多々羅は強く笑っていた、「皆来世も兄貴につかわれてぇってさ。」まるで自分を怒らせたがっているようにと自分に来世も彼の奴隷になって欲しいと、知らせに来るような多々羅が紡いだ言葉に苛立ちを覚えては、思わず強く歯を噛んでしまう美空は猛然と携帯電話を掴んでいた右手に更なる力を込めにいき、「ふざけないでよ…!」


  自分が彼女に向けていた少しは面白く感じてしまうはずの話を、快く思わないでいるような美空の、自分が彼女の人生にどれ程に有り難いことをしていたのかを上手く知れていないような態度に、残念な思いを植え付けられているような気がしては、軽く肩を竦めていく多々羅は言う、「まぁ、もうお前に何かしらのことはしないさ。」ぼんやりとしている目線を天井に向けては、つい長い間の付き合いになっているはずなのに、なのにまだ自分ではなく彼女がずっと縋っているようにしか思えないでいる相手に、恋をしているのを思うと、つい彼女の幸せを祈ってみたくなっているような気分になり始めている多々羅は、可笑しそうにと口角を上げていた、「もちろんもう俺のところに来なくだっていい。」


  「うっ…!」多々羅が自分に向けに来る自分はともかく、彼の子供もいとも簡単に突き放していこうとしている態度に、心臓を強く殴られているような気がしては、義威瀬以外の男性は皆ゴミとしか思えないでいるような気がしてしまう美空は、悔しそうにと強く左手で疼くぐらいに腹部を握っては、絶対に子供を落としてやるんだと内心で強く思っては、手術を受けてから多々羅の汚らしい娘を見下ろしてから、人生を終わらせにいくと内心で多々羅の存在を恨んでいく彼女。


  「それとも何かな、」可笑しそうにと軽く口角を上げては、自分に突き放されていた美空がやけに苦渋な思いが込められていた唸り声を零しに来ていた態度に、目を細められているような気がしては、彼女はもしかしたら彼女が好いていた小僧より、自分の方に好感を抱いているのではないかと内心で思っては、つい彼女とお別れになる前に、自分が確実に彼女の身体にだけではなく、精神にまで自分の存在を残していけていたトロフィーにも感じてしまう果実を、齧ってみたいと思っていく彼はまったりと背中を回転椅子から離れていき、「俺に恋いをして、」ニヤリと口角を上げては、まるで自分が彼女に向けていた言葉を信じられないと語ってくるようにと、強く息を吸い込んでいく音を電話越しで伝わりに来る美空の目の前に浮かべて仕舞いそうなぐらいに、驚かされているような顔が愛おしく感じている多々羅は言う、「実はまだ俺と仲良く家庭を作り上げようとか考えちゃってんのかな?」


  「んなわけあるかってだ…!」自分に彼のことこっぴどく叱って欲しいと、語って来たような多々羅の頗る図々しく思える態度に苛立ちを覚えては、思わず強くはを噛んでしまう美空は何度も鼻翼に力を込めては、声を発していた、「屑野郎…!」「おいおい、」美空がこっぴどく自分を叱って来るような一言に見開かされているように思えては、つい拗ねていく子供のようにと唇をすぼめてみたくなっている多々羅は、自分には彼女に輝かしい将来を用意していたのに、恩人にも言えるはずの自分をぞんざいに扱って来る彼女は酷い女だと心の中で思っていく彼は、まったりと自分の身体の内側に入り込んで来る胸をくすぐるような煙の感覚を感じては、まったりと息を吐き出しては、言葉を紡いでいき、「酷いな、金も車も屋敷も送ったんだぜ?」


  軽く左手の人差し指を立てては、まだ若い彼女に人生早々絶望しないで貰いたいと思っていく多々羅は、ぼんやりと自分に傷心を植え付けに来るような机の上にあるピンクの腕時計に一瞥しては、彼女よりずっと惨めで簡単にも感じてしまうぐらいに、あっけなく人生を終わらされている人だって沢山いるのを知らせたいと思って行きつつ、声を発していた、「これでいい貰い手を見つかるって。」「もう…」多々羅の自分とどれだけ無理矢理重なろうとも、自分の心を微かにでも分からないでいるのを彼の言葉で、知らされているような気分になりつつ、軽く白い歯を噛んでは、直ぐにでも腹をどこかの角にぶつけてやろうと本気で考え始めている彼女は、睨んでいくようにと携帯画面を見て言う、「あなたと話すことはないわ。」


