第389話主人公は俺で、ヒロインはお前だ。

  宛ら自分が二人に向けて頭を下げている仕草を真似しているようにと、ぼんやりと自分に見たことのない黒い紙を抱えて、二人に向けて頭を下げていく娘希匹の可愛らしく思える態度に、口角を軽く上げられているような気がしては、ぼんやりと二人の顔を見上げていく母親は、ぽつりと渇いたような唇を開けていき、「うちの子が迷惑をかけてしまって…」漠然と街灯に照らされているような美空の黄色のスカーフを付けているような様に、眉毛を軽く跳ねらされているような気がしては、お馬鹿で天真爛漫な息子が二人に傍迷惑をかけていたのであろうと、デート中だったかもしれないでいる二人の邪魔をしていたのは、非常に申し訳なく思えている母親は残念そうにと目線を地面に向けていく、「なんかお礼をしないとだもんね…」


  弱っているような声で言葉を紡いで行きながら、お礼が出来ずにいる事で酷く悩んでいるようにと彼女の腕にかけていたポーチを見下ろしては、何かしらの物を探そうとしているような姿勢に、口角をくすぐられているように感じては、宛ら自分は極度の人見知りなんだと語っているように、母親の頭を見つめては、大きくピンク色の唇を開けたままで何度も首を横に振っていく美空の横顔に微笑んで見たくなりつつ、まったりと左手を上げては、呆然と自分たちを見上げに来ている娘希匹に一瞥していく義威瀬は、ぽつりと声を発していた、「ううん、いいんですよ。」


  自分が彼女に向けていた一言を受け入れたくないでいるように、どうしても自分たちに何かしらのお礼をしないと気が済まないでいるような母親の姿勢に、心をくすぐられているように思えては、照れくさそうにと左手を上げては、後頭部を擦っていく義威瀬、「僕に彼女に話をするきっかけをくださったんだから。」”ドクンー”突然、否応なしに自分の胸元の奥を跳ねらせに来るような義威瀬が、知らない二人に向けていた自分のことを酷く好いていて、自分ともっと仲良くなりたがっているような言葉に、繊細な眉毛が否応なしに跳ねらされているような気がしてならないでいる美空は、思わず猛然と彼の頬に目を向けていき、「はっ!?お、お前ちょっと…」喉が興奮と恥ずかしい思いに苛まれているせいで、上手く言葉を紡げなくなっているような気分を味わってしまう美空は歯ぎしりして行きつつ、まったりと自分に目を向けに来ては、淡い笑みを見せに来る義威瀬の青色の瞳にある自分を酷く愛しているような思いに、背中を焼かれているようなくらいに恥ずかしい感覚を強いられては、熱気を植え付けられているような気がしている彼女は、困り果てているようにと俯いては、自分の両手を軽く握っては、呟いていた、「人様の前で何を言ってんのよ…!」

  

  「あらら…」美空の義威瀬が彼女に向けていた一言に眉毛を跳ねらせては、酷く恥ずかしくなっているような態度に、心をくすぐられているように感じつつ、目を細めては、若い二人の間にある甘酸っぱい雰囲気に、心をくすぐられているような気がしている母親は、軽く右手の人差し指を頬に当てて言う、「お幸せにね?」「うん!」大切そうにと自分の両手にある絵を抱えては、まるでピンク色のポーチの中で何かしらの物を探しているような母親の仕草を気にすることなく、軽く鼻翼に力を込めては、強く義威瀬に告白されていたお陰で普通に戻り、純情な一面を浮かべているような美空のハニカム顔を見上げていく娘希匹は、嬉しそうにと彼女に祝福を送ってやりたいと願っていく、「お幸せに!」


  宛ら自分を恥ずかしい思いで苦しむのを、楽しんでいるような目の前にいる親子の姿勢に、口角が斜め下の方向に向けられているような気がしてならないでいる美空は、思わず辛そうにと強く白い歯を噛んでしまい、「ううう…」自分が紡いだ本音で酷く恥ずかしくなっているような美空の態度に、目を細められているように感じては、彼女の事を深く思うと、澱んだ暗闇に包まられてしまいそうな心の中が、微かに透き通るような光の罅が入っているように感じては、より彼女を求めては、自分に告白されては、普通に喜んでくれていて、照れている彼女はやはり普通に自分と付き合っていきたいのではないかと、願望を込めて祈ってしまう義威瀬。


