第388話お兄ちゃんに話しかけていた時のお姉ちゃんは普通だった。

  またしても義威瀬に悪態をついていた美空のやや怒っているような態度と、まるで彼女の全てを受け入れているように彼女の顔を見つめたままで、淡い笑みを浮かべている義威瀬の姿勢を見上げては、つい彼は酷く優しい人間であり、それと比べると美空は彼の優しいを利用しては、彼に意地悪しているような女性のように感じている男の子は、チラッと目線を自分の手にある絵に向けては、彼女にもう少しこんなにも美しく思える作品を描いていた彼に優しくして上げて欲しいと願っていは、拗ねているようにと軽く唇を尖らせていく、「お姉ちゃん口汚いよ…美人なのに…」


  「えっ?美人って…」忽然、まるで自分と同じように男の子が自分に投げてくれていたコメントに驚かされているようにと、眉毛を跳ねらせていた義威瀬の顔に一瞥しては、つい彼の前に誰かに褒められるのは非常に嬉しく感じては、彼にちゃんと自分のいいところを意識して貰えるチャンスを与えられているのではないかと期待している美空は、自分の意思とは関係なしに上げている右側の口角に、軽く右手の人差し指を当てて行きつつ、義威瀬が自分の少し調子に乗っているような姿を映し出してくれている青色の瞳から、男の子に目を向けていく美空は言う、「お上手ね~君。」


  美空が自分が思っていた通りのように男の子が彼女に向けていた話を、褒め言葉として受け取っているような姿勢に飽きれては、思わず目を半開きさせてみたくなっている義威瀬は、美空の彼にディスられていたはずなのに、酷く喜んでは、頗るなまでに機嫌がよくなれている姿勢に戸惑い、彼女の感性が良く分からなくなっているような男の子の漠然と自分の絵を抱えては、美空の顔を見上げていく様に苦笑いして見たくなりつつ、チラッと横目で美空の顔を見ていく義威瀬は、ぽつりと弱っているような声を発していき、「口汚いって聞こえなかった…?」


  「むぅ…」滅多に褒められるのない自分を褒めてくれていた男の子が紡いだ、酷く余計のように感じていた言葉の前半の部分を強調しに来る義威瀬に苛立ちを覚えては、思わず頬を膨らませてみたくなっている美空は悔しそうにと強く白い歯を噛んでは、何度も鼻翼に力を込めていた、「うっさいわよあんた、」まったりと腕を組んでは、またしても義威瀬に悪態を付けていた自分に弱らされては、急いでいるようにと彼の後ろに向けて体をずらしては、存在を隠して行こうとしているような男の子に一瞥し、どうやら自分には上手く彼の力になってやることは出来なさそうな気がしつつ、腕を組んでいく美空は軽く首を義威瀬の方向に向けて伸ばしては、催促して行くようにと彼に言葉を向けていき、「さっさとこの子をどうにかしてやったらどうよ?」


  「ううう…」酷く野蛮のようにも思えてしまう美空が自分たちの方向に向けに来る態度に、口角が斜め下の方向に向けられているように感じつつ、恐る恐ると弱りり切っているような肩を縮めていく男の子は、何度も鼻翼に力を込めては、ぼんやりと彼女のせいで潤んでいた瞳を自分の手にある絵に向けにいく、「ぼく…大きくなったら、」ごくりと固唾を飲み込んでは、まるで自分が呟いていた声に興味を引かれているようにようにと自分の顔を見つけに来る二人の顔に一瞥しては、自分のことを鼓舞して行くようにと軽く足指に力を込めていく男の子は、ぽつりと弱っているような声を発していた、「お兄ちゃんが描いていたこの女の子のような人と付き合いたいんだ…」


  突然、男の子が紡いだ一言に驚かされは、思わずビクッと左側の眉毛を跳ねらせてしまう義威瀬は自分と同じように軽く繊細な眉毛を跳ねらせては、男の子が手にしている自分の作品に頗る興味を引かれているような美空の軽く白皙の首を伸ばし、絵を覗こうとしている様に笑ってみたくなっている。宛ら自分の両手から絵を奪おうとしているような美空の自分に顔を少しずつ近づかせに来ては、体に微かな煙草の臭いを纏っている彼女が酷く怖く感じてしまう男の子は、強く手にある絵を胸元に当てては、彼女の存在を拒んでいくようにと何度も首を横に振ってく、「お姉ちゃんはいや…」


