第305話新に会いたくないのかえ?

  「うっ…」忽然、まるで自分の心にある闘志を破いて来ているような戦士の如く、にべもなく酷く合理的な一言を自分に投げて来ては、胸元を貫いているような和流の言葉に胸元の奥に罅を入れられているように思えては、苦しそうにと左手で胸元を鷲掴みにしていく白野、「またしても…」悔しそうにと歯ぎしりして行きつつ、戦慄している右手で彼の事を指差していく彼女はぽつりと唇を開けては、白皙の喉から声を絞り出していき、「ド正論をぶちかまして来たわね…あんたって…!」


  彼女の自信満々に紡いだ理屈を否定していた自分を、恨んで来ているようにと艶やかな唇を尖らせに来ている白野の態度に、目を半開きさせて行きつつ、思わず苦笑いして見たくなってしまう和流は、ぼんやりと右手の人差し指でこめかみを掻いていた、「実話だろうが…」和流が自分に投げて来ていた一言をぼんやりと考えてしまうと、拗ねているようにと腕を組んでいく白野は、何度も赤くなっていた鼻翼に力を入れて行きつつ、不満そうな声を上げていく、「自分で書いていた文字の方が、」軽く細い眉毛に力を入れては、左手の人差し指を立ててしまう彼女は、揺るぎない眼差しを彼に向けていた、「なんか伝わって行ける物があるんじゃないかって、思うからさ。」


  宛ら自分が紡いだ補足する話に、納得してくれているようにと頷いてくれている和流の態度に、口角をくすぐられているように感じては、嬉しそうにと微笑んでいく白野はチラッと机の引き出しに目を向けて言う、「それにアニメ好きな彼にちょっとときめく仕掛も用意してたんだ~」やけに陽気な声色で嬉々とした態度で言葉を紡いで来る白野の様に、心が萎縮しているように思えている和流はぼんやりと俯いては、悔しそうにと強く両手を握っては、彼女が野黒新に用意していたときめく仕掛を考えてしまうと、つい馬鹿馬鹿しくにも思えるくらいに、どうして自分は野黒新ではないのだろうかと漠然と考えては、思わず卑屈になっている自分の存在を小馬鹿にして行くようにと軽く口角を上げては、鼻で笑っていく彼はぽつりと渇いた唇を開けていた、「そう…じゃ、」ごくりと固唾を飲み込んでは、達観しているような態度を彼女に向けてみたいと強く思っているのに、どうしても自分の言うことを聞いてくれないでいる顰めていく眉間に、心を苦しめられているような気がしてならないで彼は、無理矢理噛みしめていた歯を放していき、「俺には用がないってわけかな?」


  和流のまるで落ち込んでいる彼の事を、仲間はずれにしているのを悔しがっているような態度に、心をくすぐられているように感じては、まったりと左手の人差し指を頬に当てて行きつつ、流し目で彼の酷く悔やんでいるような顔を見つめてしまう白野は言う、「ううん~寂しがり屋の秋人きゅんにもいっぱい混ざっていくつもりよ?」まったりと左手で彼女の机の引き出しに、かけていく白野のまるで自分にも何かしらのサプライズを用意してくれていたような話に戸惑いつつ、ぼんやりと小首を傾げてはぱちくりしていく和流、「なに…?」眉間に皺寄せては嬉々とした表情で机の引き出しから黄色の封筒を取り出して来ている白野の、夕陽を背にしているような少しばかり暗く見えてしまうと同時に、酷く儚く感じている横顔に視界が狭まれているような気分になれている彼は、ぽつりと声を発していた、「一緒に手紙を書いたらいいのか?」


  「違うよ、」丁寧に両手で黄色の封筒を握っては、まるで自分の胸を引いて来ているような、和流が自分に向けて来ていた言葉に文句を向けて見たくなりつつ、不服そうにと唇を尖らせていく彼女は、何度も鼻翼に力を入れていきながら、右手の人差し指を立てていき、「あたしの考えをパクらないで?」まるで自分の事を敵対しているような態度を向けに来ている白野の様に、苦笑いして見たくなりつつ、ぼんやりと霞んでいた視界の中で彼女の白皙の左手に握られていた封筒を探しては、彼女にとって野黒新は自分を敵に回してしまうくらいに大切な人なのかと、心の中で漠然と考えては、失望しているようにと唇を軽く噛んでいく彼、「みみっちいな…」