  「これ、」忽然、まるで自分の目線を固定しに来るような淡いピンク色のハートに、囲まられていたような電話番号と住所に戸惑いつつ、ぼんやりと額を上げては、自分が彼女に目を向けていくのを楽しみにしていたようにと、淡い笑みを見せに来る母親の様にぱちくりして行きながら、呆然と小首を傾げていく義威瀬は彼女が丁寧なまでに両手で握っていた紙を見下ろしていく。


  「私が営んでいるウェディングドレスのお店なんだけど、」宛ら彼女が義威瀬に向けていた言葉で、自分の反応を楽しみにしているような母親の、義威瀬に名刺を受け取って貰っていた事に喜んでいるように微笑みつつ、自分に同じようなものを向けようとしている様に、唇が有無を言わさずにこじ開けられているような気がしてならないでいる美空。「もしお二人がいつか結婚する時は是非うちを贔屓して欲しい、」まるで自分に素直に彼女が自分たちに向けに来ていた話に従わせる魔力でも持っているような、母親が自分に向けて来た名刺を、ぼんやりと握らせていた姿勢に見開かされては、自分の琥珀色の瞳を固定しに来るような名刺の絵柄を見ていく美空。

  

  美空の酷く自分が彼女に送っていた名刺に憧れているような眼差しを向けている態度に、口角をくすぐられているように思いつつ、ぼんやりと名刺を握ったままで彼女の横顔を見ては、彼女がどんな反応をするのかをほのかに期待しているような義威瀬の様を見ていく母親は、ぽつりと艶やかなピンク色の唇を開けていた、「今日のお礼にただで記念写真を撮影致しますよ?」「えっ、」自分に酷く未来に向ける期待を強いて来るような母親が紡いだ言葉に、眉毛を跳ねらされているような気がしてならないでいる美空は、思わず間の抜けた声を上げては、急いでいるようにと自分に笑みを浮かべて来る彼女の顔を見つめていき、「ええ…!?」

  

  口角が興奮に斜め下の方向に向けられているように感じつつ、自分はどうしたらいいのかとが分からなくなっているような気がしている美空は、思わず無言で自分に微笑んでくる義威瀬の青色の瞳に一瞥しては、彼の事を見てしまうと、つい心臓が潰されてしまうくらいに焼かれているような気がしては、猛然と彼から顔を逸らしては、母親と義威瀬の真似をしているようにと淡い笑みを浮かべては、自分に母親の誘いに頷いて欲しがっているような娘希匹のことを見てしまい、「い、いあ…!」


  脳内がパニックに嬲られては、どうしたらいいのかが分からなくなっている美空は、思わず二人から目線を義威瀬に向けては、内心にある頷いていきたいけれども、頷いてしまうと、自分は大切な彼を不幸にしてしまうような気がしては、自分にはそんな身勝手な真似をしてはならないんだと強く考えてしまう美空は、宛ら自分の胸元の奥にある本当の思いを遮断して行くようと強く歯を噛んでは、何度も鼻翼に力を込めていきながら、揺るぎない眼差しを母親に向けていき、「私とこいつはそんなー」


  美空のまるで母親が自分たちに向けに来る親切な誘いを拒んでいこうとしているような態度に、目を細められているように感じては、迷わずに彼女の紅潮していた横顔から目線を母親の方向に向けていく義威瀬は、当たり前のようにと声を発していた、「はい、その時になると是非お願いします。」有無を言わさずに自分が彼女に向けて行こうとする、拒むような話を遮って来ては、勝手にも思えるくらいに彼女と自分には幸せそうにも感じてしまうような未来を約束していたことに見開かされては、唇が義威瀬に否応なしにこじ開けられているような気がしてならないでいる美空、「うっ!?」


  美空のまるで義威瀬が自分に向けに来ていたシンプルな一言に、撃沈されているようにと微かに苦しくにも聞こえてしまう唸り声に、心をくすぐられているように感じては、まんざらでもなさそうにと歯を噛んでは、何度も鼻翼に力を込めては、俯いていく彼女の姿勢に目を細められているように感じつつ、自分の顔を映し出してくれている青色の瞳に向けては、丁寧に頷いていく母親は言う、「うん。」


