第359話僕は…美空ちゃんを上手く守れるような…格好いい騎士になるんだ。

  「ううう…」まるで自分の耳を温かい吐息で舐めに来ているような美空が紡いだ一言に、体の奥を撫でられているように感じては、体中の力を抜けられているような気がしてならないでいる義威瀬は、ごくりと固唾を飲み込んでは、軽く眉毛を顰めて行きながら、彼女の自分の顔を感染しようとしているようなくらいに、真っ赤になっていた頬を見つめていく彼は言う、「そんなにお金が大事…?」


  宛ら自分に見せつけに来るようにと義威瀬の耳を隠しては、内緒話をしている仲良くしている二人に目を半開きさせて行きつつ、何度も鼻翼に力を込めては、まるで他人の存在を忘れていたようにとリュックから頭を抜け出しては、天井を見上げていきつつ興奮を抑えているようにと、強く息を吐き出して行きながら、両手でリュックを抱えている須賀の様に一瞥しては、横目で和気藹々と会話して行くクラスメートたちの様を見ては、つい狂っているような外見をしている奴が教室の中にいるのに、皆すっかりと自分の世界にダイブしていたような須賀の存在を忘れていたような様に、苦笑いして見たくなっている乾里娘は右手で頬杖を突けたままで、まったりと首を横に振っていきつつぽつりとため息を漏らしていく。

  

  「うん!」強く両手を握っては、元気に満ちているような声を発していた自分に、見開かされている義威瀬の顔を見つめて行きながら、軽く左手の人差し指を立てていく美空は言う、「お金をいっぱい持っていくと、」目を細めては、傷心に耽っているような眼差しを自分の両足を包んでくれていた白いニーソックスに向けてしまう美空は、悔しそうにと軽く歯を噛んでは、あわよくば義威瀬の前でいつまでたっても一番綺麗な姿でいたいと切に願ってしまう美空は、軽く貧乏と暴力に満ちているような家庭から与えに来たプレッシャーに、強張らされているような口角を上げていきつつ、残念そうにと軽く右手の人差し指で口角を掻いていく彼女はぽつりと呟いていく、「父さんが殴らないでくれるから…」


  美空の悩んでいる様に、心を少しばかり曇らされているような気分になりつつ、彼女には常に元気に生きて欲しいと願うと同時に、幸せな笑顔を永遠に保って貰いたいと思ってしまう義威瀬、軽く鼻翼に力を込めては、強くひんやりとした空気を吸い込んでいく彼は軽く小さな両手を握って行きながら、美空も好き好んで須賀と付き合っているのではないことを思うと、自分は彼女により良い暮らしを求める姿勢を見届けてやるべきなんだと、心の中で強く思っていく義威瀬は両手を握っては、自分を説得しては、無理矢理自分に納得させていくようにと首を縦に振っていき、「分かった…」ごくりと固唾を飲み込んでは、硬直しているような項垂れて仕舞いそうな口角を上げていきつつ、霞んでいたような視野の中で彼女の顔を見つめていく彼は、ぽつりと声を発していた、「行っておいで?」

  

  「うん、」義威瀬が酷く無理をしては、自分に須賀に近づかせる事に納得している様に、心の奥を弾まされているように思えては、自分が彼の心の中だとどれぐらい重要な存在であるのかを垣間見えているような気分になれている美空は淡い笑みを浮かべていき、「分かってくれてありがとう。」再び両手を自分の唇と彼の頬を隠していく美空は幸せそうな声を発していく、「大好きよ?」


  ”ちゅっ。”軽く自分の頬に愛おしく思える感覚を残しては、ゆっくりと自分の頬から両手を引いては、自分に笑ってくれている美空がまったりと背中を自分に向けに来る姿勢が、酷く可愛く見えてしまう義威瀬は思わず幸せそうにと口角を上げていき、「えへへ…」「おいおい…」美空に耳打ちされていた義威瀬が、少しばかり間の抜けたような感覚も感じさせに来るようにと、笑い声を上げている姿勢に眉毛を顰められているように思えては、つい彼は一体何をされてしまったのだろうかと、酷く美空が彼に投げていた内緒話が気になり始めていると同時に、ごくりと固唾を飲み込んでは、小さな両手で椅子を臀部にくっつかせていくようにと持ち上げては、丁寧に両足で床を踏んで行きながら、須賀の隣りに近づいていく美空の背中に一瞥しては、急いでいるようにと右手で軽く義威瀬の力が完全に美空に抜かされていたような右肩に置いていく乾里娘、「マジかよお前…」


