第296話キミは悲しんでしまうよね…

  宛ら本当に眠っているように微かにピンク色の唇を上げては、自分に無防備な顔を向けたままでいてくれている野黒新の態度に、心を照らされているように思えては、彼はよっぽど自分の存在を信じてくれているんだなと、ぼんやりと考えていく利佳、「えへへ…」丁寧に両手を上げて行きつつ、自分を迎えに来ているような彼の凛とした顔立ちに目を細められているように感じては、自分が幸せを迎えているんだと心の中で強く思っては、彼も自分と同じように柱に生命を限られているせいで、切羽詰まった思いに背中を押されているのではないかと、ぼんやりと考えていく利佳は、軽く彼の温かい皮膚に触れていき、「い、いただきます…」


  ぽつりと小さなピンク色の唇から漏れて来た温かい吐息に目を細められては、あからさまに緊張しては、頬が少しばかり引き攣っているような利佳が、自分に見せに来ている様に目を半開きさせて行きつつ、酷く慣れていないようにと軽く唇を噤んでは、唾液をリップクリームのように使っている彼女の初心な態度を、こっそりと見ているのが少しばかり彼女に申し訳ない気持ちになってしまう野黒新は、まったりと左手を上げては、自分に口付けするのを拒んでいるようにと強張っている唇と、まるで自分に触れたがっているような彼女の頭部に押されている様は少しばかり面白い感じている彼。


  忽然、まるで自分に意地悪をしに来ている妖精の如く自分の頬に触れて来ては、否応なしに野黒新に近づいて行こうとする自分の頬を止めに来ていた温かく思いつつ、少しばかり硬い感覚に眉毛を顰められているような気がしては、内心にある爆発していたような思いに唇をこじ開けられているような利佳、「ううっ?!」脳内を充填しに来ているような違和感に、瞼を開けられてはぼんやりとぱちくりして行きつつ、自分に淡い笑みを見せてくれては、軽く自分の頬に握って来ていた左手に力を込めに来ている野黒新の、あからさまなまでに自分の気持ちを弄んで来ていた行動に、苛立ちを覚えてしまう彼女は言う、「な、にゃにをすりゅう…!!」


  不貞腐れるような眼光を自分に向けて来ている利佳の眼と、自分の左手にある糯のような柔らかい頬をもっと弄ってみたいと強く感じている野黒新は軽く口角を上げては、彼女が無理して自分に口付けして欲しくはないと強く思っては、チラッと目線を自分の右手にある携帯電話に向けていた、『お前をからかうんだ。』「ううう…」宛ら自分の唇じゃ物足りないと語って来ているような野黒新の、余裕綽々な態度に苛立ちを覚えながら、悔しそうにと強く歯を噛んでは、間もなく彼とキス出来る事を目を瞑っていた瞬間で考えては、興奮気味になりつつ泣き出してしまいそうな感動に、頭が可笑しくなりそうな寸前で自分を止めに来ていた彼は、もしかしたら自分の心にある思いを見破っていたのではないかとぼんやりと考えて行きつつ、拗ねている子供のようにと唇を尖らせては、軽く両手を握っていく利佳、「キス…!」ぽつりと自分の唇から飛び出ていた単語に、顔を引かれているような彼の瞳を見つめて行きながら、眉毛を顰めていた利佳は思わず彼の傷だらけになっていたような思いを与えて来ている瞳から、顔を逸らしてはぽつりと弱っている声を上げていた、「させてよ…」


  脇を締めながら両足を震わせている利佳の、まるで自分に虐待されていたような姿勢に困らされては、思わず目を半開きさせていく野黒新、チラッと自分に潤んでいる青色の瞳を向けに来ている彼女の泣き出してしまいそうな表情に飽きれては、苦笑いして見たくなっている彼、「はぁ…」ぽつりと自分の唇から漏れていたため息に、背中を刺されたようにビクッと肩を跳ねらせていた彼女の唇を尖らせては、自分にどんな文句を言うのかを必死に考えているようにと、眉毛を顰めている様に淡い笑みを見せていく野黒新は軽く携帯電話を右手の親指で弄っていた、『ほら。』