  無言で自分が商売をしていると勘違いしているように、強くピンク色の唇を噤んでは、頑なに声を発しようとしなかった娘希匹の様に口角を軽く上げられているような気がしつつ、まったりと右手を彼の頭に触れていく母親は、ぽつりと声を発していた、「ほら、ちゃんと挨拶なさい、」呆然と自分の顔を見上げて来る娘希匹に微笑んで行きつつ、まったりと右手の人差し指を立てていく母親は、補足するようにと言葉を紡いで行く、「急いで帰ってご飯にするぞ?」


  「うん、」輝いているようにも見えてしまう、沈んでいくような空にある紺色の布を背景にしては、輝いているような星々を背にしているような母親からまったりと、どうしたらいいのかが分からなくなっているように、俯いていく美空と彼女の事を見ては、微かに落ち込んでいるようにと地面を見下ろしている義威瀬のこと見て行きながら、母親が二人に向けていた行動を思うと、自分を助けようとしていたはずの二人に、自分も何かしらのお礼をしていかないとと、強く思っている娘希匹は丁寧なまでに美空のもとまで歩いては、手にある黒い紙を彼女に向けて差し出していた、「お姉ちゃん、これを上げる。」


  忽然、まるで自分の視野を封じて来るような街灯の隣りにあるベンチに座っては、寂しいオーラを漂わせに来ているような女の子の絵に、見開かされているような気がしてならないでいる美空は思わず間の抜けた声を発してしまい、「えっ?」娘希匹が美空に自分の絵を送ろうとしている態度に絶句されては、眉毛を軽く上げられているように感じつつ、呆然と彼の美空に絵を受け取って欲しがっているような表情を見ていく義威瀬は、ぱちくりして行きながら彼に弱っているような声を向けていき、「良いのかえ?」まったりと彼の両手から絵を受け取っていく美空の顔を目にすることなく、漠然と自分の声に目を引かれるがままに、自分を見て来る娘希匹に苦い笑みを見せてみたくなっている義威瀬は、もし美空に送るのなら、もう正式的な絵にしたかったと思い、彼に尋ねていく、「好きではなくなったの?」


  「ううん、」義威瀬が自分に気を遣ってくれているような態度で自分の顔を見て来る姿勢に微笑んで行こうと思いつつ、まるで自分が彼に向けに行く返事を、期待しているようにと、自分の顔を見下ろして来る母親の眼差しに、口角を軽く上げられているような気がしては、自分に母親に自分は上手く成長していく事を見せるチャンスが訪れたと強く思っていく娘希匹は、揺るぎない眼差しを義威瀬に向けて行きながら、軽く右手の人差し指を立てていた、「ちゃんと名前をお兄ちゃんに教えていなかったから貰えないや。」自分が紡いだ当たり前のようにも思えた返事に見開かされている義威瀬から、ゆっくりと目線を彼と同じように自分が紡いだ返答に見開かされている美空に向けていく娘希匹は、自分よりもずっと大切そうに絵を抱えている美空に微笑んで言う、「だから本人に返すよ。」


  宛ら息子がしていた行動を応援しているようにと自分の顔を見てくれては、丁寧に彼の小さな両肩に手を置いては、頷いてくる母親の仕草に、口角が斜め下の方向に向けられているように感じつつ、ぼんやりと曖昧になって行くような視野の中でグルを組んでは、自分の胸元の奥に殴り込んで来ているような名刺と、義威瀬の黒い紙を見下ろしていく美空、「ううう…」感動に声を否応なしに震わされているような気がしてならないでいる彼女は、悲しそうにと軽く鼻を啜っては、自分が義威瀬に向けられる思いに激しく感動されているくらいに、自分には彼の思いを確実に彼が思うような返事をしてやれないでいる現状に、悔やんでしまう美空は弱っているようにと軽く渇いて行く唇を噤んでは、鼻を啜って言う、「ありがとう…」

  

  「えへへ。」まるで自分に早く家に戻って、ご飯を食べていくのを催促しに来るようにと、強く両手で自分の背中を押して来る母親の行動に文句をぶつけて見たくなりつつ、もう少し美空の義威瀬に照れくさい思いを強いられている場面を見たいと、思っているのにと文句交じりの言葉を母親に向けて見たくなっている娘希匹は軽く右手を上げては、二人に向けて左右に振らしていく、「バイバイ美人のお姉ちゃん、お兄ちゃん!」娘希匹が大人しく自分の思いに従ってくれては、あわよくば今にも求婚して仕舞いそうな二人の邪魔をしないでくれている様に、心をくすぐられているように感じては、目を細めていきながら、美空の俯いていた横顔を見つめている義威瀬を見ていく母親は、ぽつりと声を発していた、「さようなら、待ってますね?」