  「なんだだと!?」和流の自分の事を罵って来ていたような一言に、心にある怒りを起爆されているように思えては、思わず猛然と右足を彼の方向に向けて踏み出しては、強く右足で床を踏んでいた白野は、自分の強く握っている右手に驚かされているような繊細な眉毛を跳ねらせていた彼の顔を睨んでいく、「いっぱいいい作戦を考えて来たからまともに眠れなかったんだからね!」忽然、彼女の唇からぽつりと飛び出て来ていた、自分の心を嬲りに来るような話に左側の眉毛が軽く跳ねらされているように感じては、ぼんやりと憂いに侵されているような目線を床に向けていきつつ、彼女は自分の為にそこまでしてくれていた事があるのだろうかと、ぼんやりと訳の分からない嫉妬に囚われては、苦しめに来ている思いに弱されているような気分を味わっている彼、「そこ…」白野にずっと健康体でいて欲しいと強く願っては、別に彼女に本当に自分の為に睡眠時間を削って欲しいとは思っていないんだけれど、野黒新に嫉妬しているせいで、自分の事が分からなくなっているような気がしている彼は呟いていた、「までするんだ…」


  和流の弱っている態度に戸惑いつつ、もしかしたら彼には春菜にも、自分と同じような思いを向けていて欲しかったんじゃないかと漠然と考えては、思わず失恋したような気分になってしまう白野は軽く歯を噛んでは、顔を黒板の方向に向けていき、「そりゃあ大切な新ちゃんの為だもの?」彼女の当たり前のように自分に投げて来る心臓を抉りに来ている話に、口角を斜め下の方向に固定されているように感じてしまう和流、「大切…か…」


  ごくりと固唾を飲み込んでは、まるで自分にも彼の存在を大切にして欲しいと、願っているような和流の態度に萎縮しては、もし彼も同じ目に遭ってしまったら、自分にはきっと無理矢理でも部屋から引っ張り出していたのだろうと考えては、自分の脳内を過っていく雑なやり方に目を半開きさせて行きつつ、少しばかり彼に遠慮しといた方が、彼は春菜から自分に目を向けてくれるんじゃないかと、漠然と期待して行きつつ、別に自分に気を向けてくれなくとも、彼が一刻も早く片思いをしている相手を失っていた悲しみから、逃れたらとぼんやりと考えている白野は軽く口角を上げては、俯いて自分と顔を合わせようとしないでいる彼の事を見つめて行きつつ、彼の事をからかって行くようにと言葉を紡いでいく、「焼いてる?」


  白野が自分に投げて来ていた言葉は、間違ってはいないと思うと同時に、野黒新に恨みすら覚えている自分のどす黒い思いは、最早嫉妬の範疇を超えていないのかと不安になりつつ、苦しそうにと強く白い歯を噛んでしまう彼はぽつりと呟いていき、「別に…少々しか…」刹那、和流の弱り切っているような声色で呟いていた一言に、眉毛を跳ねらせているように感じては、夕陽に撫でられていた華奢な肩が当たり前のようにビクッと跳ねていた白野、「しょ、少々…か…」ぼんやりと右手を上げて行きつつ、人差し指で自分の胸元の奥からこみ上げて来る温かい気分に、くすぐられているようにと痒くなっている頬を掻いて行きながら、自分の左手にある彼の瞳を連想させに来る封筒を見ていく彼女、「安心しなよ…」


  宛ら自分の唇からぽつりと漏らしていたような一言に、身体を刺激されているように猛然と額を上げて来ては、自分の顔を睨むようにと見つめて来ている彼に淡い笑みを見せて行きつつ、寂しがる彼はもしかしたら春菜を失っていただけではなく、ずっと近くにいた自分まで野黒新だけを構って彼を放っておいてしまっては、二度と構ってやれない事を想像しているんじゃないかとぼんやりと考えては、脳内にある無邪気にも考えてしまう彼の態度に、頬に小さな窪みを植えられているような気がしている白野は、まったりと左手にある封筒を胸元に当てていく、「あんたにも…」