  男の子が無邪気なまでにまったくもって、自分に気を遣ってくれないでいるような一言をぶつけに来ていた事に、胸元の奥を貫かされているような気がしては、否応なしに前のめりにされているような気がしている美空、「うっ…!」「あはは…」美空の酷く弱っているような態度と、男の子の本気で彼女とこれ以上話をしたくないでいるような姿勢に、困らされているような気がしては、目を細めて男の子が手にしていた絵に目を向けてしまう義威瀬、「それは…」おんぼろの格好をしていた弱っていた女の子の絵に苦笑いして見たくなりつつ、男の子の珍宝のように大事そうにと絵を抱えては、誰にも見せたくないでいるような姿に目を半開きさせに行きながら、彼にその女の子は、君の前にいる女性なんだぞと紹介してしまうと、幼い彼の価値観は歪まされてしまうんじゃないかと思ってしまう義威瀬は、躊躇しているようにと軽く右手の人差し指でこめかみを掻いていく、「まぁ…」


  義威瀬の苦笑いしているような態度に苛立ちを覚えては、彼とはかなりの距離を置いといた方がいいと、心の中で何万回も思って来ていた自分が、彼が自分以外の女のことを綺麗に描いていたのを知ると、ついとめどなく胸元の奥から込み上げに来ては、目を濡らしに来るような悲しい思いが混ざっている嫉妬に、脳内を翻弄されてしまいそうな気がしてならないでいる美空は、不服そうにと腕を組んでは、何度も鼻翼に力を込めて行きながら、義威瀬の顔を睨むようにと見つめ、ぽつりと渇いた唇を開けていき、「なんだよ…」


  唇を尖らせて行きつつ沈んでいるような声を上げて行きながら、悩んでいるようにと眉間に皺寄せていく美空はつい男の子のまるで自分に困らされていた傷を、彼の手にしていた絵で補っていこうとしているようにと、軽く絵を彼の胸元から放れては、絵に魂を吸い取られているように、彼に近づこうとしている自分の存在を気にしていないでいる姿を、気に掛けていく余裕を内心にある焦燥感に奪われているような気がしてならないでいる美空は、何度も鼻翼に力を込めていく、「私以外の女の子を描くのは良いとして、」


  軽く上半身を男の子の背中の方向に近づかせていきながら、自分の琥珀色の瞳を引いて来るような男の子が抱えていた黒い紙を見ていく美空、「私より可愛い女の子を描くなんてー」”ドクンー”「あっ…」突然、自分の心臓を軽く殴ってくれているような酷く落ち込んでは、傷心に耽っているようにと地面を見下ろしたままで、弱っていた小さな両手を握っていた女の子絵に見開かされているような気分になりつつ、勝手に彼を罵ろうとしていた自分に淡い笑みを保ったままで、自分に彼が自分に向けて来た思いを自分で見つけ出すのを期待していたような、義威瀬が自分に向けて来る笑顔を霞んでいく視野の中で確認してしまうと、自ずと斜め下の方向に向けていく口角に、内心を激しく揺さぶられているような気持ちになりつつ、思わず悔しそうにと強く白い歯を噛んでしまう美空は、つい自分の顔を見つめてくる彼から猛然と弱り切っているような表情を逸らしていき。

  

  「ううっ…!?」刹那、まるで義威瀬には敵わないと言わんばかりに自分に目線を向けに来ては、自分のことを強く苦しんでいるような顔で睨んで来る美空に、眉毛を跳ねらされているような気がしてならないでいる男の子は、恐る恐ると両手にある絵を胸元に当てて行きながら、大事な絵に皺を残したくはないと強く思っている彼は丁寧に小さな両手を絵に当てたままで、美空の顔を見上げて言う、「こ、これぼくのだよ…?」


  まるで自分のことを強盗だと本気で勘違いしているような男の子の態度に、眉毛が否応なしに跳ねらされているような気分になっている美空、「う、うん…」ぼんやりと頷いては、やや困っているようにと右手で硬直している右側の口角を掻いていく彼女は、男の子の自分を恐れているせいで泣き出してしまいそうな態度に、苦笑いして見たくなりつつ、ゆっくりと彼のもとから体を引いていく彼女は、声を発していた、「奪ったりはしないよ。」