  まるで彼女が自分たちに向けに来る今にでも彼女について行っては、美空のウェディングドレスを着こなしていく姿をこの目に焼き付きたいのにと、内心で強く思って行きながら、横顔で美空の母親の話に額を突かれていたようにビクッと跳ねらせては、悔やんでいるようにとピンク色の口角を斜め下の方向に向けて、自分に彼女が付けていた首輪を見せつけに来るような姿勢に、心を困らされているように思いつつ、軽く両手を握っては、自分は彼女の内心にある本当の思いを知れては、如何にか叶えてやりたいと願っている義威瀬は、自分たちの返事を待っているようにとぼんやりと首を傾げては、自分たちを見て来る母親に肯定な返事を向けていた、「うん。」

  

  宛ら自分が彼女に返していた言葉に喜んでくれているようにと自分に軽く頷いてくれては、応援してくれているようにと左手で娘希匹の背中を前に向けて押して行きつつ、軽く右手を握って、自分にガッツポーズを取ってくる母親の行動に、心を少しばかり可愛く思える彼女に弾まされているように感じては、丁寧なまでに両手で自分の紙と名刺を握っている美空の横顔を見て行きつつ、まったりと左手にある名刺をポケットに入れて行きながら、急いでいるようにと自分たちのもとから離れていく二人の背中姿を見つめつつ、ぽつりと声を発していく義威瀬、「どうかな、俺が描いたガキの頃のお前は。」


  ”ドクンー”突然、まるで自分はこっそりと彼が描いてくれていた絵と名刺を交互に見ては、心の中で彼と上手く結婚していけたらと言う思いを、破いて来るような義威瀬の声に口角が斜め下の方向に向けられているように思えては、心臓が否応なしに強く跳ねらされているような気がしてならないでいる美空は、強く胸元の奥から込み上げに来る彼のもとから逃げ出したいと言う思いを抑えて、何度も鼻翼に力を込めては、ぷいと首を彼の方向から逸らしていく、「ふ、ふんっ。」


  軽く腕を組んで、自分の両手にある二つの薄い紙に皺寄せたりしない事を心の中で気にかけて行きながら、横目で自分の返事に心をくすぐられているようにと、苦笑いを見せては軽く右手の人差し指で口角を掻いていく義威瀬のことを見ていく彼女は言う、「家に帰ったら破いたるわ。」「え…?」刹那、否応なしに自分の唇をこじ開けに来るような美空が紡いだ言葉に見開かされては、つい酷く叱られているような思いを抱えては、恐る恐ると肩を縮めて行きながら、弱っているような戦慄している指先を突いていく義威瀬、「そんなにも下手だった?」


  義威瀬の酷く弱っているような態度を自分に向けに来る姿に、眉毛が否応なしに跳ねらされているような気がしては、思わず大慌てで胸元を彼の方向に向けていく美空はつい弱っては、潤んで行く彼の青色の瞳に心を嬲られているような気分になりつつ、強くひんやりとした空気を吸い込んでは、もし彼を慰めてしまうと、つい自分たちの距離を縮めて仕舞いそうな気がしては、義威瀬に微かにも自分と上手く仲直りしては、それ以上の関係になって行けることを期待させてはならないんだと強く考えていく美空は、猛然と左手を上げては、震えているような大声を発していき、「ず、図々しいぞ…!」右手にある紙を大事そうにとポケットに入れて行きつつ、自分が上げていたまるで彼に喧嘩を吹っ掛けに行ったような態度に、驚かされている義威瀬の眼を睨むようにと見つめて行きながら、何度も歯を噛んでは、彼に期待させてはならないんだと、内心で何度も自分に言い聞かせていく美空は悩んでいるような声を上げにいく、「勝手に人様の絵を描くなんて!」