  忽然、自分の紡ごうとしている、和流が悲惨な目に遭う時にも彼の事をちゃんと構ってやるんだと言う話に、心臓を貫かれているようなくらいに疼いているような気がしている白野、「ううん、」恐る恐ると首を横に振っては、もう間近にいる誰もが命を亡くしてしまうような辛い出来事に、遭って欲しくはないんだと強く考えている彼女は、無理矢理項垂れていた口角を上げて行きながら、彼に微笑んでいく、「あわよくばこんな事にならない方がいいわよね…」


  漠然と白野の胸元に当てていた黄色の封筒を見つめては、封筒の中にある野黒新に送って行こうとしている内容と、彼女がさっき自分に言い聞かせて来ていたときめく仕掛けに苛まれているような気がしてならないでいる和流、「そうだな…」呆然と俯いては、悔しそうにと歯を噛んでは、野黒新なら女々しいくらいに弱っている今の自分とは違っていて、彼女を失ってしまうリスクを背負っても、何もかもはっきりにして行こうとするのだろうと考えては、つい既に撃沈されているような野黒新にも、自分には及ばないんだと悔やんでいる和流、「すまん、」悲しそうにと左手を上げては、困り果てているように熱くなっている白皙の項を擦って行きながら、無理矢理口角を上げては、軽く繊細な眉毛を顰めては、自分に心配と不安に満ちている深いピンク色の瞳を向けてくれていた彼女に、苦笑いしていく彼は言う、「君もいっぱい考えて来たのに、」軽く渇いた唇を噤んでは、ぼんやりと冷たく感じてしまう空気を吸い込んでいく彼は、何とか内心にある荒れ狂っているような波のような思いを鎮めて行こうと強く考えている、「なんかこっちは沈んでいる感じでさ…」


  和流の上手く自分に元気に振る舞ってくれないでいるせいで、落ち込んでは自分に謝りに来ている態度に、口角を微かにくすぐられているように感じては、ゆっくりと彼のもとまで歩いていく白野、「大丈夫よ、」自分が上げている平坦な声を耳にしつつ、まったりと顔を上げてくれている彼の瞳にある自分に、屈託のない笑みを見せていく彼女、「分かってるって。」自分ですら良く分からない思いは、彼女が自分の気持ちを完全に理解出来るはずもないんだと漠然と考えては、つい彼女が本気で紡いでくれていた自分の事を理解してくれていると言う一言に、心を温められているように感じては、感動を覚えている和流は思わず戦慄している眉毛を顰めて行きつつ、彼女の眼を見つめていく、「白野…」


  「あんたには、」まったりと左手にある手紙をまるで自分たちを分けて来ていたような机の向こう側で、佇んでいた彼に向けて出して行きつつ、自分の行動に戸惑っているようにとぼんやりと小首を傾げている彼に、屈託のない笑みを見せて行きながら、軽く右手の人差し指を立てていく彼女は言い放った、「手紙を送って貰う役割を配ってやるわ。」忽然、自分に酷く感動的な話を向けてくれては、心を弄んで来ていたようにも感じていた和流は、つい彼女が自分に向けてくれていた手紙と言葉に後頭部を軽く殴られていたように思えては、当たり前のようにと首を伸ばしていく、「はい?」


  「だから、」自分の考えをまったく理解できていないような彼の悲しみから、間の抜けた態度になれている事に目を細められているように思いつつ、彼が悲しまないでいるのなら、自分も何と無く嬉しく感じている白野は、まったりと前のめりになって行きながら彼の左腕を引いていき、「あたしはバイトがあるから、」丁寧なまでにまるで力を込める事が出来ずにいるような彼の左手に手紙を乗せていく彼女は、大切に温かい右手の手のひらで彼の左手の指を押していた、「学校から彼のお家まで行くには時間がかかるじゃん?」


  ぱちくりして行きつつ、どう見ても彼女は自分の事をただの道具だとしか思われていないのだろうなと、脳内で一瞬思っては、丁寧に自分の左手を包もうとしてくれている彼女の温かい手のひらの温度に、口角をくすぐられているように感じては、彼女に触れられるだけで、自分をどす黒い深淵に引きずり込もうとするマイナスな感情は全部消え去っているような気がしている和流。