  まるで自分の気持ちを弄んでいた詫びをしに来ているように、大人しそうに微かに紅潮していた左頬を自分に近づいてくれている彼の、自分に対する優しい思いが羽根のように感じては、心をくすぐられているように思えている利佳はつい笑わずにはいられない心境になってしまい、「えへへ…」軽く華奢な両手を握っては、恐る恐ると震わせている瞼を閉じては、上半身が恥ずかしさに固定されては上手く動くことが出来なくなっているような利佳の、どうしても自分にキスしたがっているように軽く白皙の首を伸ばして来ては、唇をくっついてこようとしている様に苦い笑みを浮かべている野黒新は、軽く左頬を彼女に寄せていた。


  ”ちゅっ”まるで自分に甘えてに来ているような、少しばかり硬く感じてしまう皮膚の感覚に見開かされては、自ら起きていた彼にキスするのを少しばかり恥ずかしいと言う名の抵抗に、行動を止められていた自分を手伝ってくれていたような、積極的な野黒新の自分に甘えに来ていたような態度に、口角が照れ臭い気持ちに斜め下の方向に向けられているように感じては、ぼんやりと自分の顔を見つめてくれている頬が、少しずつ赤くなっている彼のことを見つめてしまう利佳は、恐る恐ると右手の人差し指で軽く頬を掻いていき、「う、嬉しい…?」


  利佳のまるで自分が嬉しいと答えて行かないと、拗ねてはもっといっぱいキスしようと唇をすぼめている態度に、心をくすぐられているように感じつつ、人生今までこれ程の純粋な甘い気持ちにされた事が、果たしてあるのだろうかと漠然と考えていく野黒新は、つい自分の脳内にある思いを全部見たがっているように自分を凝視しに来ている利佳から目線を逸らして行きつつ、軽く平然としている携帯電話に気持ちを隠して貰っていた、『まぁまぁ嬉しいかな。』


  あからさまに自分にキスされていた事に、恥ずかしがっているように自分から顔を逸らしては、目線を合わせようとしないでいる野黒新の様に、口角をくすぐられているように思えては、彼の姿勢に感染されているようにと肩を縮めて行きつつ、軽く人差し指を突いていく利佳、「まぁまぁか…」軽く右側の口角を上げてはまるで自分がぽつりとオウム返ししていた声に興味を引かれては、自分は彼の本当は喜んでいる気持ちを勘違いしたりはしないのだろうかと、不安になっているようにと少しばかり潤んでいる眼を自分に向けて来る、子供のようにも思えてしまう彼の初々しい態度に心をくすぐられては、胸元の奥から体中に広がっていく温かい思いに、口角を上げられているような気がしてならないでいる利佳、「いいけど…?」横目で彼の顔を見つめては、まったりと左手を胸元に当ててしまう彼女は、素直になれないでいる彼に、自分は素直に彼を好いているのを伝えているんだぞと、威張ってみたい心境になれている彼女は、彼の眼を見つめて行きつつ、屈託のない笑みを彼に見せていた、「ボクは滅茶苦茶嬉しいよ?」


  利佳が自分に向けて来ている無邪気な笑みと、彼女の甘えに来ているような声色で紡いだダイレクトに心に当たって来ては、心臓を貫いてしまいそうな言葉に、口角が斜め下の方向に向けられてしまいそうな気がしている野黒新は、段々愛おしく感じてしまう彼女から逃げていくようにと、目線を右手にある携帯電話に向けていた、『そう?携帯電話が紡ぐストーリーは聞き終えたのかな?』


  あからさまに照れている野黒新の露骨なまでに、話題を逸らして来ている態度が少しばかり可笑しく感じつつ、嬉しそうに微笑んでいく利佳、「ええ、」まったりと目線を自分たちの事を見守ってくれているような、サイドテーブルの上に置いていた手紙と画帳に一瞥していく利佳、手紙と画帳を残していた主人は既に亡くなっていたのを思うと、つい自分たちが幸せに今を楽しんでいいのだろうかとぼんやりと考えては、咲き誇れる花のような心境が微かな憂いに燻られているように感じてしまう彼女は言う、「聞こえたって言うより…」横目で自分の顔を見つめて来ては、まるで自分の内心にある憂いに気が付いてくれているように、軽く首を傾げては心配そうな眼差しを向けに来ている彼に苦笑いしていく彼女、「キミの寝顔に夢中で…」ごくりと固唾を飲み込んでは、何度も紅潮している頬につられているような赤くなっている鼻翼に力を入れては、自分を見つめてくれている彼から顔を逸らしていく彼女は、ぽつりと呟いていき、「大して聞いていないや…」