  あからさまなまでに話題を変えようとしている美空が自分に向けに来る姿勢に、心をくすぐられているように思えては、ぼんやりと目を細めて行きつつ、首を傾げては、流し目で彼女の顔を見ていく彼は言う、「だって、君を描きたいんだもの。」”ドクンー”「うっ…」刹那、否応なしに自分の心臓の鼓動と、左側の眉毛を跳ねらせに来ていたような義威瀬が紡ぐ一言に、頭の奥を酷く悩まされているように思いつつ、思わず強く歯を噛んでしまう美空は悔しそうにと俯いては、自分に太陽よりずっと眩しく思える笑みを向けに来る様に、心を無力化されているような気がしては、早く非常に危険にも感じてしまう彼のもとから離れて行かないと、つい魂を吸収しに来る程に、魅力的な彼に何もかも吐いてしまっては、自分は多々羅に飼われているのを知らせてしまいそうな気がしてならないでいる美空は、自分たちを苦しんでは、彼が永久に自分から離れては、二度と顔を見せなくなるかもしれない未来をどうにか控えていかないと強く思いつつ、鼻翼に力を入れては、猛然と振り返っていく、「か、帰る!」


  ”フー”宛ら自分の目を引いて来るような美空の強く背中を自分に向けに来ていたおかげで、一瞬の自由を貰えているようにと宙を舞う赤い尻尾を引いていくような黒い髪の毛に、目を細められているように感じつつ、ぼんやりと彼女の体から漂って来る煙草の臭いが混ざっているラベンダーの香りを嗅いでいく義威瀬は目を細めては、一刻も早く自分から離れようとしているような彼女の弱っている姿に、向けて声を発していた、「な、美空。」


  「うっ…」猛然と強く噴泉の方向に向けて踏み出していた自分の左足を止めに来ては、軽く自分に左足を引かせに来るような義威瀬が自分を呼んでくる、やけに本気に感じてしまう声色に心が一瞬縮めていたようにも思いつつ、悔しそうにと歯を食いしばっては、彼に逆らえないでいるような自分の体に、悲憤を覚えている美空はぽつりと声を上げていき、「んだよ。」


  美空のまだちゃんと自分に話しをさせていくチャンスを残してくれては、踏みとどまってくれている様に心をくすぐられているように思いつつ、軽く右手を上げては、彼女の背中に触れて見たいと願ってしまう義威瀬、「俺は、」微かに言い淀んでいる自分の声につられているように、情けないにも思えてしまうくらいに、街灯の光から逃げようとする彼女の背中姿を見つめながら、ゆっくりと上げていた右手を引いては、強く握っていく彼は言い放った、「俺の作品に最高のエンディングを残すつもりでいるから。」


  義威瀬が自分に向けに来る鼻腔の奥をくすぐりに来るような話に、内心が苛まれているような気分になり、口角が斜め下の方向に固定されているような気がしてならないでいる美空は、思わず強く繊細な両手を握っては、彼が自分に向けに来ていた他人なら訳の分からないようにも聞こえてしまうのであろう話に、秘められていた彼が自分に向けに来る思いに涙目にされているようにと、戦慄しているような心で感じてしまう美空は、軽く鼻を啜っていき、「そうかよ。」


  無愛想にも思えるくらいに酷くシンプルな一言を返しに来ては、自分に顔を向けようとしないでいるような美空の様に目を細められているように思えては、踏みとどまっている彼女は今どんな思いを抱えているのであろうと、勝手に想像していき、彼女を街灯の代わりに飾り付けては照らそうとしているような空にある月と星々を見ていく義威瀬は言う、「主人公は俺で、ヒロインはお前だ。」


  「うっ…」自分に恐れてしまいそうな一言を投げに来ていた義威瀬の簡単な声と、言葉の中に秘められてきた思いに泣かされてしまいそうにと感じてしまう美空は、苦しそうにと鼻を啜っていた、何度も首を横に振っていく彼女は、内心にある絶望に満たされているような声色で呟いていた、「無理よ…んな事は…」美空の内心にある思いを自分に伝えに来るような残念がっているような彼女の音色に、心を微かに弾まされているように思えては、何度も鼻翼に力を込めていく義威瀬は軽く左手を上げ、強く空気を握って行きながら、彼女の現実に打ちひしがれているような様を見つめて言う、「俺が全力でお前に向かっていくよ?」


  宛ら自分が彼女の背中に向けている元気に満ちているような声色に、驚かせているようにと微かに赤くなっていた横顔を自分の方向に向けに来る彼女の潤んでいた琥珀色の瞳を見つめては、口角を上げていく義威瀬、「漫画のようにね。」義威瀬の酷く健気にも思えては、溝のようにも思えるくらいの自分に酷く親切にしてくれているだけではなく、まるで自分を汚物の中から救い出そうと思っているような態度に、心臓を貫かされているように感じては、温かくなれていると同時に酷く疼いているようにと思えている美空は強く歯を噛んでは、何度も鼻翼に力を込めていきつつ、首を横に振っていた、「向かってこないでよ…」