  宛ら野黒新に会えるきっかけが出来ていた事に、喜んでいるようにと淡い笑みを浮かべてくれている和流の姿に微笑んでは、少しばかり素直になれないでいる彼はもしかしたらずっと野黒新の事も気にかけていて、ただ彼に会えるきっかけを見つからないでいるせいで落ち込んでは、どうしたらいいのかが分からなくなっていただけなんじゃないかと考えては、彼の笑みにつられているようにと微笑んでいく白野は言う、「業者さんに頼るのって、お金かかるじゃん?」ぱちくりながら自分の両手から離脱していたような左手を、ぼんやりと見下ろしていく和流の顔を見つめて行きつつ、屈託のない笑みを浮かべている彼女は、軽く右手の人差し指を立てていた、「直ぐには届かないじゃん?」


  燦爛な笑みを自分に向けてくれている白野の、心の底から喜んでくれている態度に戸惑いつつ、彼女の笑みを間近で見られている事に、心の中で酷く僥倖にも感じながら、引き攣っているような右側の口角を上げて行きつつ、困っているようにと右手の人差し指でこめかみを掻いていく彼、「つまるところ…」ぼんやりと唇をすぼめてくれては、両手を背中に当てていく白野の顔を見つめて行きながら、苦い笑みを浮かべようと考えていた彼は、軽く右手の人差し指で自分の顔を指差しては、冗談交じりに声を発していき、「俺、宅配かな?」


  和流の少しばかり不満を覚えているような話のニュアンスに、眉毛を軽く上げられているように思いつつ、自分が一人で野黒新に手紙を書いては送っていくと、和流もちゃんと彼に気を遣っているんだと、他の人はともかく小学校の時からずっと一緒に居てきた自分たちは、ちゃんと彼の存在を待っているんだと、何とか野黒新に伝えようと思っていた白野は、ぼんやりと自分の顔を映し出してくれている黄色の眼を見つめて行きつつ、当たり前のようにと頷いていく、「そんなところかな?」


  突然、白野が本当に単純なまでに自分を野黒新と繋がるための道具でしか思ってくれないでいる、自分の醜い思いを認めてくれていた事に鳩尾を強く突かれているような気がしてならないでいる和流、「うっ…!」宛ら自分が彼に向けていた素直過ぎる話に、驚かされているようにと眉毛を跳ねらせている和流の態度に見開かされては、大慌てで両手を彼の繊細な肩に当ててしまう彼女、「大丈夫…?」心配に満ちている表情を浮かんでは、彼の顔を覗き込んで行きながら、軽く細い眉毛を顰めていく白野はぽつりとピンク色の唇を開けていた、「どこが具合でも悪いの?保健室いく?」


  「い、いや…なんもないや…」宛ら自分の顔面にキスしては彼女のやけに可愛く見えては、艶やかなピンク色の唇を頬に残そうとしているような白野の様に見開かされては、大慌てで上半身を起こしては、何度も鼻翼に力を入れて行きつつ、彼女のピンク色の髪の毛から漂って来る甘い苺の香りを、永遠に鼻腔の奥に留まっていて欲しいと願ってしまう和流は、まるで自分が急いで紡いだ返事に納得しかねているように、両手を自分の肩に当てたままで、眉間に皺寄せている彼女の自分だけを映し出してくれている深いピンク色の瞳に、淡い笑みを見せては、まったりと右手を上げては、彼女の白い袖に守られていたような右腕の手首に触れていく、「ぼ…」無邪気な子供の頃のような彼女の姿を目にすると、つい過去に戻れたように感じては、口角が一瞬斜め下の方向に向けて強く引かれていたように感じては、ぱちくりしてくれている彼女に無理矢理微笑んで行こうとする彼は、軽く彼女の右腕を握っていた手に少しばかり力を込めていく、「俺は大丈夫だ。」