  宛ら自分がぽつりと呟いていた一言を上手く理解できずにいるようにと、ぱちくりながらぼんやりと小首を傾げてしまう義威瀬の戸惑っているような表情に困らされては、思わず苦い笑みを浮かべて見たくなっている乾里娘、「いいの?」チラッと美空が近づいていたせいで酷く緊張しては、おどおどと両手を太股の上に置いては、体を彼の左側にある壁に向けてずらしていく須賀の態度に一瞥していく乾里娘、何度も鼻翼に力を入れては、須賀の普通に動いているだけなのに、酷く醜く見えてしまうような姿勢に吐き気を覚えながら、ゆっくりと義威瀬の右肩に置いていた右手に力を込めていた乾里娘は、揺るぎない眼差しを彼の眼に向けていきつつ、声を発していた、「美空の事が好きなんだろ?」


  乾里娘が自分に向けに来ていた一言を耳にすると、迷わずに頷いては、軽く鼻翼に力を込めてしまう義威瀬、漠然と自分の右肩から引いていく乾里娘の、自分の頷きに更に困らされているようにと眉間に皺寄せていく様を青色の瞳で映し出しては、まったりと胸元を彼の方向に向けていきつつ、左手を胸元に当てていく義威瀬はチラッと和気藹々と須賀の隣りに座っては、机にある角で距離を微かに置いていたような美空の様に一瞥して言う、「彼女にはいろいろ考えがあるはずだよ。」


  ぱちくりながら義威瀬が美空に向けていく目線を追うようにと、彼女の背中姿に一瞥しては、まるで須賀に授業をしているようにと彼に教科書の内容を知らせていく美空の怪物を隣りにしては、ちゃんと人類の言葉を理解できるかどうかも分からないと言うのに、お金の為には酷く頑張っている彼女がやや健気にも思い始めている乾里娘は、好いている女の子が捕らわれているような場面を目の当たりにしているのに、なのにまだ美空の為に言葉を紡いでいる義威瀬の瞳に一瞥しては、ぽつりと弱っているようにと小さな声を発していく、「そうだろうけどさ…」


  「彼女がこうすると言うのなら、」軽く左手で胸元を握っていきつつ、自分はどんなことが起きようが、美空が自分を好いていることを疑わないでいくと、内心で決めていたんだと強く思っていく彼は軽く眉毛に力を込めては、揺るぎない眼差しを乾里娘に向けていた、「僕はあくまでも全力で助力するまでの話だ。」「おお…」忽然、酷く凛とした態度を自分に向けに来る義威瀬がぽつりと発していた一言に、唇が否応なしにこじ開けられているような気がしてならないでいる乾里娘、胸元の奥が彼から伝わって来る美空への熱意に打たれているように感じつつ、思わず彼から貰えている感動に体を微かに震わされているような気がし始めている乾里娘、「なんか、お前、」ごくりと固唾を飲み込んでは、ぱちくりながら唾液を飲み込むために、一瞬言い淀んでいる自分に悩まされているようにと小首を傾げていく義威瀬の顔を見つめて行きつつ、軽く右手の人差し指でこめかみを掻いてしまう乾里娘は、彼に揺るぎない眼差しを向けては、軽く右手の親指を立てていく、「お姫様を守る騎士みたいで格好いいな。」


  刹那、乾里娘が自分に向けに来た褒め言葉が酷く格好良く感じつつ、ぼんやりと霞んでいた視野の中で父親に嬲られない為に、須賀に近づいていた美空の姿を探していく義威瀬は、ぽつりと渇いた唇を開けていき、「騎士か…」ごくりと固唾を飲み込んでは、チラッと目線を美空の白皙の項を隠していたような黒い髪の毛に一瞥しては、もし彼女が自分の姫になってくれるのなら、自分はきっと全力で彼女を守り抜けるような騎士になれる事を、誇りに思うのであろうなと、内心でぼんやりと思って行きながら、ゆっくりと目線を乾里娘に向けてしまう義威瀬、彼から自分が美空を守れるような騎士に見えていたことを思うと、つい勝手に上げてしまう口角に心を悩まされているように思いつつ、照れくさそうにと笑って行きながら、もう少し彼に自分のことを褒めて欲しいと願っている義威瀬は、軽く左手の人差し指で自分の顔を指差していき、「僕が?」