  男の子に彼女が紡いだ一言に信用されているように、彼女に顔を向けたままで軽く首を縦に振っていたことに関して安心しては、右手で胸元を撫で下ろしているような美空の向きになっているようにと、目を半開きさせに来ては、どうして黒い紙の上には幼い彼女の絵があるのかと自分に聞いてくるような態度に、笑ってみたくなっている義威瀬はまったりと目線を彼女の後ろにある噴泉から周りにある茂みに向けていき、「偶に来るって言うか…」目を細めては、自分がベンチに置いていた鞄に目を向けていく義威瀬は、軽く右手の人差し指で口角を掻いては、チラッと目線を男の子と同じように授業を聞いているようにと、自分の顔を見つめて来る美空の事を見て言う、「毎日のように通ってたりするんだ。」


  宛ら自分が彼女に向けていた解釈を聞いていたせいで、余計困惑気味になっているようにと繊細な眉間に皺寄せている美空の態度に微笑んでは、丁寧なまでに軽く左手を上げては、胸元に当てていく義威瀬は沈んでいく空のもとで佇んでいる彼女の顔を見つめていた、「お前が好きだった場所は、」忽然、まるで自分が彼女に向けようとする答案を警戒し始めているようにと強く歯を噛んでは、自分のもとから一歩を引いていく美空の街灯に近づいて行こうとしている様に、淡い笑みを見せていく義威瀬、「ここしか知らないからな。」


  「うっ…!」義威瀬は自分の胸元の奥にある体の芯を撫でようとするのを察したとしても、心構えをしたところで、彼にいとも簡単に、彼に悪態を向け続けると決め込んでいた自分の思いを貫いて来ては、自分に感動を植え付けに来るような言葉に、口角が斜め下の方向に固定されているように感じつつ、漠然と義威瀬のもとで佇んでは自分たちの会話を聞きながらきょとんとしている顔を浮かべている男の子の態度に一瞥し、無邪気な子供から軽く義威瀬から貰えている感動に、耐えて行けるような勇気を貰えているようにと感じている美空は何度も鼻翼に力を込めては、義威瀬の酷く潤んでは、見てしまうだけでつい彼を強く抱きしめてみたくなっているような眼から、顔を逸らしていく彼女は不貞腐れるようにと、出来る限り飽きれているよな声を上げて行こうとする、「へー」


  美空のまるで自分が紡いだ真剣な落書きのような絵についての創作の思いは、どうだっていいと自分に語ってくるようにと微かに弱っているような声を零していることに、苦い笑みを浮かべてみたくなりつつ、彼女と少しの間会えなかったけれども、自分は彼女のことを決して遠ざけられているよな気がしないでいる義威瀬は、何度も自分に彼女は実は滅茶苦茶自分の存在を重要視しているんだと言うのを、教えにくれているような彼女のさり気ない行動に、自分はまだ彼女と一緒にいられては、あわよくば昔の関係に戻っていけるようなチャンスは、残されているんだと強く願っていく義威瀬は何度も鼻翼に力を込めては、憂いに脅かされているような目線を自分が座っていた黒い紙に描かれていたベンチに向けていく、「ベンチに座って、」細めていく瞼に狭まれている視野の中で、今にも自分の脳内に浮かべて来る弱っては教室の隅っこに座っていたような美空のことに、心をやや困らされているようにと感じりつつ、軽く鼻翼に力を込めていく義威瀬、「子供の頃のお前は、きっとこうなんだろうなって、」軽く口角を上げては、ぼんやりとしている表情を自分に向けては、軽くピンク色の唇を開けに来る美空の顔を見ていく義威瀬は微笑んでいた、「思いながら描いてた絵だ。」

  

  突拍子もなく自分に目を向けに来ては、またしても不意を突いて来るような義威瀬が自分に見せて来る真摯な眼差しに、口角が斜め下の方向に向けられているような気がしては、思わず強く歯を噛んでしまう美空は、彼の眼から逃げていくようにと目を逸らしていき、「あっそ…」「え…?」漠然と美空と義威瀬の顔を交互に見ては、二人の話をぼんやりと聞いていたせいで、つい自分の手にある絵に描かれていた本人はすぐ自分のもとにいる事を知れては、唇が否応なしにこじ開けられているよな気がしてならないでいる男の子、「この子…」恐る恐ると自分の両手にある絵を美空の方向に向けて行きつつ、どう見てもひ弱そうに感じては、誰かに守って貰いたがっているような女の子が、美空だという事を意識してしまうと、つい毛先の赤い彼女が自分に向けに来ている潤んでは、少しばかり充血していたような琥珀色の瞳の中には、確かに寂しい思いが宿っていて、誰かに助けを求めているような気分を感じてしまう男の子は、ぽつりと渇いた唇を開けていた、「お姉ちゃんだったの…?」


