第317話俺は…俺が…彼女を泣かしてしまったんだ…

  「うっ…」和流が自分に向けて来ていた弱り切っては、風に攫われてしまいそうなくらいに小さな声に、口角を斜め下の方向に固定されているように思えては、思わず歯ぎしりして見たくなってしまう白野は何度も鼻翼に力を入れていき、「どうしてそんなことを…」戦慄しては、上手く掴む事が出来なくなっている鞄を必死に抱えては、和流は一体どうしてしまったのだろうかと、自分が野黒新に気をかけて来ている間では、彼は何に遭ったのだろうかと、疑問に頭を爆ぜらされてしまいそうな気がしてならないでいる白野は、ぽつりと震えている声を上げていく、「するの…?」

  

  「どうして…」白野が自分がさっき彼女に向けていた本音について、何とも思ってくれないでいるようにと、自分に向けて来た質問に苦笑いして見たくなりつつ、まったりと瞳を彼女の戦慄している顔に向けていく和流は自嘲気味に笑っていき、「どうしてだろうね…」和流が酷く苦しんでいる態度を目にすると、つい彼を嫌いになれないでいる自分を嫌になってしまいそうに感じては、彼はもう自分が知れていたような、あの無垢な彼ではなくなっているんだと、心の中で何度も自分に言い聞かせていく白野、「何で言ってくれないの…?」


  白野のまるでわざわざ自分を困らせに来ているような態度に、口角が斜め下の方向に向けられているように思えては、苦しそうにと歯を食いしばっては、ごくりと固唾を飲み込んでいく和流は思わず彼女から目線を逸らしていき、「言えないからよ…」「どうして…?」和流の自分から逃げているような態度に、眉間を刺さられているように思えては、つい疼く胸元の奥に苛まれているように思えては、彼に向けて軽く足先をずらしていく白野は彼の苦しんでいる態度を目にすると、ついまるで自分は関係ないと語っているように空を見上げている梅川内酷の事を睨んで行きつつ、恐る恐ると戦慄している左手の人差し指で梅川内酷の事を指差して言う、「やっぱりあたしの弱みを握られてたりしたから…?」


  白野がまったく自分の考えを分かってくれないでいて、自分の今の態度とさっき自分が彼女に向けていた言葉を考えてくれないでいる様を思うと、つい彼女が野黒新と一体化しては、自分は嫌ってしまうかもしれない野黒新を目の前にしているように思わせて来る、彼女の鞄に付けてパンダのキーホルダーに心臓を少しずつ削られているようにと思えている和流はぽつりと呟いていた、「違う…」


  「じゃなんだっていうの…?!」和流の自分に向けて来る思わせぶりな態度と、まったく自分に彼の本当の思いを教えようとしないでいる姿勢に体を押さえられているように思えては、胸元の奥で募っていく悲憤に、脳内を充填されているような気がしてならないでいる彼女は強く右手を胸元に当てては、自分が必死に喉から絞り出していた声に驚かされているようにと眉毛を跳ねらせては、自分のことを蔑ろにしていた、萎縮しているようにと小刻みに首を横に振っていく彼の事を睨んで言う、「あたしの気持ちは考えた事はあるのかあ…!?」


  「うう…」白野が常々彼女の事を一番に思っては、何もかも彼女を最優先にして、今までの重大な事を決めて来ていた自分に投げて来るあんまりにも思える話に、心を潰されているような実感を得ては、とめどなく脳内に登って来る悲憤に視野を汚されているような気がしてならないでいる和流、「うぐっ…」喉から苦しみに満ちている唸り声を零してしまっては、つい強く呼吸しているせいで、繊細な体を起伏しているような白野の自分を生涯の敵だと思い込んでいる態度に、喉を千切られているような気分を味わっては、苦しそうにと震えている喉に息を通していく彼、「考えてたよ…」


  ぽつりと喉から零れていた言葉に、脳天を強く殴られていたように感じては、思わず強く右足を彼女に向けて踏み出していた和流は猛然と左手を握っては、真っ赤になり、目頭から零れては、目の下を通っていく涙の粒を気にする事無く、必死に青筋が立てていた喉から声を絞り出していた、「いっぱい考えてたよぉ!」「うっ!」本気で怒っている自分に驚かされているようにと、ビクッと体を跳ねらせていた白野の様を気にすることなく、何度も手のひらに爪の先が若干食い込んでは、自分に痛くを感じさせに来る左手で酷く疼いては、自分を潰そうとしているような体の芯を殴っていくようにと、強く胸元を叩いていく和流、「いっぱい考えたから!」