  騎士だと言われていたことで頗る機嫌が良くなっているような義威瀬の様に、微笑んで見たくなりつつ、美空に見捨てられていたようにも感じてしまう可哀想な彼に少しくらいは喜ばせてやりたいと強く思っている乾里娘は彼の眼を見つめては、迷わずに頷いて行きながら、左手を胸元に当てては大きな声を発していく、「おおよ!騎士そのまんまだぜ?」チラッと目線をまるで自分が発していた大声に、興味を引かれているようにと振り返って来ては、声を上げていた主である自分ではなく、義威瀬の後頭部に目線を向けている美空の様に目を半開きさせて見たくなりつつも、彼女が本当に愛おしく思っている人は誰なのかは、一発で分かって仕舞ったような気分になりながらも、まるで意思疎通しているような義威瀬の美空を信じ込んでいる様に、義威瀬の存在をさっき心の中で小馬鹿にしていた自分の方が滑稽のように感じては、魂が美空に取られているような須賀は無様で、可哀想に感じ始めている乾里娘は強く左手を伸ばしては、義威瀬の右肩に置いていく、「兄弟!」


  「騎士…」ぽつりと自分の唇から零れていく、自分を褒めているような単語を何度も呟いては、口角が段々最大限に向けて上げられているような気がしてならないでいる義威瀬はごくりと固唾を飲み込んでは、何度も鼻翼に力を入れていきつつ、チラッと目線を机に置かれていた筆と、自分の背中を守ってくれているような、自分と共に椅子に座っていたリュックを交互に見ていきつつ、軽く両手をリュックの中に突っ込んでいき、「僕は…美空を守る騎士…」


  宛ら騎士を連呼する呪いをかけられているような義威瀬が、何度も自分が彼に向けていた一言をオウム返ししている態度に、目を半開きさせていきつつ、口角が斜め下の方向に固定されているような気分になれている乾里娘は、困っているようにと軽く右手の人差し指でこめかみを掻いて行きながら、もしかしたら彼は美空が彼と離れていたせいで酷くショックを受けては、頭が段々可笑しくなっているのではないかと、心配になり始めている乾里娘はぽつりと渇いた唇を開けていく、「大丈夫かよお前…」


  宛ら自分は大丈夫だと言いに来るようにと、リュックの中から真っ白な紙を取り出しては、猛然と少しばかり鋭利な光を放っているような眼を自分に向けては、軽く口角を上げてくれていると同時に、強く左手の親指を立ててくれている義威瀬の様にぱちくりしていく乾里娘、彼が大丈夫でいるのなら、自分は別に気に掛けることはないように感じつつ、まったりと右肘を机に付けては、横目で大人しく美空が紡いでいる言葉を聞きながら、頷くロボットと化していたような須賀の様に一瞥していく乾里娘、「でも、お前が騎士なら。」


  自分がぽつりと声に乗せていた言葉に戸惑っているようにと右手で軽く筆を握っては、紙の上に真っ白な紙を四分に分けているようにと、十字を描いていた義威瀬のぼんやりとしている顔に目を向けていく乾里娘は、軽く左手の人差し指を立てては、チラッと横目で美空の教科書に目線を固定されているような須賀の、酷く気持ち悪く思える横顔に一瞥しては、何度も鼻翼に力を込めては、やはり須賀は気持ち悪いものなんだと、内心で強く蔑んでいく乾里娘は、教師を取り込んだ以上、自分も下手に露骨に相手を嫌っては、一刻も早く教室から、学校から永久にいなくなって欲しいと言う思いを声に乗せないでいるように思えては、軽く鼻で笑っていく乾里娘はまったりと流し目で義威瀬の顔を見て行きつつ、必ずしも訳の分からない須賀と言う存在をクラスの中から排除して行くんだと、心の中で強く思っている乾里娘はぽつりと声を発していき、「お姫様に危害を加えるモンスターも揃っている見たいだしさ。」