  恐る恐ると震えているような左手を上げていきながら、軽く胸元に当てていく美空は軽く渇いた唇を噤んでは、自分は汚物に汚されては、とっくに汚物に同化されて仕舞ったんだと、震えているような心臓を思って行きつつ、自分の痙攣しているような体につられているように、震えているような空気を吸い込んでいく彼女は、ぽつりと自分の噤んでいた唇を開けていき、「どうして私なの…」自分の唇から零れていく自分は心の奥底から、自分には綺麗な彼とは釣り合わないであると思っては、骨の髄までにその考えを埋め込まれているのを、知らされているような気分になりつつ、辛そうにと強くひんやりとしては自分の、体を潰そうとしているような空気を吸い込んでしまう美空は、懇願しているようにと霞んでいた視野の中で彼の顔を探していく、「他にもいっぱい私なんかよりずっといい女はいるのにさ…」


  まるで大雨に濡らされていた琥珀色の宝石の如く瞳を、自分の方向に向けに来る美空の辛い思いに囲まられては、戦慄しているような口角に、目を細められているように感じつつ、軽く鼻翼に力を入れては、ごくりと固唾を飲み込んでしまう美空が自分に尋ねて来ている実話のようにも考えてしまうような質問に苦笑いしてみたくなりつつ、、ぼんやりと彼女につられているような、霞んでいく視野の中で自分の左手の存在を探していく義威瀬。


  軽く白い歯を噛んでは、自分にもどうして執拗に彼女に絡まっていくのかは良く分からないと思えるように感じては、彼女の完全に顔を自分に向けに来ることが出来ないでいるような姿勢を目にすると、つい微笑ましく感じては、可笑しそうにと笑っては、弱っている彼女の傍には常に自分がいて、そして彼女を守って行くのかが当たり前のようにも思えて来た義威瀬は、自分の彼女の弱っているような態度を目にすると、つい勝手に思えるくらいに彼女に近づいては、彼女の体を抱えながら、慰めて行きたいと思ってしまう自分に、答案を得られているように感じては、潤んでは赤い糸に嬲られているような美空の瞳を見つめていく彼は、軽く掴んでいた左手を激しく鼓動を刻んでいる胸元に当てていた、「お前が美空だから、」刹那、まるで自分が彼女に向けにいた一言に、驚かされているような美空の強く跳ね上がっていたような眉毛と、彼女の酷く長く思える睫毛に飾られていた瞳に笑っていく義威瀬は、当たり前のようにと右手の人差し指を立てていく、「他の理由なんてないよ。」

  

  ”ドクンー”「うっ…」有無を言わさずに自分の心臓の鼓動を、操りに来ているような義威瀬が投げに来ていた一言に、口角が斜め下の方向に固定されているように感じつつ、思わず強く歯を噛んでしまう美空は、何度も彼から感じて来る感動と、自分の奥に秘められて来ていた自分への悲憤に赤く染め上げられていたような鼻を啜っては、悔しい思いを噛みしめていくようにと噛んでいた歯に力を込めては、丁寧なまでに街灯のもとで佇んでは、自分が彼に頷いて、自分も本当はずっと彼のことを好いていて、どんな窮地に追われようとも、一度も彼の事を忘れる事なんてなかったんだと言う思いを伝えにいくと。


  彼はきっと頗る喜んでくれては、既に自分に向けて上げていた口角を更に上げてくれては、燦爛な笑みを見せてくれるのに違いないんだと強く感じてしまう美空は、苦しそうにと胸元を鷲掴みにしては、胸元にある服に皺寄せていた右手に苛立ちを覚えては、多々羅の存在と、自分の汚れ切った精液に汚されていた体の隅々の事を思うと、つい善良で優しい彼に向けて頷くことはできないんだと、内心で図々しいを通り越しては、悪魔にも思えるくらいに彼を汚れていた自分と共に、汚物にして行くように頷こうとしていた自分の思いを拒んでいくようにと、何度も首を横に振っていく彼女は、ぽつりと自分でも薄情に思える声を発していた、「帰る。」



  



  


  

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