  刹那、ようやく美空にちゃんと自分が常に彼女のことを思い、絵を描いて来た事を伝えていくチャンスが訪れていたことに微かに興奮気味になり、急いでいるようにと彼女に作品に対する思いを伝えていた自分の話が、存在を忘れていた男の子にも聞かされていたことに、口角が斜め下の方向に向けられているように感じつつ、呆然と唇を開けていた義威瀬、「あっ…」


  まるで義威瀬が彼に知らせにいた言葉を、上手く信じられないでいるようにと、何度も自分の顔と彼が手にしていた絵を交互に見比べている男の子の仕草に、心をくすぐられているように感じつつ、思わず苦い笑みを零していく美空は申し訳なさそうにと軽く右手を上げては、自分の後頭部を擦って言う、「ごめんよ、夢を壊しちまったんだよな。」自分が彼に向けて紡いでいく、彼の質問を肯定しているような一言に絶句されているような男の子の、包み隠さずに驚かせている態度に目を細められているように思えては、自分はそれ程に変わっていたのかと、心の中でぼんやりと思っていく美空は軽く左手の人差し指で男の子が手にしていた絵を指差していき、「そいつが大きくなると、」自分が彼に向けて紡いでいく言葉に、頬を引かれているようにと自分の顔を見上げに来る男の子に微笑んでいく彼女は、弱っているようにと軽く繊細な左手の人差し指で自分の顔を指差していく、「このざまになるんだからよ。」


  美空の男の子に嫌われていると考えているような姿勢に、心をつられているように弱らされているような気がしてならないでいる義威瀬は、悔しそうにと軽く歯を噛んでは、どうして誰もが彼女は本当は酷く善良な女の子であり、生まれて来る家庭さえまともなものであったのなら、彼女は間違いなくおしとやかな女の子に育てられていたのにと、叶うはずもないでいる例え話を使って美空にフォローしてしまうぐらいに、自分は彼女に酷く好意を抱いていることに無理矢理知らされているような気がしては、漠然と自分が描いていた絵を持っている男の子のやや悩んでいるようにと、眉間に皺寄せている様を見ていく義威瀬。


  美空の自分が彼女に向けてしまいそうな返事を、恐れているようにと軽く歯を噛んでは、子供の前にいるのに、酷く緊張しているようにも見え始めている彼女は、実は非常に引っ込み思案な女の子なのではなかと、思い始めている男の子は再び目線を手にある紙に向けては、もし手にある絵は彼女だと言うのなら、彼女はきっと辛い毎日を過ごしてきていたのに違いないのであろうと思い、絵にそう感じされている男の子は、絵にある辛い思いに感染されているようにと軽く鼻を啜っては、自分も両親に守れなくなっているような状態に置かれている事を思うと、つい落ち込んでは、涙を零してみたくなっている彼は琥珀色の瞳に言う、「お姉ちゃんは…悲しい?」


  突然、右手の人差し指に壊れていたような夜空にある星々をモチーフにしていた、三本の流れ星を引かれていたような、銀色の粉に飾られ、やや飾り物も赤いペンキに汚されていたような指輪を付けていた男の子が、自分に投げに来内心にある思いを看破しているような一言に、眉毛を否応なしに跳ねらされているような気がしてならないでいる美空は、思わず間の抜けたような声を発していた、「えっ?」男の子が自分が描いていた絵に込められていた感情を、ちゃんと分かってくれていたように下していた評価に、否応なしに唇をこじ開けられているような気がしては、自分の絵が上手いのか、それとも男の子の感性が優れているのかが分からなくなっている義威瀬は、漠然とぱちくりして行きつつ男の子の辛そうにと眉間に皺寄せている顔を見ていく。