  宛ら自分に言葉を強調しに来るようにと、少しばかり大きな声を発していた乾里娘の眼で、自分の後ろにいる須賀を指していく憎悪が込められているような眼光に、心臓が一瞬縮めているような気がしては、漠然と自分が白い紙に残されていた線に目を向けてしまう義威瀬、「モンスター…か…」「まぁ、」須賀のすっかりと美空の虜になっているようにと彼女の顔を見ることすら怖がっているように、チラッと彼女の顔を見ては逃げていくようにと目を逸らしていく様に、目を半開きさせていきつつ、詰まらなさそうにと頬杖を付けたままで、宛ら自分が彼に投げていた言葉に何かしらのことを連想出来ているようにと紙に筆を走らせていく義威瀬の横顔を見て言う、「お姫様を守る役目を果たしてよ?」


  まったりと退屈そうにと項垂れていたような左腕を上げていきつつ、自分が彼に投げていた言葉に頷いてくれている義威瀬の、紙に描いていく線に集中しているような様を見ていく乾里娘、「ちゃんと騎士になってやって上げろよ、見守ってぜ?」自分が彼に投げていく言葉を適当にも感じてしまうくらいに、軽く頷いてくる義威瀬の様に目を半開きさせて行きながら、まったりと右腕を引いては、腕を組んでいく乾里娘は、またしても自分の目線を引いて来ているような視野の中で、蠢いているようにも感じてしまう須賀の方向に目を向けては、綺麗な美空とは不釣り合いにも思える須賀の存在に苛立ちを覚えつつ、思わず歯ぎしりして見たくなっている彼は不満そうにと何度も鼻翼に力を込めては、猛然と瞬きを忘れていたようにと紙に集中しては、何かしらのものを描いているような義威瀬を見ていく、「いざという時に手助けするぞ?」

  

  「あ…」忽然、まるで自分の心に感動を当ててくれては、顔を紙から引いているような乾里娘が投げてくれていた言葉に、唇を軽く開けられているように思えては、ぼんやりと目を細めて行きながら、自分が紙に描いていた王冠から彼の本気で自分の味方になってくれているような揺るぎない眼に、目を向けてしまう義威瀬、「う、うん…」丁寧に右手にある筆を握っていきつつ、自分の為に須賀を嫌ってくれては、彼に文句をぶつけてくれている乾里娘は、他人から見れば決していい子とは言えなくとも、自分の大切な友人で間違いないんだと、内心で自分に言い聞かせていく義威瀬は、つい自分に熱く思えるくらいの眼差しを向けに来る彼に、歯がゆい思いを強いられているように思いつつ、丁寧に首を縦に振っていく義威瀬は、ぽつりと渇いた唇を開けていき、「ありがとうね。」


  義威瀬がちゃんと自分に目を向けては話をしてくれている態度に、口角が最大限なまでに上げられているように感じては、軽く左手を上げていく乾里娘、「大した事ないさ~」酷く喜んでいるような自分の声色につられているようにと、照れくさそうに笑って来る義威瀬の微かな憂いが帯びているような眼が向けていた先に一瞥していく乾里娘は、軽く鼻翼に力を込めていき、「この程度の事を気にするなって、」ぼんやりと彼が描いていた絵を見て行きながら、軽く口角を上げては、流し目で自分との会話を終わらせては、絵を描き続けようとする彼の横顔を見つめていく乾里娘、「ちゃんと宿題を書いたら移させておくれよ?」


  「ええ、」自分に酷くどうしようもなく伝わって来る、自分の味方になってくれているような言葉を紡いだ彼に苦笑いして見たくなりつつも、丁寧に頷いては、いざ本当に怪物のように見えて来る須賀が、美空に何かしらの酷い事をしようとする時に、自分の力じゃ足りなかったら、せめて乾里娘に助力して貰いたいと願っていく義威瀬は、微笑みながら乾里娘の顔を見ていく、「任せておくれ?」自分に淡い笑みを向けてくれていると同時に強く左手の親指を立てに来る義威瀬の姿勢に、照れくさい思いを強いられているように感じつつ、恥ずかしそうにと軽く左手の人差し指で鼻先を擦っては、友情を上手く確かめていたように思えている乾里娘は強く頷いていた、「うん!」


  「ごめんなさいね。」まるでクラスメートたちの目線を集めているようにと、嬉々とした歩調で床を踏んで来ては右手にある教科書を上げて行きながら、声を発している教師が須賀の方向に目を向けたままで、露骨にも思えるくらいに嬉しそうな笑みを浮かべている様に、目を半開きさせていく乾里娘。「ちょっと教科書をどこに置いちゃったのかが見つからなかったから、」申し訳なさそうにと口角を上げていきつつ、軽く左手で自分の頭を軽く叩いてしまう教師は、ぽつりと声を上げていき、「遅れちゃった~」