  まるで自分の唸り声を聞きたがっているように弱っては、華奢な小動物と化しているような利佳が呟いていた一言と、微かに震えている声色に鳩尾を殴られていたように感じてしまう野黒新、「うっ…」必死に歯を噛んでは、何とか胸元の奥からこみ上げて来る唸り声を噛み千切ろうと強く歯を噛んでは、猛然と顔を右手にある携帯画面に向けていく彼、『しょうがないお嬢さんだね?』右手にある携帯電話に救われているような気分になれている彼は、何度も鼻翼に力を入れて行きながら、自分に再び冷静を取り戻していくように温かい空気を吸い込んでは、携帯電話に言わせていた、『再放送するのは少し味気ないのかな?』


  「うん…」携帯電話が上げている平然としている声と、野黒新の潤んでいる暗闇に飲み込まれていた琥珀色の瞳を飾り付けているような、少しばかり紅潮している彼の頬を見つめてしまう利佳は、軽く左手を胸元に当てて行きつつ、目を細めていき、「キミがちゃんと眠ってくれるのなら…」自分の紡ごうとしている言葉に、喉を軽く握られているようにと感じている彼女は、何度も鼻翼に力を入れて行きつつ、恐る恐ると肩を縮めては彼の顔を見つめて言う、「やぶさかではないって言うか…」ごくりと固唾を飲み込んでは、まるで自分の声に顔を固定されているように自分を見つめてくれている彼を凝視していく利佳は、照れくさそうにと軽く右手で自分の真っ白な髪の毛を弄っていた、「いつまでも放送しておくれ?」


  利佳の真面目そうな表情を浮かんで来ては、自分の心を起爆しに来ている言葉を投げに来ていた態度に、唇が無理矢理開けられているように感じつつ、ビクッと跳ねていた左側の眉毛を抑えていこうと考えていく野黒新は、不服そうにと軽く鼻翼に力を入れては、急いで潤んでいる瞳を携帯電話に向けていた、『しないからね?』横目で携帯電話から上げていた言葉に、驚かされているようにと眉毛を跳ねらせていく利佳の顔を見つめて行きつつ、自分の左腕にくっついて来ては、自分たちの頭に被っていた毛布のせいで、どうしても彼女と一つになっているような気がしてしまう野黒新は、歯がゆい思いを噛みしめて行きながら、目を半開きさせていく、『貪欲だな…お前って。』


  自分を叱って来ている携帯電話の声に拗ねて行くようにと、唇を尖らせては自分の顔を見つめてくれている彼の瞳を注目していく利佳、「だ、だって…」軽く歯を噛んでは恐る恐ると人差し指を突いて行きつつ、自分に飽きれているような眼を向けに来ていた彼に、ぱちくりして行きながら目線を彼から逸らしてしまう彼女はぽつりと呟いていた、「き、キミなんだもん…」


  利佳のまるで自分に彼女の紅潮している右耳を見せ付けに来ているような様と、自分に投げて来ていたシンプルなまでに自分の心を虜にしようとしている言葉を、耐えていくようにと強く歯を噛んでは、まともに休憩していなかったせいで、少し眠ってから起きた自分が酷く弱っている状態にあるんだなと、夢ですら見たことのない自分に好意を抱いている女性が自分の隣りに座ってくれては、何度も自分の心を動かして来ているシチュエーションに困らされては、ごくりと固唾を飲み込んでいた野黒新は利佳の気持ちは本当なのかもしれないと知りながらも、余りにもの現実に苦しめられているせいで、彼女の精神が崩壊しては誰かに縋って行きたいと言う思いが、彼女自身にも気が付いていないと言う可能性はあるんだと考えては、自分の気を引こうとしている彼女の心の奥には、まだ抵抗している部分があるのをぼんやりと考えていくと、自分は少しばかり彼女と距離を保っては、彼女の弱っている時を利用してはならないと、内心で考えていく彼は、中々彼女に返事をしようとしないでいる自分に、不安そうな眼差しを向けに来ている態度に目を細めて行きつつ、軽く唇を噛んではつい酷く可憐に思える彼女と、距離を置いていくのは至難の業だとぼんやりと考えては、携帯電話に自分を守って貰うようにと喋らせていた、『どこにもいそうな殺人鬼ですが?』