  まるで自分が少しばかり力を込めている喉から絞り出していた、沈んでいるような声色に少し安心感を貰えたようにと、自分の両肩から手を引いては、拗ねている子供のようにと唇をすぼめてくれていて、自分の顔を見上げてくれている愛おしい存在である彼女に淡い笑みを見せては、チラッと目線を自分の左手にある彼女の思いが募っていた封筒に目線を向けていく和流、胸元の奥を過ってしまう微かな悲しみに目を細められているように思えては、別に野黒新が立ち直ってからだとしても、自分にはまだまだいっぱい、彼女に交際を求める時間とチャンスは、残されているんだと考えては、最低限にも、二人が暮らして行けるようなお金を稼げるような時で、彼女に告白してみようと思っては、つい彼女を目にするだけで酷くもどかしい心境になってしまう自分には、果たしてそんなに待っていけるのかどうかを疑っては、ぼんやりと霞んでいた視野の中で、彼女の夕陽に橙色のオブラートを貰っていたようなピンク色の髪の毛を探しては、彼女はちゃんとこそこそ彼女に恋をしている自分を待ってくれるのかどうかを不安になっている彼は、少しばかり無理をしている笑みを浮かべて言う、「分かった、承ろう…」


  「そう?」和流のどう見ても無理にしているしか見えないでいる態度に、心の中にある彼への心配と彼の身に何か遭ったら自分にはもうどうしようもない事になるんだと言う不安が、更に刺激されているように思いつつ、軽く鼻翼に力を入れては彼に疑っているような眼差しを向けていく白野、「無理しないでね?」「ああ…」自分に心配してくれている言葉を紡いで来ている彼女に、口角を上げられているように思えては、ぼんやりと何も失っていないはずなのに、何かしらの物を無くしていたような気分を味わっている視野の中で、自分の左手にある封筒を見下ろしていく和流、「でも…」


  自分が発していた戸惑いに満たされているような声に、困らされているように小首を傾げている彼女に苦い笑みを見せていく彼は、思わず自分の心を取り付いて来ているような疑問を言葉に変えていたき、「どうして君が直々に送っていかないのかな…?」ぱちくりして来ては、不安そうにと小さな両手を掴んでいる彼女のまるで自分に無理があるのなら、やはり自分自身が野黒新に手紙を送っていくよと言おうとするように、軽く艶やかな唇を開けて来ている彼女に見開かされては、強情にも思える彼女は間違いなく野黒新が素直に家から出てくれるまでは、手紙を書くのをやめないのだろうと思い、毎日のように彼女と少しでもいいから多く接触を持って行きたいと強く願っている和流は、彼女の唇から漏れて来ている吐息を遮断して行くように声を発していく、「新に会いたくないのかえ?」


  和流が自分に向けて来るもっともの話に困らされているようにも感じつつ、ぼんやりと彼の左手にある彼の瞳にそっくりにも思える封筒を見下ろしては、軽く口角を上げては可笑しそうにと笑っていく彼女は言う、「会いたいさ、けど会えたらわざわざ手紙なんかを書いていないのでしょ?」苦い笑みを浮かべて行きながら、しょうがなさそうにと肩を竦めてしまう白野、「スマホの時代だぞ?今は。」彼女が自分に向けて来ていた言葉はもっとものように感じては、まだちゃんと全ての返答を紡いでくれないでいる彼女の、困り果てているような笑顔を目にすると、ついもしかしたら自分は酷く彼女に悩ませているんじゃないかと漠然と考えては、さっきの時間に戻って行けたら自分は決してさっきの質問を彼女に向けていなかったのであろうと強く思っている和流、「まぁ…」


  まったりと右手の人差し指で彼の左手にある封筒を指差して行きつつ、屈託のない笑みを浮かべては、自分にはバイトがあるんだと思ってしまう白野はぽつりと声を上げていき、「あんたに家に行って貰ったら、」軽く鼻翼に力を入れてはバイト代は野黒新の為に何かしらの物を買っていくと同時に、野黒新を上手く部屋から連れ出せるのを出しにして、和流をデートに誘って行けたりもするんじゃないかと、期待している彼女は言う、「新に話しかけて見るのも出来たりして?」


  ごくりと固唾を飲み込んでは、優しい彼が素直に自分のやろうとしている事に従ってくれると言うのなら、自分にはバイト代で、自分の代わりに手紙を送ってくれていたお礼に、映画館にもさり気なく誘っていけるんだと、心の中で自分に出しに使われている野黒新に、少しばかり負い目を覚えつつ、鈍いにも思えては、春菜の事を放って置けないでいるはずの和流に、まだ自分が傍にいるんだぞと知らせていくと同時に、拗ねてしまう彼にもちゃんと片思いをしている相手を亡くしていた事で、負っていた傷を癒して行きたいと切に思っている白野、内心にある打算的な思いに脳内をくすぐられているように感じては、自分はもしかしたら和流にもう一歩近づいて行けるんじゃないかと言う期待に、興奮気味になりつつ、ニヤリと口角を上げては、右手の人差し指を強く立てて行きながら、温かい未来に焼かれているような頬に当てていき、「男同士でちょっとエッチな話でもしたら?」