  ”ドンー”強く胸元にぶつけに来る拳に、胴体の中に山彦が鳴り響いているような気がしている和流は、苦しそうにと右足を上げては、強く地面を踏んでいき、「こんな事になっちまったんだろうが!」赤くなっている鼻翼を弾けようとしているくらいに強く鼻翼に力を入れては、霞んでいた視野の中で呆然と佇んでいる白野の顔を睨んでいく彼。”チャラー”宛ら自分の目線を彼女の弱っている態度から引いて来ているような、彼女の鞄に付けていた揺られていくキーホルダーに苛立ちを覚えては、赤くなっている首を彼女に向けて伸ばしては、猛然と左手の人差し指で自分の事を無言で馬鹿にして来ていたパンダのキーホルダーを指差しては叫んでいく、「俺はただ君にこんにも時間を無駄に使って!」強く歯を食いしばっては、彼女に取り付かれていたパンダのキーホルダーを噛み千切ってやりたいと、願っていく和流は強く目から飛び出ようとする眼を彼女に向けていき、「しょうがない奴に人生を費やして欲しくないだけだよ!」


  ”ドンー”体中が怒気に焼かれているように感じては、思わず強く左足で地面を踏んでは、どうして彼女はこれっぽちも今まで本当に彼女に気遣っていて、彼女を守りたいと誰よりも強く願っていた自分が言った、彼女の為に思っていた話を聞いてくれないんだと分からなくなっている和流は、猛然と両手を自分の胸元に当てていく、「現実を見ようよ!ちゃんと今を見て!」激昂になっている自分とは違っていて、やけに穏やかに自分の熱くなっては燃えてしまいそうな頬から滴り落ちていく涙の粒の感覚に傷心を覚えつつ、頭が空白に占拠され、何もかも考えられなくなっている和流は、必死に喉から嗄れていた声を絞り出していき、「俺と未来の話をしようよ!な!?」


  和流の狂っているようなくらいに自分の事を叱って来ている態度に見開かされては、体の芯を揺さぶられているように感じては、人生今まで初めてずっと付き合って来た彼にこんなにも叱られていた事に、絶望を強いられているように思いつつ、自分は本当は間違っていたのだろうかと一瞬思っては、脳内に浮かんで来る野黒新の今の自分の絶望より、何倍もの苦しみと虚しさを体験していた事を思うと、つい自分にはやはり野黒新の為にまだ何かしらの事をしてやらねばと強く感じている白野、「やっぱり本心だったのね…」息遣いが酷く荒くなっている和流の、全身を使っては呼吸している態度に歯ぎしりして見たくなりつつ、彼は二度も自分の事を騙しては、絶望を植え付けようとしていた事に、悲憤を覚えている彼女はぽつりと唇を開けていた、「さっきの話は全部…!」


  恐る恐ると左手を上げては、漠然と右手にある和流の財布を握って行きつつ、大きな左手で自分の唇を隠していく梅川内酷は、目から飛び出そうなくらいに驚愕に強いられている瞳で激昂になり、完全に自分の存在を忘れていた二人の事を交互に見ていきながら、辛そうにと熱く感じてしまう涙を零していく和流の横顔と、必死に唇を噤んでは、涙を抑えようとする白野の事を見てしまうと、つい二人はどっちも間違っていないはずなのにどうしてこうもお互いの事を苦しめないといけないのかと、第三者である自分に話す権力を鬼気迫る気迫で奪いに来た二人に困らされては、口角は斜め下の方向に固定されているような気がしてならないでいる彼は、何度も鼻翼に力を入れて行きつつ、軽く左足を和流のもとから引いていく。


  自分の存在を見極めようとしているような白野の苦しそうにと唇を噤んでは、強く呼吸している姿を睨んでいく和流は何度も鼻翼に力を入れては、強く頷いていた、「ああ、本心だよ…」宛ら自分の事を無言で蔑んで来ているようにと、自分が喉から発していた声に苦しめられては、顔を逸らしていく彼女の瞳を睨んでいく和流、「文句を言えよ!」脳内が爆発しているような気分になり、自分が酷く彼女を責めている態度に心を苦しめられては、何度も何度も彼女の為に思っては、結局自分の言う事一つも聞き入ってくれないでいる彼女の事を思うと、つい絶望に狂わされては、体が自分の言う事を聞いてくれないでいるような気がしてならないでいる彼は必死に叫んでいた、「俺は考えを改める気なんざねぇかんな!」