  「この子…」軽く歯を噛んでは、自分が美空に向けていた言葉は、実は滅茶苦茶弱っている彼女を更に落ち込ませているようなことになっているんだと言うのを思うと、つい自分は酷く悪い事をしてしまったように感じては、辛そうにと軽く歯を噛んでしまう男の子は、ぽつりと声を発していた、「滅茶苦茶落ち込んでるみたいだから…」「うう…」男の子が義威瀬が描いていた子供の頃の自分の絵を見ているはずなのに、今の自分の心境を代弁してくれていたような一言に、口角が斜め下の方向に固定されているような気がしてならないでいる美空は、何度も鼻翼に力を込めて行きつつ、自分に子供の頃から十中八九の時間は酷く辛い思いの中で過ごして来たのを、自分に知らせに来た義威瀬のことを恨んでは、思わず何度も鼻翼に力を込めては、彼に恨んでいるような眼差しを向けにいく美空は、自分の顔を見つめてくれている男の子の存在を気にすることなく、自分の全てを受けると言いに来るようにと淡い笑みを浮かべている義威瀬の顔を睨むようにと凝視して行きつつ、声を発していく、「別に…大人になると、」軽く握っていた右手を上げていきつつ、自分の胸元に当てていく美空は残念そうにと呟いていた、「悲しいことの百個ぐらいは当たり前のように存在してたりするんだよ。」


  美空が紡いだ一言に苦笑いして見たくなりつつ、まったりと弱っているような彼女のもとに向けて踏み出して行きながら、軽く落ち込んでいるような彼女に触れては、彼女の存在を慰めていきたいと思ってしまう義威瀬は、ぼんやりと腕を組んでいき、「百個ね…」宛ら自分のことを冷やかしに来るようにと、腕を組んだままで自分に近づかせに来る義威瀬の姿に苛立ちを覚えては、思わず強く歯を噛んでいく美空は不満そうにと何度も鼻翼に力を込めては、自分の言い分を聞いてくれると言わんばかりに自分に微笑みながら、横目で自分の顔を見て来る義威瀬の、微かに紅潮していた右頬に猛然と両手を添えていく、「子供の前に無限にあるとか言えねぇだろうがよ。」


  軽く自分の右耳を包んで来ては、寒風に少しばかり温度を奪われていたような自分を温めてくれているようにと、白皙の両手を自分の顔に当ててくれては、温かい吐息を自分の右耳に当てて来る美空の、男の子に酷く気を遣っているような態度に微笑んでみたくなりつつ、ぼんやりと目を細めていく義威瀬は呆然と佇んだままで、自分たちの顔を見上げて来る男の子に微笑んでいく。


  ”ティー”刹那、まるで自分の内心にある迸る思いを代弁してくれているような、自分の後ろにある街灯が強く光っては、小気味いいを立てていたことに見開かされつつ、ぼんやりと自分たちの街灯の光に、無理矢理伸ばされていたような影を見下ろしては、丁寧なまでに両手を自分に頬に当てていた美空の影を目にすると、つい彼女は自分の顔にキスしているように見えては、淡い笑みを浮かべてしまう義威瀬は少しばかり彼女のことをからかって見ようと思い、横目で彼女の顔を見て言う、「言ってるようなもんだろう…」


  宛ら自分に見せつけに来るようにと、義威瀬の右頬を隠していたような美空の仕草に見開かされては、ぼんやりとまるで恋に落ちている乙女のように、彼の横顔を見つているだけで、酷く幸せなんだと言っているように淡い笑みを浮かべている美空の横顔に、見開かされているような気がしてならないでいる男の子、「あ…」突然、まるで何かしらのことを思いついていたようにと、微かに間の抜けたような声を上げていた男の子に目を引かれているように感じつつ、漠然と自分の右側で自分に温かい彼女の匂いと、体温を連れてくれている美空の存在を感じていく義威瀬は、呆然と小首を傾げていきつつ男の子に尋ねていた、「どうかしたのかな?ぼく。」


  「ううん、」義威瀬が軽く首を傾げていたせいで否応なしに彼女の唇から離れていたことに関して、不安と不満を微かに抱えているようにと軽くピンク色の唇を舐めては、艶やかな唇を尖らせている美空の横顔を見てしまうと、つい彼女が微笑ましく感じている男の子は、ぼんやりとした目線を自分の手にある絵に向けていき、「なんか…」義威瀬が自分に向けに来た絵にある女の子についていた説明を思うと、やはり作者本人は自分を誑かしてはいなかったんだと強く思えている男の子は、軽くピンク色の口角を上げては、嬉しそうにと二人の顔を見上げていく、「お兄ちゃんに話しかけていた時のお姉ちゃんは普通だった。」