  美空のきっぱりと自分との縁を切断しようとしているような話に、苦笑いしてみたくなりつつ、無情にも感じてしまう彼女の存在を思うと、やはり彼女が彼女だから故に自分は如何にか手に収めようと思っていたのであり、そしてこんな彼女だからこそ、自分には決して彼女を手にするのは不可能であろうと思ってしまう彼は、残念そうにと笑っていく、「奇遇ね。」多々羅が自分の人生のこれからも現れるのはないのであると内心で思っては、軽く鼻翼に力を込めては、目を細めていく美空は軽く右手の親指を自分に彼との会話を切って行こうと自分を催促しに来るような赤いアイコンに一瞥していた、「さよなら。」

  

  ”どぅー”ぼんやりと傷心に耽っては、自分には多々羅と言う自分の人生に置いて果たして救ってくれていたのか、それとも自分を更なる地獄に陥れていたのかはよくわからないでいる人物を連想させに来る番号を、呆然と霞んでいた視野の中で見下ろしては、一刻も早く彼の汚らわしく感じてしまう番号を携帯電話の中から消していこうとする美空は、何度も鼻翼に力を込めては、漠然としている目線を視野の右側で自分を見守って来るような車に一瞥しては、自分がどれだけ消して行こうとも多々羅は確実に自分の人生に揉み消していくのが不可能なほどに存在を残して来ているんだと、自分に知らせて来るような自分に強く握られては、疼く腹部の感覚を感じては、ぼんやりと虚しい思いが宿っている目線を天井に向けて行き。


  霞んでは、上手く周りの世界を見れなくなっているような目線を自分の左側で控えては、自分に存在を見せつけに来るような紺色の空に深い色に、染め上げられているように感じて来る噴泉を見ていく美空は、悲しそうにとはを噛んでは、噴泉で溺水するのは不可能なのだろうかと漠然とした思いを抱えていきつつ、義威瀬は今どこで何をしているのだろうかと、本気で気になり始めては、彼に車と別荘とまだ入って来ているのかどうかも分からない口座番号とパスワードを知らせては、一刻も早く自分が汚れ切っていただけではなく、確実に汚らしいものに体を侵害されているのを知らせに来る、流産して欲しいと切に願ってしまう子供と共に、自分らの人生に終止符を打って行きたいと思っている美空。

 

  呆然と自分を濡らそうとしているような雪の存在と、自分を冷やかしに来るような冷たい風の感覚を感じていく美空は、悔しそうにと強く歯を噛んでは、自分の人生を地獄に突き落としていた元凶を思い出していくと、つい自分のまだ生まれていない子供を罵っては、本気で殺そうと考えてしまう自分には確実にゴミ以下の父親の血を引いているんだと強く感じては、苦しそうにと両手を握っては、悔しそうにと冷たい空気を吸い込んで、自分はどうして嫌ってしまう父親と同じような血を流しているのであろうと悔やんでしまう彼女、「うぐっ…」


  自分には悲しみに耐える事は出来ないんだと、自分に知らせに来るような背中を押して来ては、両肘を太股に付けさせようとしているような苦しみに、脳内を翻弄されてしまいそうな気がしては、思わず強く歯を噛んでは、冷淡な空気を吸い込んでいく美空。”ブーブー”突然、まるで自分の心臓を抉りに来るような携帯電話の振動に見開かされては、思わず大慌てで体を起こしては、急いでいるようにと左手で自分の麻痺されては、苦しい思いに苛まれているような鼻先を擦っていく美空は恨んでいるようにと眉毛を顰めては、もしかしたら多々羅が自分を冷やかすためにわざわざ電話をもう一回かけに来ていたのではないかと、ぼんやりと思っては、自分の悔やんでいる思いを封じて行く為に閉じていた唇を開けに来るような携帯画面で鎮座していた義威瀬の名前に、絶望から微かな光が差し込まれているような気分になれている彼女は、ごくりと固唾を飲み込んでいた。


  

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