  強く自分の事を攻めに来ては、一旦彼から逃げては、息遣いと心境を宥めようとする自分に、時間もくれないでいる鬼となっているような和流の態度に苦しめられては、口角が斜め下の方向に固定されているように感じてしまう白野、必死に歯を食いしばっては、彼と顔を合わせる事が出来なくなっている彼女は強く喉に力を込めては、何とか零れてしまいそうな唸り声を我慢しようと強く考えている、「うぐっ…」


  刹那、白野の方向から零れていた酷く弱っては、本来なら今は自分が守ってやらねばならない時のはずなのに、自分が加害者になり、彼女が泣いてしまうくらいに責めていた事に、唇が否応なしにこじ開けられているような気がしてならないでいる和流は漠然と佇んでは、向きにっている子供のようにと渇いた唇を噛んでいる白野のゆっくりと自分の方向に向けて来る様を見つめていく彼。


  「見損なったよ…」強く歯を噛んでは自分には間違っていた事なんてしていないんだと強く思っては、和流がまったく自分の事を分かってくれないと感じてしまう白野、常に自分に優しくしてくれていた彼が、こんなにも怒ってくることを思うと、つい人生今まで、彼はどれだけ自分の我が儘を受け入れていたのかと、またしても勝手に彼の為に弁解しようとしないでいる自分に苛立ちを覚えては、苦しそうにと顎を上げて行きつつ、鼻腔を詰まらせに来るような鼻水に憤怒を覚えては、ごくりと固唾を飲み込んでいく白野は霞んでいた視野の中で呆然としている彼を睨んでいく、「最低だわ…あんた…!」


  ”フー”猛然と自分の背中を押して来ては、宛ら自分の事を倒そうとしているような強い風に、前のめりにされているように思えては、体のバランスが崩されているように思えては、思わず強く右足で地面を踏んでは、自分から遠く離れていく風に吹かれているピンク色の髪の毛に、心臓を奪われているように思えては、恐る恐ると戦慄している左手を上げていき、まったりと宙を舞う枯れていた紅葉が夕陽に照らされている様がやけに眩しく感じては、自分の視野から白野を攫っているようにも見えてしまいそうになる、「あ…」

  

  まるで存在していなかったかのようにと視野の中から消え去っては、虚しさを強いて来ているようにと上げていた自分の左腕に絶望を感じては、急いで離れていた彼女を止めないとと願ってしまう和流、「ま…って…」宛ら自分にはもう白野に、自分のもとに戻って貰う希望を捨てているんだと、自分に知らせに来ているようにとまったりと項垂れていく左手に目線を引かれては、呆然と霞んでいく視野の中で自分の足元で座っては、自分の事を見上げて来る白野を奪っていたような秋の葉に、胴体を嬲られているように感じてしまう和流、「うっ!」


  忽然、まるで現実を受け入れる事が出来なくなっているようにと、猛然と屈んでは、弱り切っている子供のようにと両腕で額を抱えては、太股に顔を向けていく和流の様に目を半開きさせてしまう梅川内酷は、まったりと左手を上げては、自分の額を擦っていき、「あちゃ…」宛ら脳内にこびりついて来ているような白野が自分に罵られては、自分を捨てていくようにと逃げていた様に唇を大きくこじ開けられているような気がしてならないでいる和流、「ううう…」漠然と悲しんでいる自分から、白野と同じように離れて行こうとしているような渇いた唇を濡らして来る唾液を気にする余裕を無くしては、自分はとうとう一番見たくない場面に遭って仕舞ったんだと痛感している彼、「ううぐぅ…」


  和流の酷く悔やんでは、上手く喉から泣き声を発する事すらできずにいる様に困らされては、まったりと屈んで行きつつ、左膝を小汚い地面に付けていく梅川内酷はまったりと左手を彼の右肩にかけていき、「そんなに悲しむのかよ…」頬が真っ赤になっている和流のまるで自分が紡いだ言葉は全部拒んでいるんだと、語って来ているようにと自分の顔を見ようとしないでいる態度に心を苛まれているように思えては、軽く唇を噤んでいた梅川内酷は彼の酷く悲しんでいる横顔から、まったりと視線を白野が離れていた場所に向けて行きつつ、ぽつりと残念なニュアンスが込められていた言葉を紡いでいく、「振られてくらいでさ…」