  白野が自分に投げて来ていた下世話な言葉に、目を半開きさせて行きつつ、口角が斜め下の方向に固定されているようにも思えては、いたずらっ子のようにと軽く口角を上げて来ては、宛ら自分も男である事を思い出しているように右手の人差し指を紅潮している頬に当てたままで、主人は居たたまれない気持ちになってるぞと、知らせに来ているような彼女の斜め下の方向に向けている痙攣している口角と、潤んでは、恥ずかしい思いに泣かされてしまいそうな様に、心をからかわれているように思えては、軽く肩を竦めていく和流、「無理だろうな…」軽く左手にある封筒を上げてはもし野黒新は自分とそんな話題に夢中になれるのなら、そもそも家から出ない状態になっていないはずだと考えている和流は補足するようにと声を上げていた、「春菜が目の前であんな事になってたんだぞ。」


  「あっ…」忽然、彼が自分に投げてくれていた一言に、眉毛を跳ねらせているような気がしてならないでいる白野、つい和流と少し近づいて行きたいと狙っていたせいで、自分たちとは違っていて、生き地獄を見せつけられていた野黒新の事を思い出していくと、つい舞い上がっていた自分の事が酷く恥ずかしく感じている白野は傷心を覚えては、ぼんやりと俯いていき、「ごめん…」悔しそうにと軽く唇を噛んでは、和流とのデートを脳内で満喫している場合ではなかったんだと考えては、野黒新と同じように春菜が遭っていた無残な目に、酷く悲しんでいるはずの和流に無神経な話をしてしまったと悔やんでいる彼女、「それもそうね…無神経だったわ…」


  悲しそうにと眉間に皺寄せて行きつつ、もしかしたら和流に嫌われているのではないかと不安になり、恐る恐ると肩を縮めていく白野は、無理矢理強張っているような右側の口角を上げては、霞んでいた視界の中で彼の事を探していき、「あたしって…ダメダメだね…」「んなことは…!」白野が自分に向けて来る泣き出してしまいそうな態度を目にすると、つい春菜も野黒新の事を忘れていたように向きになっては、猛然と左手にある封筒を強く掴んでいた和流、彼女の弱っている所は何としても見たくはないんだと強く願っていた彼は激昂になり、思わず大きな声を発していた自分にぱちくりして来ては、自分には彼女にどんな話をして行けるのかを楽しみにしてくれているようにと華奢な脇を締めては、少しばかり赤くなっていた眼で自分の顔を凝視して来る彼女から、顔を黒板の方に向けていた彼、「ないくもないぞ。」


  「おい!」一瞬弱り切っている自分の事を助けてくれる王子にも思えたくらいに、凛とした声を上げてくれていたのに、ぽつりと紡いだ補足の言葉で一気に自分の気持ちをどん底なまでに突き落として来ていた彼に苛立ちを覚えては、強く右手を握っては、彼に自分の小さな拳骨を見せつけて行くように、右手を上げていく彼女は叫ぶようにと声を発していき、「喧嘩売ってんのかよ!」


  白野の自分に喧嘩をしたがって来ている様に安心感を覚えては、チラッと彼女が自分に見せつけに来ているような拳骨に一瞥しては、彼女が落ち込まないと言うのなら、別に自分を殴ってもいいような気がしている和流は、自分の少しばかり歪んでいるような彼女への思いに、苦笑いして見たくなりつつ、向きになり河豚の如く頬を膨らませて来る愛おしく思える彼女に、微笑んで見たくなっている彼は言う、「まぁ…」まったりと右手で後頭部を擦っては、眉毛を顰めている彼女の不満そうにと腕を組んでは、自分の解釈を聞いてくれるぞと語って来ているような、向きになっている態度に目を細めては、淡い笑みを浮かべていく彼、「その元気に溢れている姿の方が、似合っていると思うよ。」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る