  教師が適当過ぎるようにも思える嘘を、学生の自分たちに向けに来る様に飽きれては、子供だと思っているだろうけど、子供である自分から見れば、ただ自分らの事を阿保だとしか見えていないような気がしてならないでいる乾里娘は、思わず軽く両手を机に置いて行きながら、ぽつりと文句交じりの言葉を呟いていた、「お前の授業だぞ…教科書を大事にしろ…?」


  ”パパー”宛ら自分たちの興味を引いてくるようにと軽く白皙の両手を叩いては、教科書を持ち上げて来る教師の様に目を半開きさせて行きつつ、酷く無責任にも思える彼女の事を内心で蔑んでしまいそうな義威瀬は、丁寧に左手で軽く机に置かれていた紙を引いて行きながら、チラッと目を美空と会話している須賀の方向に目を向けていく彼は、悔しそうにと軽く歯を噛んでは、何度も鼻翼に力を込めて言う、「僕は…美空ちゃんを上手く守れるような…」自分にしか聞こえない程の小さな声を漏らしては、自分の左手に握られては、太股の上に座っていたような紙の上に描かれていた絵に目を向けてしまう義威瀬は、強く丁寧に右手で握っていた筆に力を込めては、ゆっくりと筆の尖った先を紙に向けて行きながら、ぽつりと呟いていく、「格好いい騎士になるんだ。」

  

  宛ら自分が紡いだ一言に同意しているようにと軽く頷いては、まったりと白い紙に黒い線を引いていく義威瀬は、まったりとひんやりと空気を吸い込んでいき、”スースー”筆が微かな黒い屑を紙の上に残しては、酷く醜く見えてしまう怪物を残していく様を青色の瞳で映し出していく義威瀬は、強く戦慄しては、自分の太股を紙越しで穿とうとしているような紙の柔らかい感覚をぼんやりと感じて行きながら、丁寧に醜い怪物を紙の上に残して行こうと強く思っていきつつ、鳩尾を抉るようにと脳内に浮かべに来ている怪物を睨んでいく彼は、酷く歪んでいるような四肢を黒い砂で出来上がっていた波の上に垂らしていたような怪物に吐き気を覚えている。


  苦しそうにと黒に微かに占拠されていたような白い眼を、空にある流れていく雲のような重たい気分を与えて来るような宇宙を見上げて行きながら、引き摺っては、上手く歩くことが出来なくなっていたような両足を、前方にある煌びやか王冠を被っていた男性に向けて動かして行く怪物は、自分の顔を映し出して来ている鋭い白い剣を睨んでいる。


  風に靡かせるような白いフートを付けては、右手で酷く鋭く見えてしまう黒い外郭に微かに黒く染められては、錆び付いていたようにも見えて来る刃を強く握っては、左手で自分の傍らで自分たちに向けて歩いて来ようとする怪物を恐れているようにと、体を震わせているような黒いドレスを着こなしていた女の子を抱えては、軽く歯を噛んでいく王子は揺るぎない目線を怪物に投げては、軽く重心を落としていくようにと右足を引いて、白皙の喉元を前に向けて伸ばしていた。


  ”シーン”刹那、宛ら世界を白と黒を分けていたような空に残す白い斬撃を残しては、当たり前のようにと自分が前に向けていた剣の先頭を沈んでいくような黒い瞳に向けては、自分はもう怪物を上手く倒していたと、自分に知らせにくれているような鋭い先からまったりと体を自分に握られていた柄に向けて滴り落ちて来ては、段々重たくなっているようにと大きな黒い涙の粒と化していくようにと宙を舞ていく水滴、苦しそうにとどす黒い口角を斜め下の方向に向けたままで、黒に歪まされているような瞳を空に向けてしまいそうな怪物は、宛ら自分の存在を酷く驚かされているようにと戦慄している小さな両手を握っては、体を震わせていく姫様に、映し出されている自分の下半身から離脱していた上半身と、彼女へに愛に満ちているような黒い頬を微かに白く染めてくれている黒い粒を見つめては、観念したように彼女に向けて伸ばしていた右腕を下しては、辛そうにと黒い空に顔を向けていた。