  「違う…」自分の事を慰めに来ている梅川内酷が自分に投げて来ていた言葉に、心を苦しめられているように感じては、体が傷だらけになっている自分は決して彼女に振られていた事で酷く悲しんでは、両足で上手く立つことすら出来なくなっているのではないんだと、強く考えていく和流は急いでいるようにと戦慄している両手を額に付けて行きつつ、恐る恐ると顎に向けて両手を引いては、涙を拭いて行こうと強く考えていき、「違うんだ…」


  「まぁ、」和流のあまりにも虚しく伝わって来る言葉に苦笑いして見たくなりつつ、まったりと左手で軽く彼の酷く熱くなっている背中を擦って行きながら、微笑んで行こうと考えている梅川内酷は言う、「白野はいい女だけど、いい女は別にあいつだけじゃないのだろう?」ゆっくりと右手にある財布を彼の前に向けて行きながら、苦しんでは、何度も首を横に振っている彼の些か強情にも思える態度に、苦笑いして見たくなっている梅川内酷、「気を取り直して行こうぜ?」軽く左腕を彼の背中から引いては、屈んでいた太股にかけていく梅川内酷は微笑みながら、何とか泣きじゃくる子供になっているような和流の事を慰めて行こうと強く思っている、「俺へのバイト代は飯に使っていいからさ?」


  「違うのよ…」悲しみに脳内を熱くされているように思えては、体中が苦しみに焼かれているような気がしてならないでいる和流、口角が斜め下の方向に固定されているように思えている彼は、何度も鼻翼に力を入れて行きつつ、恐る恐ると戦慄している顔を自分に苦笑いしてくれている梅川内酷に向けていき、「俺は…俺が…彼女を泣かしてしまったんだ…」”ドクンー”刹那、酷く悲しんでは、上手く声を発することすら出来ずにいる和流が、自分に向けて来た一言に見開かされては、心臓を軽く殴られていたようにと思えている梅川内酷は思わずぼんやりと唇を開けては、彼が悲しんでいる訳が理解できずにいる。


  「本当に思っている事が…」口角が胸元の奥を満たしに来ているような悲しみと共に、自分の事を嬲り来ているようにと感じている和流は悔しそうにと軽く歯を噛んでは震えている両手を強く握って言う、「彼女が逃げて聞いてくれなかっただけじゃない…」体が非常に重たくなっているように思えては、しゃがんでいるのが酷く苦しみを覚えている和流は辛そうにと軽く赤くなっていた鼻を啜っては、ゆっくりと力を入れる事が出来なくなっていた臀部を地べたに付けていき、「真逆な事を思ってるんだ…」自分は本当は白野を苦しんだりは、まったくしたくないんだと強く考えてしまう彼は辛そうにと、戦慄している声を喉から絞り出していた、「俺は…」

  

  和流が悲しみの海に溺れながら自分に話しかけて来ている態度と言葉に、眉間に皺寄せられているように感じつつ、彼はどれだけ白野の事が気になっているんだよと、心の中で飽きれてしまいそうに思いながら、そんなにも気になるのなら、どうしてさっき全ての責任を自分に擦り付けて来なかったのかと、辛そうにと鼻を啜っては、荒れ狂っている息遣いと戦っているように、何とか平穏に呼吸しようとする和流の横顔に苦笑いして見たくなっている梅川内酷は、ぼんやりと目を細めていた。


  「しずくちゃんを泣かしてしまったよぉ…」白野に意地悪していた自分を苛んで来ているような風と、自分の臀部に当たって来ていたような小さな砂と石の感覚を漠然と感じて行きつつ、自分にはもう二度と彼女に会えなくなってしまうんじゃないかと酷く不安になり、どす黒い渦に体を引きずり込まれているような気がしてならないでいる和流は、辛そうにと歯を食いしばって何とか胸元の奥から飛び出ようとする息を抑えて行こうと強く考えている、「うううぐっ…!」