  「むぅ…!」野黒新の卑下している態度に眉間に皺寄せられているように思えては、不服そうにと歯を食いしばっては、何度も鼻翼に力を入れてしまう利佳は、猛然と疼く右手をソファーに付けては、軽く顔を彼に近づいていき、「殺人鬼なんかじゃないもん!」宛ら急に彼に近づいていた自分に驚かされては、眉毛を跳ねらせている彼の顔を睨むように見つめてしまう彼女は言う、「ボクを救ってくれたヒーローなんだもん!」


  ”ドクンー”忽然、当たり前のように自分が彼女のヒーローだと、言い張ってくれていた利佳の声色と、本気の表情に心臓を強く殴られていたような気がしてならないでいる野黒新、「あ…」ぱちくりながらぼんやりと間の抜けた声を発していた彼の顔を見つめて行きつつ、宛ら自分が彼に投げていた言葉に複雑な思いを抱えているようにと、眉毛を顰めて行きながら軽く無力さを感じさせに来ている口角を上げている野黒新の様に戸惑いつつ、自分には変な事を彼に向けていなかったはずなんだとぼんやりと考えている利佳は恐る恐ると、軽く左手を彼の胸元に向けていこうと考えては、チラッと彼の逞しい胸元に一瞥してしまうと、つい内心にある恥ずかしい思いに左手を無理矢理彼の胸元から逸らされているように感じては、軽く彼の硬く感じてしまう左腕に触れていく彼女は、ゆっくりと潤んでいる青色の瞳を彼に向けていき、「どうかした…?」


  脳内に浮かんでいたかつて春菜の前で何度も英雄だのヒーローだのと、言い張っていた自分の愚かにも思える言葉に困らされては、急に自分が彼女のヒーローだと言ってくれていた利佳の存在に悲しみを強いられては、涙を零してしまいそうなくらいに感動されている野黒新、酷く心配に満ちている眼で、自分の呆然としている顔を映し出して来ていた彼女に淡い笑みを見せて行こうと思っては、チラッと潤んでいた眼をサイドテーブルの上に置かれていた向日葵がプリントされていた画帳に向けていく野黒新、『ううん…』


  心が傷心に侵されているように感じつつ、自分の左腕を掴んでくれていて、体を温めてくれているような利佳の存在に困らされては、自分に攻めて来ている彼女の虜になってしまっては、抜け出せなくなったら不味いように感じつつ、ぼんやりと渇いた唇を開けては自分の事を見つめて来ている彼女が愛おしく思えては、自分はどれだけ助けていたはずの人にヒーローだと言われたいのかと、ぼんやりと考えては自嘲気味に笑って見たくなっている野黒新、『昔、いっぱいヒーローになるんだって…つってたな…』漠然としている眼を彼女の頬から胸元に向けては、彼女の傷だらけになっていた体に心を叱られているように思いつつ、自分に助けられて来ていた人は彼女以外、誰もが亡くなっていた故に、ヒーローと言われなくだって、褒められる事がなくとも、せめて来るのが遅すぎるよと、文句をちゃんと元気な声で投げて来て欲しかったと考えてしまう彼は、切なげに鼻を啜っていき、『馬鹿みたいに。』


  野黒新の彼の過去に耽っている態度に苦笑いしてみたくなりつつ、彼は平気でいることを知ると、自分が救われていた時よりずっとほっとしたような気分を味わっているように思えている利佳は、恐る恐ると彼に触れていた左手を胸元に当てて行きつつ、目を細めては、軽く口角を上げては彼の顔を覗き込んでいく、「熱血キャラだったんだね…」『まぁ…』まるで自分の心にある傷を癒してくれているように、変な言葉の捉え方をしに来ている利佳のまるで自分に笑って欲しがっているようにと、淡い笑みを見せて来ている様に眉毛を微かに跳ねらされているように感じては、ぼんやりと目を細めて行きながら、もしかしたら傷だらけになっていた彼女に同じくらい、傷だらけになっていた自分に気を遣って貰っているんじゃないかと、漠然と考えてしまう野黒新、『そうでもなくもない…?』