  ”ドー”自分に完全なる勝利を告げてくれているような音を耳にしては、口角を軽く上げられているような気分を味わっている王子はまったりと振り返っては、横目で怪物から感じていた畏怖に体中を嬲られては、涙目になっていた姫の急いでいるようにとロングスカートを両手で引いて行きつつ、自分のもとまで駆けつけに来る姿勢に目線を向けていく彼。”フー”迷わずに右手にある怪物の生き血に汚されていたような剣を斜め下の方向に向けて強く振っては、黒い生き血を黒い地面にぶつけて貰っていた王子は、軽く左手で強く体を自分にぶつけに来た姫の体を抱えては、右手にある剣から滴り落ちていく黒い液体に、段々白く染め上げられていく地面の存在を気にする事無く、軽く白皙の頬を彼女に近づいていく。


  「今日の授業はここまでよ。」刹那、まるで自分の顔を無理矢理両手に握られていた連環画から逸らしに来るような、教師の少しばかり尖っているようにも伝わって来る声色に眉間に皺寄せられているように感じつつ、悔やんでいるようにと何度も鼻翼に力を込めて行きつつ、手にある作品を仕舞っていこうと考えている義威瀬。「もう直ぐ夏休みなんだから、」宛ら自分たちに可愛くアピールしに来るようにと軽く右手の人差し指を立てては、ウィンクを投げに来る教師の様に目を半開きさせて行きつつ、彼女が酷く小うるさい人間のように思い始めている義威瀬は、不満そうにと横目でやけに美空に近づきたがっているようにと、窓越しに教室に入って来る黄金のようにも見えてしまう夕陽に照らされている黒いパーカーを着ては、帽子で頭を被っているような須賀の両肘を太股に付けては、胸元につられているようにと顔を美空の横顔に向けている様に苛立ちを覚えては、不満そうにと歯を噛んでいく義威瀬。

  

  「気を緩めてはダメだぞ?」退屈しているようにと頬杖を突けながら、自分たち学生に忠告しに来るような教師の様を眺めていく乾里娘は、詰まらなさそうにと大きく唇を開けては、軽く左手の手のひらを唇に近づいては何度も大きく開けていた唇を叩いていく。「それじゃあ、さよなら、可愛い皆~」まるで自分たちの返事を待っているようにと軽く左肩を自分たちの方向に向けて来ては、右手で教科書を抱えたままで、左手を耳殻に添えている教師の様を見ていく乾里娘は高く右手を上げては、左右に振らして行きつつ、平坦な声を上げていく、「さーよなら。」


  自分が発していた退屈そうな声につられているようにと、自分たち学生のお別れの挨拶を聞かないと下校させようとしないでいる教師に一斉に声を向けにいた自分たちに、挨拶されていたことで頗る機嫌が良くなっているような教師が軽く両手を抱えては、兎のようにと軽く飛び跳ねて行きながら、教室から離れていく様に目を半開きさせてしまう乾里娘はぽつりと渇いた唇を開けていき、「もう二度と顔を見せんなババ。」


  軽く鼻翼に力を入れては、まったりと振り返ってリュックを片付けようとする乾里娘は、横目で綺麗な白い服を着こなしては、酷くおしとやかなお嬢様となっていたような美空の様に、口角が斜め下の方向に向けられているように思いつつ、軽く肩を跳ねらせては、お金って怖いなと内心でぼんやりと思っていく彼は、須賀に話しかけられてしまいそうな美空の横顔に不安を強いられているようにと、心配しているような姿勢を取っている義威瀬の事をぼんやりと見ていく。


  「ね、ねぇ…」ごくりと固唾を飲み込んでは、渇いた喉から微かに引き攣っているような声を発してしまう須賀は何度も鼻翼に力を入れては、温かく思えては、自分の身体を燃やそうとしているような空気を感じて行きながら、ゆっくりと自分に向けて来る酷く綺麗に思えるリップクリームに、艶を貰えたような美空の唇に一瞥しては、チラッと目線を彼女の両足を守っているような滑らかな淡い青色のスカートに一瞥し、自分が彼女に向けようとするリクエストの事を思うと、つい胸元の奥にある心臓の鼓動が段々激しくなり、喉から飛び出てしまいそうな気がしている須賀は恐る恐るとぼんやりと小首を傾げては、自分の顔を見てくる美空の瞳を見つめていく、「美空ちゃん…」



  

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