  必死に白い歯で唾に汚されていた唇を噛んでいる和流の、傷心に連続で負けていく態度に苦笑いして見たくなってしまう梅川内酷、漠然と目を細めては、チラッと上手く体を立たせることすら出来なくなり、地べたに座っていた彼の臀部に一瞥すると、つい自分に飽きらせに来ているような彼の事を同情せずにはいられなくなっているように感じている梅川内酷は、まったりと首を横に振っては、軽く左手で小汚い地面を支えては、ゆっくりと臀部を地面に付けて行きつつ、目線を自分らの存在を見守ってくれているようにも思える、夕陽に照らされている微かに赤く見えて来る淡い紫色の紫陽花の存在に向けては、思わず軽く口角を上げて見ようとする梅川内酷は、義威瀬の方に目を向けると、つい彼にちゃんと綺麗な花と景色を目にしては、内心にある失恋とは言えなくもないでいるような感情を補って行こうよと、義威瀬の今にも気絶してしまいそうなくらいに落ち込んでは、悔やんでいる状態を目にすると、つい何度も首を横に振っては、ため息を吐いてしまいそうな気持ちになり、彼に何を言おうとも大して意味の無さそうな気がしている梅川内酷は、呆然と彼のことを見つめては、大人しく彼の話を耳にして行きながら、彼自身で、如何にか苦しみを打ち勝って貰いに行こうと思っていく梅川内酷。


  「なんでだ…!」自分が本当は今のようなざまあになるのがとっくに目に見えていたはずなのに、白野にとっては、野黒新は自分なんかよりずっと大切な存在で、彼女がさっき紡いだもっと近しい関係になるのもきっと、親友のような関係であり、決して恋人になれるようなものではないはずなんだと、心の中で何度も自分に言い聞かせては、そもそも自分と恋人になるつもりでいたのなら、無言で彼女の人生の足を引っ張っているような野黒新ではなく、本当に彼女の為に思っている自分の話を聞いてくれるべきなんだと強く考えてしまう和流、ごくりと固唾を飲み込んでは、つい予想もしたけれども、現実で二度と彼女に触れる事が出来なくなっている現状を思うと、つい頭が割れてしまいそうなくらいに痛くなっているように感じては、悔しそうにと歯ぎしりして行きながら、左手で赤くなっていた額を擦っていく彼は言う、「告白なんてするもんじゃなかったんだよぉ…!」喉が喋りたい気持ちと、胸元の奥を充填しに来る悲しみに挟まれては、上手く声を発する事が出来ずにいる彼は何度も鼻翼に力を入れては、気を吸い込もうと考えている、「俺は…俺は…!」


  宛ら自分の吐息に喉を鷲掴みにされているようにと戦慄している顎を上げて行きつつ、必死に息を吸い込もうとする和流の顎と戦っているようにと、汗と涙に濡らされている顎を上がらせようとしないでいる態度に目を半開きさせて行きつつ、急いでいるようにと両手を彼の戦慄している両肩に置いていく梅川内酷、「ああ、よしよし、」軽く左手を上げては、和流の汗ばんでいる頭を撫でて行きながら、向きになっている子供のようにと歯を食いしばっている彼の様に、目を細められているように感じては、チラッと自分の膨らんでいたポケットに目を向けていく梅川内酷、「またちゃんと全ての事を言えばいいんじゃないの?」


  強く鼻を啜っては、軽く顎を上げては自分が彼に紡いだ一言に困らされているような彼の瞳を見つめて行きながら、まったりと彼の髪の毛に付けていたような汗に濡らされていた左手をポケットに入れていく梅川内酷、「俺を保険に使ってた事とか、」まったりと左手の手のひらをくすぐりに来ているような硬い感覚を漠然と感じて行きつつ、和流に見せていくようにと軽く握っていた左手を開いていく梅川内酷は、悲しそうにと目線を左手の上に乗せていた小さな三角の形をしていたクラッカーに向けていく、「本当はクラッカーも用意していて、」まったりと色とりどりの柄がプリントしていたクラッカーから、顔を自分と同じように、使い道のないクラッカーに困らされているような和流に向けていく、「祝福のつもりで雇ってくれてたんだって。」


  梅川内酷が酷く落ち込んでは、未来をまるごと無くしていたような自分の為に、白野との関係を直していけるような方法を考えてくれている事に、弱っている自分が非常に小さな存在にされているように感じつつ、口角が斜め下の方向に固定されているようにと感じてしまう和流は、観念したようにと何度も首を横に振っていき、「無理よ…あの子がこんなに怒るなんて見たことがないし…」自分が紡いだ言葉に絶望を覚えては、辛そうにと左手を上げては、自分の汗に濡らされていた額を押さえていく和流は、小刻みに首を横に振りながら、ぽつりと弱り切っているような声を発していく、「新の事を滅茶苦茶好いているあの子はもう俺なんかに絶望して…」