  ぼんやりと自分を映し出してくれている青色の鏡のような彼女の瞳を見つめては、自分がどうして彼女に好意を抱いていて、そして彼女はどうして自分に好いて来ているのかは少しばかり分かったような気がしている野黒新は、思わず傷口を舐めあっているような自分たちはしょうがない奴らなんだなと漠然と考えては、自分はともかく最高の人生を送れるはずの彼女が、落ちこぼれの自分と同じように黄昏たような毛布に包まられている様をぼんやりと見てしまうと、つい自称神のシルエットはあんまりにも彼女に酷いことをしていたんだと考えてしまう彼。


  目を細めてくれては、宛ら彼の心に取り付いていた物から、少しばかり離れる事が出来たような野黒新の、自分の顔から微かに細めていた目を逸らしていた様に淡い笑みを見せては、チラッと視線をサイドテーブルの上に置かれていた自分たちの存在を見守ってくれているような、向日葵がプリントされていた画帳に向けていく利佳、「この画帳は?」横目で少しばかり古く感じてしまう、子供が使ってたような画帳に一瞥しては、ぼんやりと小首を傾げてしまう利佳はわざわざ手紙だけではなく、画帳まで送って来ていた相手は一体どれだけ野黒新に思いを寄せていたのやらとぼんやりと考えては、つい会ったこともない人に嫉妬してしまう彼女は軽く唇を尖らせて行きつつ、横目で自分が発していた声色に目線を引かれているようにと、画帳に注目している野黒新を見ていき、「手紙を書いていた方とは同一人物なのかえ?」


  利佳の少しばかり拗ねているような声色に口角をくすぐられているように感じつつ、もしかしたら彼女は自分にやきもちを焼いているんじゃないかと、自惚れているようにも感じてしまう思いに、口角を微かに上げられているような気がしている彼は軽く携帯電話を弄っては、微かな光を放っている携帯電話の声に合わせて行くようにと軽く首を横に振っていき、『ううん、彼女も…離れちゃったんだ。』


  「あっ…」刹那、まるで携帯電話が上げていた平然とした声に、悲しみを植え付けられているようにと目を細めては、傷心に耽り始めている彼の眼に困らされては、思わず嫉妬していたせいで、彼の気持ちもちゃんと考えてやれなくて、彼の悲しい過去を抉っていた自分を許せないと思ってしうまう利佳、「そう…だったんだ…」苦しそうにと疼く喉から弱り切っている声を絞り出しては、悲しそうにと何度も鼻翼に力を入れて行きつつ、宛ら自分の声を待ってくれているように画帳を見つめては、携帯電話に何かしらの言葉を喋らせようとしないでいる野黒新の態度に、目を細められているように感じつつ、軽く歯を噛んではもしかしたら自分には何とか彼を過去の苦しみから解放してやれるんじゃないかと、一瞬思ってしまう利佳、「見ても…」


  まるで自分の声に乗せていた段々弱っては、空気に飲み込まれていたような一言に、興味を示してくれているように、酷く現実に嬲られては、光を無くしていた彼の瞳に口角を斜め下の方向に向けられているように感じては、思わず悔しそうにと歯を噛んでしまう利佳は、何度も首を横に振っては、もし自分には上手く彼の心の傷を癒せなかったら、彼にもう一度自分に傷を見せて貰うのは、彼にとって拷問以外の何物でもないようにと感じてしまう彼女は残念そうにと、申し訳ない気持ちが宿っている眼を彼に向け、左手を戦慄しているような胸元に当てて行きつつ、ぽつりと渇いた唇を開けていき、「ううん、やっぱりいいよ…」


  自分にどうして諦めるのかと聞きに来ているように、無言で自分の顔を見つめてくれていて、小首を傾げている彼に苦笑いしていく利佳は軽く冷たい空気を吸い込んでは、残念そうにと猫背になって行きつつ、サイドテーブルの上にある画帳と手紙を入れていたクッキーの箱に目線を向けていく、「こんなことをすると、」軽く歯を噛んでは、野黒新は自分にとっては欠けてはならないくらいに、重要な存在ではあるけれど、自分は彼にとってはただ拾って貰ったホームレスのような者でしかないんだとぼんやりと考えては、上手く彼の心の傷を癒してやる自信を持てないでいる自分に飽きれては、弱っている自分の心を叱っていくように強く握っている左手で胸元に当てては、ゆっくりと凹んでいるような胸元を押していく彼女、「キミは悲しんでしまうよね…」