  「うっ…!」宛ら男の子が彼女に向けていた平坦なコメントに、激しく刺激されているようにビクッと肩を跳ねらせていた美空が零して来る、弱り切っていたような声色に戸惑いながら、ぼんやりと彼女に目線を向けて行きつつ、宛ら自分たちにある静寂な雰囲気を破ろうとしているような、遠くから伝わってくる叫び声に目を引かれているように感じながら、漠然と美空の方向に目を向けていく義威瀬、「うん?」


  「娘希 匹(にゃんき ぴき)!」刹那、雷撃の如く自分の体を貫いて来るような母親の必死に叫んでいたせいで、少しばかり嗄れていたような声に見開かされているように思えては、肩が否応なしに跳ねらされているような気がしてならないでいる娘希匹。「どこ!?」酷く嗄れては、心配と焦燥感に駆り立てられているような母親の声色に、口角が有無を言わさずに上げられているような気がしている娘希匹は、嬉しそうにと感動に霞まされていく視界の中で、母親が自分を呼んできた方向に目を向けていき、「あ…」


  急いでいるようにと繊細な首を左右に振らしていきつつ、まるで噴泉に隠されていたような母親の姿に心を弾まされているように感じては、猛然と左手を上げ、彼女の方向に向けに行く娘希匹は強く喉から声を絞り出していた、「ママーここ!こっちだよ!」酷く興奮気味になれている男の子の軽く飛び跳ねながら、母親の方向に向けて小さな左腕を左右に振らしていく様に、口角をくすぐられているように感じては、まったりと腕を組んで、自分の右側で彼が上手く母親を見つけ出せていた事で安心しているようにと、軽く右手で胸元を撫で下ろしていく美空の様を見ていく義威瀬。


  宛ら自分に彼の存在を教えに来るような透明な水柱に隠されてしまいそうな息子が、自分に向けに来る上手く自分と目を合わせてくれては、はしゃいでくれている姿勢に心の奥にある不安が、一気に解されているような気がしてならないでいる母親、「あなた…!」自分に上手く空気を吸わせてくれないでいるような、胸元の奥に募っていく疲れに、腰を否応なしに折らされているように感じつつ、漠然と自分の右足の脛に生えていた小さな黒い毛がつけていたような黒子がタイツを擦っていくような感覚を感じて行きつつ、何度も鼻翼に力を込めては、急いでいるように左手を上げては、軽く自分の額を濡らしに来るような汗の粒を拭いていく母親は、軽く歯を噛んでは、慌てて自分のもとまで歩いてくる娘希匹の態度に見下ろして行きながら、つい彼に文句交じりの言葉をぶつけて見たくなりつつ、弱っては申し訳なさそうな目線を自分の左側で佇んでくれては、自分たちに構わなくだっていいと語って来るようにと軽く白皙の左手を上げては、左右に振らしていく義威瀬の態度と、自分たちに淡い笑みを見せてくれている派手な格好をしていた美空の姿勢に感謝を覚えつつ、もし二人がいなかったら、自分のお馬鹿な息子は勝手に何処かで走っていたりはしないのかと、想像するだけで怖く感じてしまう未来に、口角が斜め下の方向に固定されているように感じつつ、やや怒っているようにと血走っている眼を娘希匹に向けていく母親は、ぽつりと文句交じりの言葉を紡いでいた、「どこに行っちゃってたのよもう…!」


  母親が自分に向けに来る酷く向きになっているような体勢に、口角が斜め下の方向に向けられているように感じては、萎れているようにとかる唇をすぼめては、弱っているようにと軽く鼻翼に力を込めていく娘希匹はぽつりと呟いていき、「だってここはなんか面白いんだもん…」娘希匹が自分に向けに来る飽きれて欲しがっているような言葉に、目を半開きさせて見たくなりつつ、無言で息子を叱っている自分を待ってくれているようにと微笑んでは、自分たちのもとから放れて行こうとするようにと、お互いの顔を見つめ合っては軽く頷いて来る美空と義威瀬の姿勢に、心を困らされているように感じては、自分には何かしらのお礼をしていけるようなものを持っていないのかと、必死に考えていく母親は軽く二人の方向に胸元を向けては頭を下げていた、「ごめんなさいね…」




  


  

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