  自分の戦慄している声に乗せていく言葉を漠然と聞いてしまうと、真っ白にされていた頭が更に刺激されているように感じては、やはり自分の人生は完全に意味を無くしているんだと痛感している和流、「二度と口を聞いてくれやしないよぉ…」まったりと両手を上げては、酷く膨らまされているようにも思える両目を、両手で塞がっていきたいと願ってしまう彼、「俺はもうダメだよ…」熱くなっている頬を冷やしに来ているような冷たい涙の感覚と、自分の絶望に飽きれているようにと、自分の口角から滴り落ちて行きつつ、頬で蔓延る涙と共に自分の存在を苦しんで来るような涙と融合しては、顎から落ちていく唾液に悲憤を覚えてしまう和流は何度も首を横に振って言う、「人生終わっちまうんだよぉ…しずくちゃんに嫌われちまったよぉ…」


  悲しみで出来上がっているナイフに、体中を刺さられているように思えては、涸れていく喉を通して来る息に、胸元の奥を切られているような気がしている和流は、強く両手で自分の汗に濡らされていた灰色の髪の毛を握っていき、「なにもかもダメだった…」体が痙攣しては、自分は一生地べたに座ったままで人生を暮らして行くのではないかと悲しく思いつつ、白野が居なくなると、自分がずっと地面に座ったままでも大して支障が出ないような気がしている彼は、ぽつりと渇いた唇を開けていく、「俺はなにもかも全部ダメだったんだ…!」


  和流の泣きじゃくる態度に目を半開きさせて行きながら漠然と猫背になり、両肘を太股に付けては、呆然と彼の真っ赤になっていた横顔にくっついていたような灰色の髪の毛に一瞥しては、宛ら世界の終焉を目の当たりにしているような彼の様に飽きれては、女一人の為にそこまでするのだろうかと漠然と考えては、脳内を過っていく亜麻色の髪の毛をしていた女性の事を思い出すと、つい人生には女性に振られ、和流のような態度をさせてくれるのは、きっと楽々花日芽のような女性なんだろうなと、心の中でぼんやりと他愛のない問題を想像して行きつつ、和流の苦しそうにと両手で額を押さえている様を凝視していく梅川内酷、「どんだけ白野の事を好いてるんだよ…お前…」


  自分の事を慰めに来ていたはずの梅川内酷がわざと自分の消え去ってしまいそうな心を刺激しに来ては、消し去ろうとしているような話に苛立ちを覚えては、思わず強く歯を噛んでしまう和流は猛然と顔を彼の方向に向けていき、「自分よりずっとだよ…!」喉から粘っているような声を絞り出して行きつつ、鼻水に人中を汚されては、鼻腔を詰まらされているようにと感じている彼は、苦しそうにと歯ぎしりして行きつつ、急に怒り始めている自分に驚かされているようにと眉毛を跳ねらせていく梅川内酷の、弱っているような灰色の眼に弱らされては、申し訳なさそうにと目線を自分の両足に向けていく彼、「新はもうダメだとは思ってたけど…!」


  胸元の奥が自分への悲憤に爆発されてしまいそうな気がしつつ、辛そうにと鼻を啜っては、白野の為に色んな事を思って来ていたのに、つい彼女に怒らせても言わないと解決出来ない問題に遭っていたんだと、もし時間が本当に遡っても、自分は多分さっきと同じような事をしていたんじゃないかと不安になっている心で考えていく彼、急いでいるようにと右手を上げては、自分の睫毛を濡らしていた涙の粒を拭いてしまう彼は言う、「そこまでに思ってなかったんだよぉ…」唇を上げて行きつつ、白野の向きになっていた態度を思い返してしまうと、そもそも彼女が本当にちゃんと彼女の将来と野黒新の利害関係を考えていたのなら、自分がわざわざ彼女に怒らせるようなリスクを背負う必要もなかったんだと強く考えている和流、「彼女が一生をかけるなんて…!」悔しそうにと歯を食いしばっては、白野は自分の気持ちをこれっぽちも考えてくれなかったような気がしている和流は震えては、涙に霞まされていた視野の中で梅川内酷の姿を探していき、「言うから頭がかーっとなっちまって…!」

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