  悔しそうにと歯を噛んでは、自分はただひたすらにどうやって彼との距離を縮めて行けるのかをしか考えていなくて、彼の気持ちはまったくちゃんと考えていなかったんだと悔やんでは、残念そうにと眉毛を顰めてしまう彼女は切なげに鼻を啜っていき、「なんかごめんね…」軽く唇を噛んでしまう利佳は、まるで自分は気にしていないんだよと知らせにくれているように、軽く首を横に振っては、淡い笑みを見せてくれている優しく思える彼の瞳を見つめて言う、「どうしてもあなたのことが知りたくてさ…」


  利佳の自分を悲しませたくないでいる態度に、心をからかわれているように感じては、嬉しそうに目を細めては、自分に気を遣ってくれては、怒ってくれている人ともう一度出会えたんだなと、漠然としている心で考えていく彼は軽く鼻翼に力を入れては、自分に負い目を覚えては、額を上げて自分の顔を見てくるのを拒んでいるような利佳の態度に口角をくすぐられているように感じては、まったりと左手を上げていく彼、『いいんだよ、』まるで自分の彼女の右肩に触れていく事に驚かされているように、額に皺寄せては猛然と驚愕の表情を自分に向けてくれている彼女に、微笑んでいく野黒新、『普通の人間とセンスが違うんだもん?』


  自分が携帯電話に言わせていた言葉に困らされているようにと、ぱちくりながら自分の顔を見つめて来ている彼女から、目線をサイドテーブルの上にある画帳に向けていく彼、『でないとお前を助けることが出来なかったんだもん?』野黒新が携帯電話に読ませていた言葉に目を半開きさせて行きつつ、言葉の中に秘められていた鷹泰呂の無惨な死に方に、口角が一瞬斜め下の方向に向けられているように思えては、飽きれているようにと目を半開きさせてしまう利佳、「可愛く言ってくるね…まぁ…」チラッと彼の自分に気を取り直して欲しがっているように、肩に置いてくれていた左腕に一瞥しては、つい彼の自分に気を遣ってくれている態度に心を温められているように感じつつ、恐る恐ると固唾を飲み込んでいく彼女は、潤んでいる眼を彼に向けたままで、ぽつりと尋ねる言葉を紡いだ、「本当にいいのかえ…?」


  『ああ、』携帯電話が上げている平然としている声に合わせているようにと、軽く頷いていた野黒新、『こいつなら…まぁ、』まったりと左腕をサイドテーブルの上に向けて伸ばしては、画帳を携帯電話で説明するのは少しばかり困難のように感じては、春菜が自分を怒ってくるのは滅多に考えられないように思いつつ、チラッと彼女がさっき自分に向けていた話を裏切っているように、春菜の画帳に興味津々な表情を浮かんでいる利佳の様に一瞥していく野黒新は、可笑しそうに笑っていき、『見てもいいかな…多分。』


  「ううん!」野黒新がちゃんと自分に画帳に描かれていた内容を見せてくれると、語って来ていた態度に口角が限界なまでに上げられているように思えては、彼のことを少しでもいいから多く知ってみたいと強く願ってしまう利佳、内心にある激昂な心境に体を支配されているようにと、強く両手を握っては彼に満面の笑みを浮かべている顔を近づいていく彼女、「多分なら!キミが携帯ちゃんにかけておいて?」前のめりになっている自分に戸惑っているようにと、ぱちくりながら自分の顔を見つめて来ている彼に向けて軽く左手の人差し指を立てて行きつつ、流し目で彼の顔を凝視していく利佳は言う、「こっそりと寝顔を見るチャンスを貰えるんだし~?」


  まるで自分をからかいに来ているような態度を自分に向けて来る利佳の笑みの下に、隠されていた少しばかり自分の過去に向ける重たい心境を和ませようとしているような態度に困らされては、彼女が本当にそう思ってくれているのかどうかも分からないのに、勝手に彼女のことをいい方向に向けて連想している自分は、少しばかり変に感じている彼は軽く両手を握っては自分には彼女にどんな返答をして行くのかを、楽しみにしているように満面の笑みを向けてくれていた彼女につられては、微笑んでいく野黒新はまったりと目線を右手にある携帯電話に向けていた、『下心満載やな…お前さん…』


  

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